「生活が苦しいのに借金の返済をしている方」へのアドバイス
暖かい日が多くなってきましたが
皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のコラムでは
「証拠がないけどどうすればいい?~民事訴訟と証拠の役割~」というテーマで
普段あまりなじみのない「証拠」について
わかりやすくお伝えしたいと思います。
オギ法律事務所は、借金問題(個人再生・自己破産・任意整理)や
交通事故、相続の案件の割合が多いですが、
民事訴訟も多く手がけております。
簡単な訴訟もありますが、多くの訴訟は複雑な事案です。
そして、そのような複雑な事案でも、
多くの勝訴判決や勝訴的和解を実現しております。
当事務所が、民事訴訟で心がけていることは
たとえ決定的な「証拠」がなくても、
勝訴または勝訴的和解に近づくため、できるだけ証拠を多く提出し、
また証拠に基づく主張を行っている点です。
裁判は「事実」の有無を「証拠」によって確定する手続きです。
では、どのような事実の有無を証拠によって確定していくのでしょうか。
刑事裁判だとわかりやすいです。
「犯罪事実の有無」と「犯罪者が被告人かどうか」ですから。
ところが、民事裁判だととてもわかりにくいです。
不正確であることを承知の上で、あえてわかりやすくいうと
「当事者が争っている事実」のうち
「請求を認めてもらうため(あるいは否定してもらうため)に重要な事実」
の有無を「証拠」によって確定していくことになります。
例を挙げて、ご説明いたします。
AさんはBさんに平成28年12月10日に100万円を貸しました。
しかし、AさんはBさんからお金を返してもらっていないと感じ
100万円の返還を求める訴訟を提起しました。
この場合、訴訟において
(1)Bさんが「そもそも100万円を渡された覚えはない」と主張すると
「100万円を渡された事実」(以下、事実(1)といいます)が
当事者が争っている事実であり、かつ、請求を認めてもらうため
(否定してもらうため)に最も重要な事実となります。
(2)Bさんが「100万円は借りたのではない。もらったのだ」と主張すると
「100万円の返還の合意(貸金の合意)の事実」
(以下、事実(2)といいます)が
当事者が争っている事実であり、かつ、請求を認めてもらうため
(否定してもらうため)に最も重要な事実となります。
(3)Bさんが「100万円は借りたが、すでに返した」と主張すると
「100万円の弁済の事実」(以下、事実(3)といいます)が
当事者が争っている事実であり、かつ、請求を認めてもらうため
(否定してもらうため)に最も重要な事実となります。
では、このような事実を、どのように「証拠」によって立証していくことに
なるのでしょうか。
事実(1)(100万円を渡された事実)を例に考えてみます。
証拠は、大きくいうと書証(書面)と人証(供述)に分かれます。
そして、最も強い証拠は、書証のうち当事者が書いた書面です。
事実(1)ですと「Bが作成した100万円の領収書」になります。
しかし、実際には、このような「領収書」が残っていないこともあります。
この場合、Aとしては、他の証拠で立証していくことになります。
この際、技術が未熟な弁護士は、Aの人証(供述)のみに頼ってしまいがちです。
たとえば、「Aが『100万円渡した』といっている」ということだけを
主張しがちなのです。
Aの供述だけだと、
Bから「そのようなことは聞いていない」という供述をしてしまうと、
裁判所としては、なかなか証拠に基づく判断ができません。
Aの供述とBの供述という証拠のみ存在するだけでは、
どのような事実を認定すればいいか、裁判所も判断できず
「100万円渡した」という事実は認定しづらいからです。
いわゆる「言い合い」の状態になります。
では、どうすればいいかというと
Aの供述を裏付ける事実は何かを考え、その事実を立証する証拠を
できる限りたくさん集め、
裁判所に提出することです。
たとえば、Aの立場に立てば、
(ア)Aの主張する貸付日の前日に100万円の出金を行った履歴が残っているAの預金通帳
(イ)Bの説明していた100万円の使途を裏付ける証拠(借金返済目的での借入であれば借入金の返済の明細)
(ウ)Bが借入の際にAに対し「友人に頼んだが断られた」と説明していた場合はその友人の陳述書
などが考えられます。
逆に、Bの立場に立てば
単にAの供述は虚偽であると主張するだけではなく
(エ)事業がうまくいっており、借入の必要がなかったことを示す預金通帳の写しや確定申告書の写し
(オ)当時のAとの人間関係(借金を申し込むほどの仲ではなかった)ことを示す友人の陳述書
などを証拠として提出することが考えられます。
当事務所は、決定的な証拠(この場合は領収書)がない場合でも、できる限り、
依頼者の供述を裏付ける証拠を考え、集め、
依頼者の方の主張が認められるように最善を尽くしております。
ですので、提出する証拠が多くなっております。
証拠の話については、事実(2)、事実(3)についても
書きたかったのですが、
分量が多くなりすぎるので
この程度にとどめておきます。
「訴訟を起こすしか解決がないと思うのだが、証拠が揃っていないと思う・・・」
とお考えの方や
「訴訟を起こされた。証拠が少ないから負けるかもしれない」
とお考えの方がおられましたら、
是非、オギ法律事務所にご相談されることをお勧めいたします。
なお、このコラムを見た方に限り、
民事訴訟に関する相談につき、30分無料とさせて頂きますので、
この機会に、是非、ご相談されることをお勧めいたします。



