成年後見制度を検討している家族の方へのQ&A
この5月、日中と朝夕の気温の差が激しく
体調管理が難しい日が続いております。
皆様も体調を崩されないようにお気をつけ願いたく存じます。
私も生活リズムがかなり乱れているので、
睡眠を重視して過ごしたいと思います。
さて、今日は
「お金を渡す前に弁護士に相談を!~詐欺の被害に遭わないために~」と
題したコラムを書いていきたいと思います。
最近、本当に詐欺の被害の事案に多く接しており
被害回復も実現しづらい状況で
正直なところ立腹しております。
そこで、このコラムでは
多くの方が詐欺の被害にあわないように
詐欺の主なパターンを紹介し、対処法を説明したいと思います。
1.高齢者・以前の詐欺被害者狙い打ちパターン
このパターンはとにかく判断力の弱い方を狙い打ちして
ターゲットにします。
どこからか流れた顧客リストを基に
海外か国内の良くわからない会社の事業などを紹介し
「出資しませんか」「限定20名様まで」「高配当が見込めます」
「元本保証」などと担当者が勧誘し
お金を振り込ませたり、仮想通貨を購入して送らせます。
この種の詐欺の特徴は、
話もめちゃくちゃで難しく、単純に考えれば「ばかばかしい」としか
思えない根拠もない投資の話なのですが
詐欺をする方からすれば、お金払ってもらえればなんでもいいので
強引に進めてくるのです。
この種の詐欺に対し
被害を防止するための最も効果的な方法は
成年後見制度の利用です。
(親族や専門職に財産を預かってもらう方法です。
当事務所は数多く担当しております)
ただ、現実的には、利用のハードルが高いためなかなか利用が進みません。
親族や支援者のアドバイスもなかなか聞かないことがあるので
被害が防止できない面もあります。
何とか防止したいので、方法を考えてみます。
親族や支援者の方から、普段から、
「もし、『お金払ってくれたら増やせるよ』などの話が来たら、
お金を払う前に一度プロの弁護士に相談して
本当にお金を支払ってよいか聞いてみようね」
と声掛けすることが効果的かと思います。
(なお、弁護士と顧問契約を結ぶと最も効果的です。
個人ですと月々5500円~です)
そして、もし、お金を支払いそう、という様子が見られれば、
是非弁護士への相談を強く勧めてほしいです。
勧め方としては
「なんてことしようとしてるの!」と責めるのではなく
「弁護士に聞いたらお金払っていいかどうか教えてくれるよ」と
その人の相談に行くメリットを強調する進め方が良いと思います。
もちろん相談先は消費生活センターや法テラスでもOKです。
(ただ、これらの相談機関は順番待ちの可能性もあります)
2.SNS(ソーシャルネットワーク)や携帯広告での勧誘パターン
最初は、あからさまに詐欺的なものだと表示せず
「財産の投資方法を学んでみませんか。完全無料」などと
ソフトな表現で広告しています。
そして、問い合わせがあれば、
まず個人情報を送信してもらって、
そこから「このようなすごい仕組みがあって、配当ももらえる」と
勧誘する方法です。
先ほど述べ忘れましたが
お金を集める詐欺(ポンジ・スキームといいます)の特徴として、
最初の数回は本当に配当や利息を払うんです。
そして信用させ、発覚や返還請求を遅らせ、あわよくば
さらにお金を出させようとするのです。
この行動に多くの方は騙されてしまいます。
このような詐欺のパターンは
本当に有益な投資なのか、詐欺なのか
判断に迷うところがあります。
ですので、事案分析の能力に秀でた弁護士の分析が大きな力を発揮します。
「詐欺ではないか」と思わなくても
「投資先が倒産するリスクを判断してもらおう」という程度の気持ちで
お金を支払う前に弁護士に相談されることを
お勧めいたします。
必ず「来ておいてよかった」という結果になります。
3.同じ団体に属する友人などからの紹介
特に経営者団体関係で本当に多いようです。
例えば同じ団体に属するAさんがBさんに
「私もやって儲かっている。だからあなたも是非」などと勧誘し、
詐欺を行う実行者(Cさん)を紹介するものです。
この場合、Aさんも騙されています。信用しきっています。
場合によっては勧誘したらCさんからいくらかお金をもらえる場合も
あります。
ですので、Bさんへの勧誘をとても熱心に行います。
Bさんも、今までの団体の活動でAさんを信用しきっているため、
特に疑うことのないまま、Cさんを紹介してもらい
詐欺の被害にあってしまうのです。
そして被害が拡大してしまいます。
ここで大事なことは
「お金のことは人間関係と別に判断してよい。判断すべき」
ということです。
どれだけ経営者団体などで仲が良くても
お金のプロではございません。
ですので、話を信用して、話に乗ってしまうことは、本当に危険なのです。
お金のことは、プロである弁護士の助言を聞くことが
有効です。
決して、Aさんを裏切ったりするような行動ではございません。
4.最後に
一旦詐欺業者にお金を支払ってしまうと
自分たちで使ってしまい、あるいは詐欺の運営に充ててしまい
すぐなくなります。
「ない人からは取れない」というのが今の日本の法制度ですので、
詐欺の被害金を取り戻すことは極めて困難です。
今や、詐欺の実行者やそのグループは詐欺罪で捕まったり
刑務所に入ることをもう恐れていないようですので、
「警察にいう」というのも被害回復の交渉の材料にならないことが
多いです。
どうか、取り戻せない事態になってしまう前に
お金を払う前に
「念のためちょっと聞いてみようか」という意識をもって
弁護士に相談されることを、強くお勧めいたします。



