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家族にバレたくないから任意整理、は危険

荻原卓司

荻原卓司

テーマ:借金

急に寒くなってきました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はマラソン大会で頑張りすぎたのか年なのか、大会2日後も筋肉痛が取れていません(笑)

さて、今回は「家族にバレたくないから任意整理、は危険」というテーマで
コラムを作成したいと思います。

小遣いでギャンブルに手を出し足りなくなって妻に内緒で借り入れをして返済ができなくなった人、

給与減額を妻に言い出せずに借り入れで賄っていた人

生活費不足を怖い夫に言えずに借り入れてしまった人、

様々なご事情がお有りかと思います。

そして、
「裁判所の手続だったら
書類たくさん出さなければならず、
妻(夫)にバレてしまう」
「だから、バレないように任意整理したい」
と思って、
多くの方が、任意整理の手続を弁護士や司法書士に依頼しているのではないでしょうか。

しかし、その考えは、実は危険なのです。

どう危険なのか、について、
任意整理の制度をご説明し、
その後、危険性を述べていきたいと思います。

1(任意整理のご説明)

任意整理とは、
弁護士または司法書士に依頼し、
債権者(お金を貸してくれるか後払いしてくれる会社や個人)に対し
「今後の利息を免除していただき、元本のみを3年から5年で分割して支払って行きたい」と交渉してもらうことです。

裁判所は関与いたしません。
法律的には交渉により、分割払いという私人間の和解契約を
成立させていくことになります。

「そんな都合のいい契約、誰が応じるんだ」と思われるかもしれませんが、
債権者は「破産されるくらいなら元本だけでも返してもらうほうがいいか」
と思って応じるのです。
ただ、応じないか、あるいはかなりの利息の支払いを求める業者もございます。

2.(任意整理のメリット)

任意整理は、裁判所が関与せず、法的には二当事者間の和解契約ですので、
裁判所が関与する自己破産・個人再生に比べ
以下のメリットがあります。
□ 対象となる債権者を選ぶことができ、車のローンや友人知人の借金を外すことができる
□ 弁護士費用が自己破産・個人再生に比べ安い
□ 裁判所への書類を準備しなくてよい
□ その結果、自己破産・個人再生に比べ、家族に内緒に進めやすい。

そして、これらのメリットのうち「家族に内緒で進めやすい」というメリットを
重視して、任意整理を希望される方が
たまにおられるのです。

3.(家族に内緒での任意整理の危険性(1)支払原資を確保できないこと)

通常、任意整理の場合は
世帯全員の収入から、世帯全員の生活費(返済を除く)を差し引いた額を
「支払原資」と考え、
この支払原資の中から返済を行っていきます。

例えば、夫婦と子供1名で生活している場合
夫の収入が手取り25万円、妻の収入が15万円、子供を含めた生活費が32万円
であった場合、
(25万円+15万円)-32万円=8万円が支払原資となります。

そうすると、
仮に6社、総額300万円の債権者が
全社60回払いの分割での任意整理に応じてくれた場合は
月々5万円(300万円÷60回)+振込手数料6社分の支払で
借金を返していくことができるのです。

ところが、同様の事案で、夫が妻に内緒で任意整理を行おうとすると
支払原資が上記の計算ではなくなります。
夫が妻に内緒で借金返済に充てられる額が支払原資ということになります。
たとえば、小遣いが3万円であれば、3万円が支払原資になります。

毎月5万円ずつ支払うという任意整理で各社の合意が取れても
5年間、実現できるはずがありません。

それでも「家族にばれたくない」という一心で
「今まで月7万円ほど支払っていたから5万円支払えるだろう」と考え
任意整理に踏み切る人もいるのです。
(今まで月7万円の支払ができていたのは他から借りていたからです)

最初は何とか妻に発覚せずに給与をうまく管理し、
小遣いも節約するなどして
毎月25万円の収入から5万円ずつ返せるかもしれません。
しかし、徐々に妻から怪しまれ、手取り25万円の使途を聞かれるようになります。
聞かれなかったとしても、小遣いには通常昼食代等も含まれるため
どんどん足りなくなってしまいます。

そして、せっかく任意整理したのに、
支払えなくなった、ということになりかねないのです。

4.(家族に内緒での任意整理の危険性(2)他に方法がなくなること)

任意整理をしたけれども、その後支払うことができなくなった場合、
結局借金はなくならず、
そればかりか高い利率の遅延損害金(年20%以上)が課されていくのですから
支払ったお金は丸々無駄になってしまいます。

任意整理に失敗し(あるいはその前に親族に発覚し)
その結果、支払原資が確保できず、自己破産しかない、となっても
自己破産のための弁護士費用等の用意が困難になってしまうのです。

任意整理をせずに最初から家族と協議して自己破産を行っておけば、
もっと楽に解決できたのに・・・と思っても
後の祭りです。

5.(家族に内緒での任意整理の危険性(3)家庭崩壊の危険があること)

黙って借金を作ってしまうのもあまりよろしくないのですが、
私としては、黙って借金を返すことも
あまりよろしくないと思っています。

家族の生活費、家族との信頼よりも
借金返済、自己の秘密確保を重視することになるからです。

任意整理による支払が発覚してしまえば、
最初から借金を話しておいた場合よりも
更に深刻な家庭崩壊につながりかねません。

多くの弁護士が、自己破産・個人再生の場合に加え、
任意整理の場合でも、家族に内緒で行うことを勧めず
場合によっては断るのは、このことが大きな理由だと思います。

6.(おわりに)

オギ法律事務所は「多くの人を幸せにできる法律事務所」を目指しておりますので
安易に「家族に黙って任意整理をしよう」と勧めることは
致しません。
任意整理の過程でさらに不幸になってしまう危険があるからです。

ただ、ケースによっては家族に発覚しない方法で
各種手続きを行うこともございます
(例えば即時の別居による生活苦が予想される場合などです)

他方、相談者の方が家族にお話しすることを決断された場合は、
家族の方にも借金の解決方法を丁寧に説明するなど、
家族の方ができるだけ不安に感じないような様々なサポートを行うことを
心がけています。

家族に内緒で任意整理をしたいと考える方や
本当に内緒でいいのかと考えている方、
「家族で内緒で任意整理をするしかない」と決めつける前に。
一度、弁護士に相談してみませんか?

オギ法律事務所は借金の相談は初回30分無料です。
お互いにとって良い方法を見つけて行ければと思いますので、
是非、ご相談をお待ちしております。

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荻原卓司
専門家

荻原卓司(弁護士)

オギ法律事務所

当事務所は、これまでの1000件以上の解決事例を踏まえ、弁護士の熱意と迅速な事務処理能力を活かし、特に住宅を残して借金を減額できる個人再生等の借金問題や交通事故の問題につき、力を入れております。

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