任意整理の現状のご説明とメリット・デメリット
寒暖の差が大きい日々ですね。
調子を崩さないように過ごしたいと思います。
さて、今回のコラムでは、
「ギャンブルやFX等により借金が増えてしまった人やその身近な人へ
~借りたり立て替えるのは絶対NG~」
と題して、
どうすれば借金の負担から生活を立て直すことが出来るかについて
述べたいと思います。
借金を作り、債務超過に陥ってしまう方々には
様々な原因があります。
ギャンブルや、FXと呼ばれる投機性の高い金融商品で
借金が増えた方も多いです。
ギャンブルやFXは、理屈では「負けることが多い」と思っていても、
どうしても、頭の構造上、勝った時の快感や勝負している時の感情
(俗にいう「熱くなる」)に支配されてしまい、
つい多額の支出・借入につながってしまいかねません。
気が付いた時には
「収入では返せないほど、多額の借金を背負っている」
状態になってしまいます。
このような人はどうすれば良いでしょうか?
また、身近にこのような人がいる場合、どうすればよいでしょうか?
大まかな方法としては以下の3つが考えられます。
(1)誰かに借りて返す、または立て替えて支払ってあげる
(2)支払えないので放置する
(3)弁護士に相談して自己破産や個人再生の方法を取る。
おそらく、ここまでお読みになった方については、
このコラムは弁護士が書いているので
(3)を勧めるんじゃないか、と思われていると思います。
まあ、その通りなのですが、
単に(3)が良いというだけでは説得力がないため、
今から、(1)が絶対だめで、(2)もお勧めしないのかについて
ご説明いたします。
(1)誰かに借りて返す、または立て替えて支払ってあげる方法
この方法は、本当にいけません。
今から残酷なお話を致します。
例えば、息子がギャンブルにはまり、「オギ金融」という消費者金融に
50万円を借りてしまったとします。
息子から頼まれた両親は、
「これでもうギャンブルも借り入れもやめてくれたら」と
切実な願いで、
何とか50万円を用意して、「オギ金融」に返済しました。
しかし、「オギ金融」にとってみれば
「支払いが滞っても、誰かが一括で返してくれる優良な顧客」
になってしまうのです。
その結果、また、「オギ金融」は息子に勧誘し、貸し付けてしまうのです。
結局、また、借金は膨れ上がってしまい、
なけなしの50万円は無駄になってしまいます。
残酷なお話ですよね。
なお、「弁護士が代理してオギ金融と支払いの交渉をした場合」は
弁護士が介入したことになりますので
オギ金融は基本的には借り入れの勧誘をすることはございません。
(2)支払えないので放置する方法
お金は沸いてこないので、
お金がなければ支払えません。
ですので、支払えないまま放置している方も多いです。
しかし、現在の民事執行制度は、改正が繰り返され、
きわめて債務者にとって厳しくなっています。
(特に婚姻費用や養育費については厳しいですが
この点は今後またコラムで述べます)
民事訴訟で敗訴したり、公正証書で定めた借金を返済しなかった場合、
債権者は、
預金がわかっていれば預金を差し押さえ、
勤務先がわかっていれば勤務先の給与を差し押さえます。
これらが出来なかった場合、以前であれば債権回収を断念するケースも
あったと思いますが、
今は「財産開示手続」が強化されています。
「財産開示手続」とは、
債権者が債務者の財産に関する情報を取得するため
債権者の申し立て、裁判所の決定に基づき、
債務者(開示義務者)が財産開示期日に裁判所に出頭し,
債務者の財産状況を陳述する手続です。
債務者が正当な理由なく応じない場合は
刑事罰が科されることになっています。
この財産開示手続きがなされてしまうと、
債務者のうち給与所得者の方は、勤務先を開示しなければなりません。
自営業者の方は、売掛金の債権者などを開示しなければなりません。
そうすると、給与や売掛金を差し押さえられてしまい
(ただ、給与は全額ではなく、4分の1(婚姻費用・養育費の場合は2分の1)の場合が多いです)
生活がたちまち困窮することになってしまいます。
「入ってくるお金」が無くなるのは、
とても厳しいですよね。
ここまでやってくる債権者がいるかもしれないと
思いながら、借金を放っておくのも
精神的に極めて厳しいのではないかと思います。
ですので、(2)の方法もお勧めしないのです。
(3)弁護士に相談して自己破産や個人再生の方法を取る。
ですので、やはり、(3)の方法が一番ということになります。
破産法上、ギャンブルやFXによって借金が増大した場合は
「免責不許可事由」とされています。
しかし、現在の実務では、ギャンブルやFXに関する支出によって、
債務が増大した場合でも
正直に申告し、反省し、家計を改善すれば
ほぼすべての場合で免責が認められています。
また、住宅ローンを抱えていたり、
保険解約返戻金・退職金その他99万円以上の財産がある方
については
おおよそ、債権額の5分の1または100万円のうち多い方(または財産額)を3年~5年で支払うことによって、債権の残額を免除してもらえる
「個人再生」という制度もあります。
この制度であれば、住宅や財産を残すこともできます。
「弁護士に相談しても無駄だろう」
「弁護士に相談せずに私たちで何とかする」
と考えるよりも、
是非、早期に弁護士に相談されることを
お勧めいたします。