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「ママがハッピーならベビーも幸せ」が合言葉。産後ケアの重要性をもっと広めたい

産後ママの心強いサポーターとしての産後ケアのプロ

川村美星

川村産婦人科の理事で、(社)日本産後ケア協会認定1級産後ケアリストの川村美星さん
川村産婦人科の入院用の個室は、まるでホテルのよう。家族で過ごせます

#chapter1

(社)日本産後ケア協会認定1級産後ケアリストが、産後のママすべてを応援

 産婦人科医の権威、順天堂大学の竹田省教授の共同研究により、東京23区で2014年までの10年間に妊婦または産後1年以内で自殺した女性は、出産時の死亡者数の約2倍であることが分かりました。

 「女性は昔、命をかけて子どもを生んでいましたが、先人の努力によって医療が進歩し、より安心して出産できるようになってきただけに、自殺の多さは私自身も大変ショックを受けました」と語るのは、川村産婦人科の理事で、(社)日本産後ケア協会認定1級産後ケアリストの川村美星さん。

 自殺の原因のトップは産後うつ。近年では10人に1人がかかるという統計もあり、一般的なうつよりも発症数は多いそうです。出産までは病院や実家が助けてくれても、その後は大変な子育てにも関わらず、日中は家でベビーと二人きり。産後はホルモンのバランスが乱れがちで、2~3時間ごとの授乳で心身が疲れ弱っているうえ、家族や近所のつながりが希薄な現代社会では、まわりに助けてくれたり、気軽に相談できる人がほとんどいません。

 「夜泣きがとまらない、湿疹が出始めて不安、家事をする余裕がない、姑とうまくいかない、体型が戻らない、養育費が心配、社会に取り残されたようで焦るなど、産後のママの悩みは、育児だけでなく家庭や仕事、美容、社会など多岐に渡ります。しかし、情報過多で何を信じていいか分からず、一人で悩んでどんどん負のスパイラルに陥っている方も多くいらっしゃいます。産後うつは、誰かに尋ねることもさえ戸惑うくらいの小さな悩みの積み重ねでおこることがよくあり、早期の対応がより重要になります。だから遠慮や我慢をせず、何でも気軽にご相談ください」

 川村さんは何より傾聴を心がけておられ、どんな悩みも包み込むように聞いてくれることも彼女の魅力と感じました。

#chapter2

60年以上ベビーの誕生を守り続け、産後ケアにも力を注ぐ産婦人科病院を、産後のママ全員が利用できる

 川村産婦人科は、1953年に京都市左京区で川村さんの父が開院しました。“主人公はお母さんとベビーである”をモットーに脱マニュアル化。カウンセリングを徹底し、一人一人に適したケアを行い、その結果納得のいく出産をサポートしています。妊婦さんそれぞれに書いてもらうバースプランも重視しています。

 さらに、移動せずに陣痛から分娩、回復までを過ごせる妊婦に優しい設備(LDR)、家族で過ごせるホテルのような入院用の個室、専任シェフが手作りするおいしい食事なども評判。京大附属病院と提携して安心感も得ながらも、医院自体の規模は大きくせず、「“家族”をキーワードに、当院のスタッフ全員が、みなさまの顔が分かるアットホームな雰囲気を、父の代から守っています。うれしいことに母娘3代にわたり、当院で出産してくださったご家族もいらっしゃいます」

 また、60年以上赤ちゃんの誕生を守り続けてきた川村産婦人科では、出産の一環としてこれまでも当たり前のように産前産後のケアも重視してきました。妊娠時の注意や分娩について学ぶ母親教室、育メンパパのために沐浴やおむつ替えなどを体験するパパママ教室、助産師が個別指導してくれる母乳ケア、マタニティストレッチ、助産師が母乳や育児の相談にのるマンツーマンプラン、産後のゆったり入院プラン、ベビーマッサージ教室なども実施して好評を得ています。

 「世の中、核家族化が進んで、出産直後のケアが受けられず不安な方も増えていらっしゃるようです。当院の産後ケアを、他院で出産された方も当院で出産を迎えた方と同じように受けていただけますよ」

「一人でも多くの産後ママの悩みに寄り添って、しっかりとサポートしたい」と川村さん

#chapter3

国や地域とも連携して産後ママを支援。ママがハッピーになれば、子どもが幸せになる

 「最近では、産後うつの問題を国や行政も真摯に受け止め、京都市内の産後3ヶ月未満のママを対象に、ショートステイやデイケアを支援する『スマイルママ・ホッと事業』などを京都市が始めました。費用が一部行政から助成されるので、体調不良や育児が不安な時はぜひご利用ください」と川村さん。川村産婦人科では助成事業や地域の提携だけでなく、産後のママに役立つ情報発信にも尽力。医療や地域などとの橋渡し役もめざしています。

 「産後ママの孤独感や焦燥感を少しでもなくしてあげたい。産後うつにより自殺まではいたらなくても、産後クライシスと呼ばれる離婚、子供の虐待へとつながるのが残念でなりません。一人でも多くの産後ママの悩みに寄り添って、しっかりとサポートできれば!出産は本来なら一番幸せな時であるはずですから、それを充分に享受してほしいです。ベビーが幸せになるには、まずはママがハッピーにならければね」

 川村さんはより多くの産後のママをケアしたいと、2017年6月に産後ケアセンターを川村産婦人科内に開設予定。産婦人科医であるご主人や長男、長女とも協力し、将来は女性のホームドクターとして、何でも気軽に相談できる女性のトータルクリニックになることを目指しています。

(取材年月:2017年5月)

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専門家プロフィール

川村美星

産後ママの心強いサポーターとしての産後ケアのプロ

川村美星プロ

心理カウンセラー

医療法人仁愛会 川村産婦人科

産後ケアが必要なママを、(社)日本産後ケア協会の認定1級産後ケアリストが応援。約9年間の家裁調停委員の経験も生かす。60年以上続く産後ケアに定評高い産婦人科病院の優秀なスタッフや設備も魅力。

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