任意整理の現状のご説明とメリット・デメリット
一気に朝晩が涼しくなりましたね。
長袖が欠かせなくなりました。
季節の変わり目ですので、皆様、体調にお気をつけくださいね。
さて、今回のコラムは
「借金の返済を理由に養育費の支払いを拒みたい人、拒まれている人へ」
というタイトルで、
養育費の支払いと借金の返済、どっちが優先されるか、
また具体的にどうしていくべきか、
書いていきたいと思います。
借金、特に金融機関からの借金は
「返して頂けませんか」という催告が
きつく、また実際に返さなければ
どうなってしまうか
と怖く感じることもあるかと思います。
他方、養育費は、もとは結婚して家族だった人への支払いですので、
甘さが出てしまうこともあるかと思います。
また、お金がなかったり、精神的にしんどいときは、
つい支払いたくないと感情的になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、今の法律上は、
圧倒的に養育費の支払いが優先されます。
凄まじく圧倒的に、です。
相撲に例えると、横綱と序ノ口の力士が対戦するくらい圧倒的にです。
どれくらい優先するかといいますと
(1)給与債権は手取り額の2分の1
(または手取り額が66万円を超える場合は33万円を控除した額)
まで差し押さえ可能
※ 通常の金銭債権は4分の1
または手取り額が44万円を超える場合は33万円を控除した額
(2)未払養育費は破産免責の対象にならない
です。
ですので、養育費を長期間延滞し、その結果給与が半額差し押さえられ、
生活ができなくなって自己破産手続きを行っても、
未払養育費は免責されないため、給与差押が再度なされてしまい、
給与がまた半額になってしまうことになります。
とても恐ろしい事態になるのです。
このことを踏まえ、それぞれの立場に立って、アドバイスをしていきます。
1 借金の返済を理由に養育費の支払いを拒みたい人へ
今すぐ発想を転換してほしいです。
「養育費の支払いを優先させる」ことを強くお勧めいたします。
それが、子供の養育のためにも必要で重要なことです。
養育費の支払いが滞り、未払養育費が増大すると、免責の対象にならない債務が残ってしまい、延々と給与が半額差し押さえられてしまうことになりかねません。
「でも、養育費を支払ってしまったら借金の返済ができない」
そのような場合は、まさに、借金が支払えない場合そのものです。
ですので、すぐに弁護士に相談し、自己破産その他の法的な方法を検討することをお勧めいたします。
なお、法律上相当な金額を超える養育費を支払っておられる方は、別途、検討が必要になります(養育費減額調停申立など)
2 借金の返済を理由に養育費の支払いを拒まれている方へ
繰り返しになりますが、借金の返済よりも養育費の支払いの方が優先されます。
ですので、借金の返済を理由とした養育費の拒絶には一切応じる必要はございません。
子供の養育のため、粛々と
(1)調停、訴訟等による債務名義(簡単に言えば強制執行できる権利。公正証書で離婚協議書を作っておられる方などはすでに有しています)の取得
(2)給与(または預金など)の差押手続き
を行っていくことをお勧めいたします。
方法は裁判所のウェブサイトにある程度掲載されております。
もちろん、弁護士に相談されることも、とても有益です。
借金の返済よりも養育費の支払いが実現される事が増えていくことを
願っております。