「塾ジイの日記」18　―言語系科目と忍耐力ー

繋がる瞬間までガマンする

わからなくてもやり続ける！？

3/5（火）
予備校の授業の「民法」の前半が終了した。これで全体の20％くらいのところまでインプットしたことになる。まだまだ先は長い。「憲法」に比べて「民法」は難しい。内容が具体的であるため論点が多く、最近改正された条文もあるので「理解すべき論点」と「暗記すべき判例」が非常に多い。「民法」の授業の初日にT先生も「民法は難しいですが、わからなくても取りあえず一通り学習してください」と言っておったな。

そんな中、この前授業でT先生に質問した。
「先生、今日の講義で『無権代理人による取引では即時取得は適用されない』と仰っていましたが、無権代理人でも表見代理人であれば即時取得は適用されるのですか？」
「適用されますよ。表見代理人は無権代理人ですが契約の相手方を保護するために代理権授与表示がなされたり、予め表示された代理権の範囲内の行為であれば有効な代理人とみなされるんです。ですから即時取得は適用されます」
「なるほど、よくわかりました。ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。あ、出口さん…」
「はい？」
「よく勉強されてますね。今の質問はある程度理解が進まないとできない質問です」
「あ、ありがとうございます。なぜだかよくわからないんですが、最近色々な事柄が少しずつ繋がってきたような気がするんです」
「それはすごく良い傾向ですよ！特に民法はそれぞれの条文の【繋がり】が理解のポイントなんです。この調子で学習を進めてください」

【繋がり】が理解のポイントか…。これは子どもの学力にも当てはまる話じゃ。特に言語系の科目（国語・英語）に関してはわしにも経験がある。国語や英語は正しいやり方で学習を進めてもなかなか成績が上がらない。ところがある日を境にして劇的に成績が上がり始めることがある。わしも中学2年生までは全く英語がわからなかったが、NHKラジオの「基礎英語」を毎日聴いていたら突然わかるようになったのを思い出した。あの時も何かが【繋がった】感覚だったな。この【繋がる→劇的な成績上昇】は数学や理科、社会のような「段階的な成績上昇」の傾向にある科目とは対照的じゃ。だから【繋がるまで努力し続ける】ことが非常に重要だということだ。一定期間努力しても成果が出ないと「自分には向いていない」というイメージに支配され「英語・国語は勉強しても意味がない」という思いに駆られ「成績が伸びる前に“自分は英語と国語が苦手”というレッテルを貼ってしまうんじゃ。もったいない話じゃ。指導者も子どもや親に対して【繋がるまで学習を継続する指導】を心がける必要があるということじゃな。英語や国語のような言語系の学習には【忍耐力】も必要ということか。「続けていれば必ずできるようになる。【繋がる】までやり続けなさい」このフレーズをこれから何度も自分に投げるだろう。あの中学生の時に味わった【繋がる瞬間の喜び】を再び味わえるか否か…これも合格後の祝杯と同じくらい大きな【好子】じゃ。

＊人物名等はフィクションです
＊drawn by 蒼りんごさん