私の3つの強み
強み① どんぐりから始める循環型林業による原木キノコ栽培
市場に流通するシイタケの多くは、おがくずや米ぬかを固めたブロックを使う菌床栽培です。短期間で安定的に収穫できる反面、木そのものが持つ風味や栄養は希薄になりがちです。私が一貫してこだわるのは、クヌギやコナラなどの天然木を原木として使う伝統的な栽培法です。この違いを知らない消費者がほとんどだという現状に、私は強い問題意識を持っています。
私が手掛ける「京ぽんぽん(原木しいたけ)」は、山から切り出した木に穴をあけて菌を打ち込み、半年以上かけて菌糸を木質繊維全体に行き渡らせます。土地の風、湿度、温度を読みながら丁寧に管理することで、身が詰まってぷりっとした食感と、肉厚でジューシーな味わいが生まれます。関西圏の百貨店やホテルチェーン、星付きのレストランに出荷しているのも、この品質への確信があるからです。
さらに私は、原木として使う木を外部から調達するだけにとどまりません。どんぐりを拾い、苗木から育て、植樹するところから始めます。「伐って、使って、植えて、育てる」という循環型林業の実践です。使い終わったホダ木は、埋め込みマット等の昆虫商品として余すところなくリサイクル活用しています。この一連の流れが、私の農業の哲学そのものであり、他の生産者との最大の差別化点です。
原木栽培と菌床栽培の違いを、1人でも多くの方に知っていただくこと。それが私の使命の一つです。里山の恵みが食卓に届く瞬間、その背景にある森のストーリーも一緒に届けたいと考えています。京都・京北の地が育む本物の味わいを、ぜひご自身の舌でお確かめください。
強み② 飲食・流通・広告の実務経験が生む市場直結の販売実績
良いものを作れば売れる、という時代はとうに終わっています。農業の世界でも、商品の価値をいかに伝え、どの販路で届けるかが勝負を分けます。私が他の農業者と一線を画せる理由の一つは、独立前に積み上げた多様な実務経験にあります。
飲食店での接客・提供を通じて消費者が何を求めているかを肌で学び、外資系大手スーパーマーケットでは食品流通の実態と購買行動を理解しました。さらにデジタル広告の制作会社では、ターゲットに的確に情報を届けるプロモーション戦略を習得しています。これら三つの現場で鍛えた「顧客目線」と「市場感覚」が、今の私の事業を支える柱になっています。
その成果は販路に表れています。関西圏の百貨店・ホテルチェーン・星付きレストランへの出荷、道の駅やECサイトでの販売、さらにはテレビ朝日「食彩の王国」への出演と、多角的な展開を実現しています。農業の現場にいながら、商品を「売り切る力」を持っているのは、こうした異業種経験があるからこそです。
きのこを作ることと、きのこを届けることは別の技術です。私はその両方を持つ農業者として、生産者が減少し続けるこの業界で、持続可能な農業の形を実証したいと考えています。
強み③ 廃業農家の継承と若者参入を支える里山再生の取り組み
高齢化による廃業農家の増加は、単に食料生産の問題にとどまりません。人が入らなくなった山は荒れ、放置された原木は朽ちていきます。美しかった里山の景色が失われ、地域の文化そのものが消えていく。私はその現実を目の当たりにして、ただ自分の農場を守るだけでは意味がないと感じるようになりました。
私が構想しているのは、農業界では珍しいフランチャイズのような仕組みです。廃業される農家さんから原木林や農地を譲り受け、現地に赴いて仲間を募りながら仕事を継続する。百里衆の「分身」が全国各地の拠点で活動し、それぞれの里山を維持管理していくビジネスモデルです。初期投資や販路確保という参入障壁を組織的にカバーすることで、志ある若者がリスクを抑えて農業に参入できる環境を整えることを目指しています。
また、農業にとどまらず空き家の管理・リノベーション事業も手掛けており、古民家を賃貸物件として再生させた実績もあります。移住者を迎え入れ、住む人と働く人が増えることで、里山そのものを持続させる。そのためのきっかけを地道に作り続けています。
社名の「百里衆」は、里山と共に歩む百姓集団を意味します。京都・京北の地で守り育てた循環型林業のノウハウを、日本中の里山に広げていくこと。それが私の描く未来です。原木キノコを通じて、美しい里山の景色と地域のにぎわいを次世代へつなぎたいという想いで、今日も畑に立っています。



