PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

大切な着物にシミや汚れが見つかったら、まずはご相談を

高級着物の染み抜きから仕立て直しまで手がけるプロ

田畑秀幸

高級着物の染み抜きから仕立て直しまで手がけるプロ 	田畑秀幸さん
田畑秀幸さん 着物の染み抜き作業風景

#chapter1

母から譲り受けた着物が変色してしまって困っている、そんな時が私の出番

 「絹はきちんとメンテナンスすれば長持ちする丈夫な素材」と語るのは、京都で生まれ育った田畑秀幸さん。2004年に独立し、周囲に着物屋さんの多い四条烏丸駅近くで、きものクリニック 悠遊舎を開業しました。
 正絹の着物というのは、母から娘へと受け継げるもの。プロポーションや好みがかなり違う場合でも反物にして好みのスタイルに仕立て直すこともできるから、というのが田畑さんの持論。もちろん、そのためにはメンテナンスが必須です。身につけたら、その頻度を考えて虫干しすることが大切、さらに汗をかいたと思ったら、汗抜きに出すのがおすすめだそうです。

 しかし、着物を着ることが特別なイベントになっている現代のライフスタイルでは丁寧な手入れを習慣化することが難しいのも事実。タンスに長く仕舞い込んでいたら、湿気でシミや変色してしまったという場合も少なくないでしょう。そんな時には諦めないで相談して欲しいというのが田畑さんの想い。
 まずは無料見積もりでどの程度の費用がかかるかを積算してから作業にかかるから安心です。田畑さんのモットーは「シミを落として初めて契約が履行される」とのこと。今まで受けた仕事で、シミを落とせませんでしたとお客さんに返品したことは一度もないそうです。その自信の源は独自に開発した染み抜き剤のレシピやノウハウの蓄積に裏付けられています。田畑さんは1983年に美術工芸家を養成する京都市立銅駝美術工芸高校を卒業して以来、この道一筋に歩んできました。キャリア30年以上というベテランです。

#chapter2

独自レシピの染み抜き剤を開発するなど、仕事に傾ける情熱の源は

 独立してよかったことは、という質問に「研究や染み抜き剤のレシピ開発に時間を使えるようになったことですね」と笑顔で答える田畑さん。独立した時も高価なバキューム仕上げ台や蒸気や塗料、薬剤を吹き付けるためのスプレーガンを即買いしたというから、技術や機材に対するこだわりは相当なもの。作業で重要な役割を果たす機材だから、田畑さんにとっては迷いのない投資だったそうです。

 ベテラン技術者、田畑さんの高い技術なら、他の染み抜き業者に断られた頑固な黄変にも対応が可能。黄変とは過去についた汚れを放置したために起こった生地の汚れのこと。着用後にチェックした時には問題なくとも、その後長年かけて浮かびあがってくるものだけにキレイに落とすのは一筋縄ではいかない難作業になります。田畑さんは生地の状態や変色の度合い、範囲を考慮しながら、水素系化学薬品などを駆使してキレイな状態へ戻していきます。

 黄変のほかにも、スレによる色落ちや毛羽立ち、汗染みといったクリーニングにも幅広くスピーディに対応。さらにカケツギや柄足し、袖足しといった染み抜き以外の仕事にまで応じるのは田畑さんならでは。
 今までは着物の問屋さんや販売店から、試着や保管中についた汚れを落とすことをメインの業務にしていた田畑さん。ある依頼をきっかけに、自分の技術が本当に感謝され、やりがいになることを実感して、一般の方からの仕事を積極的に受けていこうと想ったそうです。それはお母さんが成人式で着ていた振り袖を、娘さんが成人式で着たいという難易度の高い依頼でした。

着物の染み抜きビフォーアフター

#chapter3

お母さんが成人式に着ていた振り袖を着たいという娘の想いに応える

 娘さんが成人式で着たいと想ったのは、お母さんが成人式で着用して以来、袖を短く仕立て直して訪問着として愛用していた振り袖。切り離した袖がいい状態で残されていたため、縫製し直して振り袖として再生することに。
 しかし、問題となるのは袖を足したために出来た縫い目。それを目立たなくなるようにと田畑さんが考えだした解決策が新たにほどこされた金彩です。袖のつなぎ目部分だけに金彩をほどこすと不自然になるので、全体のバランスを考慮して身頃にも金彩をちりばめて仕上げたそうです。オリジナルの柄との調和を考えた金彩を入れることで、より華やかな印象の振り袖へと数週間ほどで生まれ変わりました。
 生まれ変わった振り袖を見て、娘さんも当時を思い出したお母さんも大喜び。後日、心のこもったお礼状まで頂いたとのこと。若い頃は着物の図案家を志したこともあるという田畑さんの面目躍如の仕上がりでした。その仕事をきっかけに田畑さんは、想いのこもった着物を世代を超えて受け継ぐことの意味を再認識したそうです。

 自分で届けられる「京都市内であれば、仕上がりを直接納品したいんです」という田畑さん。それは、お客さんが喜ぶ表情が仕事をやりぬくための大きな力になるから。それは、自分自身が長年磨いてきた技術に確かな自信を持っているからとも言えるでしょう。もちろん、もちろん京都以外の遠方のお客様とのお取引は宅配便等でのご依頼受付、発送のお取り扱いをしております。

(取材年月:2017年12月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

田畑秀幸

高級着物の染み抜きから仕立て直しまで手がけるプロ

田畑秀幸プロ

伝統工芸

きものクリニック 悠遊舎

バキューム作業台とスチームガンを駆使した職人技で生地のダメージを最小限に抑えて染み抜き完了。同業他社で落ちないと断られた難しい黄変やシミのクリーニング、スレによる毛羽立ちの補正もおまかせください。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ京都に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または京都新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO