人財コンサルティングのプロ小川修平

人財コンサルティングのプロ

小川修平

企業は人なり！

　事務所に入ると、女性の華やかな声に混じって「どうぞー！」と男性の大きな声が。この声の主こそ、京都・下京区「小川会計事務所」代表の小川修平さん。こちらまで元気が湧いてくるような明るさと、質問に全力で答えてくれるその姿勢が印象的です。
　
　2007年11月に同事務所を開業し、現在約100人以上の顧客を支えています。そんな小川さんのモットーは「現場の声を聞く」こと。
　「社長とお話することが当然一番大切なことです。誰よりも真剣に会社のことを考えているのは絶対に社長自身ですから。ただ、従業員の方たちの声を聞くのも大事なこと。会社が実際に動いている現場の声を知らないと、会社の本当の現状もわかりませんから。まず会社に行くと、僕は社長室ではなく社員の方や工場の作業員の方がいる場所へ向かいます。『小川くん！　社長が探しとったで』って声をかけられることはしょっちゅうです」
また、会社の「非組織図」を把握することも重要と話します。

　「実際、現場で誰の発言力が一番強くて、会社のことを理解いるのは必ずしも組織図どおりではないことが多い。実は事務の方が会社の人間関係や問題点を客観的に把握していたりする。それにしっかりと気付き耳を傾けることで、本当の意味での会社の問題点が浮き彫りになる。それを社長とともに解決していくことが僕の仕事です」
不景気や経営難で苦しむ会社を多数見てきた小川さんが気付いたことは「人件費を払うために、利益をあげる」という考え。
　
　「苦しいときは人件費や経費をカットしようとする人が多いのですが、本当に無駄が多いのは実は商品の仕入れだったりします。たとえば飲食店の場合は必ず冷蔵庫を拝見します。たいてい経営がおもわしくないところはぐちゃぐちゃなんです。いつ仕入れたかわからないような食材がゴロゴロ冷凍されています。意外とどんな会社も、こういう無駄な原価が発生している場合が多くて、ここを正せば驚くほど利益は上がるものなんです。人件費を確保し、雇用を維持することが会社の一番大切なこと。会社はそのために利益をあげ続けないといけないのです」

自分で考え、自分で行動し、自分で責任がとれる仕事がしたかった

　小川さんがこの仕事を目指した大きな理由は「自分で考え、自分で行動し、自分で責任をとる」仕事をしたかったということ。大学卒業後に滋賀の会計事務所の代表に出会い、小川さんは仕事の姿勢の基礎を築きあげます
「言われたのは『大きな仕事をやってのけることが良いことじゃない。地べたにはいつくばって、現場に入ることが大切。その会社の工場が作っているクギ1本がどのように作られて流通しているか知ることが大切』と。5年間お世話になりましたが、本当にいろいろと教えていただきました」

　30代という会計士の世界では若い小川さんですが、顧客との関係を聞いているとまるで親子のような深さも垣間見えます。
　「会計の仕事に関してはプロでも、お客様の会社の業種に関しては素人。お話するときはメモが手放せません」
この熱意が、多くの顧客の心を揺さぶっているのかもしれません。

　あと数時間で新年というときに、ある顧客から電話がありました。
　「もう倒産や……と聞いて、すぐに社長の元へ向かいました。しかし社長は、倒産の危機にもかかわらず、自分のことは全く触れず、従業員とその家族をなんとかして守りたいという決意を話しはじめたんです」

　その後、再建のために二人三脚で協力し合い、会社は危機をまぬがれたどころか、今や有名企業に成長するまでの飛躍を見せたそうです。そのとき社長に言われたのが「一緒に闘ってくれた小川さんがいたからがんばれた」
　この言葉が、小川さんの仕事の指針になりました。

「小川先生」ではなく、常にそばにいる「小川さん」でありたい

　「本当に困っている人がいるなら、一緒に努力して解決したい。一人で闘うことはないんだ、ということを知っておいてほしい。そのためにも、常にお客様の身近な存在でありたい。だからみなさんに『先生』なんて呼ばせません。『小川さん』で十分です」

　仕事はもちろん、小川さんがもっとも大切にしているのは、自身の事務所で働く4人の女性従業員のこと。
　「産休制度をきちんと整え、産後も復帰できる環境を整えてあげたい。僕はまず自分の従業員が一番で、その次にお客様が大切と話していますから。でも、それを伝えることで、お客様のほうも自分の従業員を大切にしないといけないという意識をもってくれればうれしいですね」

　そんな小川さんの肩書きは「人財コンサルティングのプロ」。「人材ではなく『人財』ですよ！」

（取材年月:2010年3月）

本音でぶつかり、話し合って……一緒に闘えるパートナーでありたい

企業は人なり！

自分で考え、自分で行動し、自分で責任がとれる仕事がしたかった

「小川先生」ではなく、常にそばにいる「小川さん」でありたい

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