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「塾ジイの部屋」14 ―「緊張して失敗しそう」問題克服法ー

久保克己

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テーマ:受験勉強における行動原理

緊張の荒波を乗り越えるサーフボード

こんにちは。出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。今では自宅のアトリエで趣味の油絵を楽しむ傍ら、近所の小中学生に勉強を教えています。最近親御さんや子ども達から学習や受験に関する相談を受けることが増えました。今日は週1回英語を教えている竹中章子(たけなか あきこ〈中2〉)さんから相談を受けました。

普段の実力を100%発揮する方法ってあるの?

緊張の経験値

「どうじゃ、部活(書道部)は忙しいか?」
「来月コンクールがあってその応募作品の練習が大変なの」
「そうか。章子は昔から字がきれいじゃったからな」
「7歳からお習字習っているから。あとスポーツ、特に団体競技とかあんまり得意じゃないから、ひとりで取り組めるお習字が性に合ってるの」
「なるほど。で、わしに相談というのは?」
「わたし今年受験生になるのが不安なの」
「何が?」
「わたし小さい頃から人前で話したり、何か大事なことをやるときにすごく緊張するの」
「今まで緊張してうまくいかなかった経験とかあるのか?」
「いっぱいある。幼稚園のとき学芸会で緊張しすぎて頭が真っ白になってセリフ忘れちゃったとか、体育のバレーボールで体が硬直してミスを連発したりとか、キリがない」
「〈試験で緊張して失敗したらどうしよう…〉という不安か?」
「そう。入試で緊張しすぎて失敗してしまうんじゃないかと思うととても不安」
「そりゃそうじゃろうな」
「塾ジイなら何か良い方法を知っているかな、と思って」
「緊張しない方法か…そんな方法があったらわしが知りたいくらいじゃ。お酒の力を借りるという“リーサルウエポン”はあるんだが…」
「えっ?」
「いや、なんでもない。入試はだれでも多かれ少なかれ緊張するもんじゃ」
「私は“多かれ”の方なのよ」
「そうじゃなあ…わしからは2つしかアドバイスできん」
「何それ?教えてよ」
「ひとつは【場数を踏む】こと」
「場数?どういうこと?」
「【緊張の経験値を上げる】んじゃ」
「緊張の経験値?」
「具体的には模擬テスト等を多く受けることじゃ」
「いっぱいリハーサルをするってこと?」
「リハーサルではなく【模擬テストを本番のつもりで受ける】んじゃ」
「でも模擬テストと本番の入試はちがう」
「何がじゃ?」
「何がって、その緊張の度合いが…」
「それは章子の姿勢の問題じゃろうが」
「ウチの問題?」
「『本番じゃないから楽勝』なんて思っていれば、そりゃ本番は緊張するじゃろう」
「模擬テストもドキドキしながら受けるってこと?」
「そういうことじゃ。【テストでの緊張に慣れる】と言っても良いかもしれん。そういう意味では【大きな会場で実施される模擬テストを受験する】のも良かろう」
☞「塾ジイの部屋」4 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5116677/

20%の差

「もうひとつのアドバイスは?」
「100%の力で合格しようとしないことじゃ」
「えっ!?それってもしかして『120%の力を出せ!』みたいなこと?」
「その逆じゃ」
「逆?」
「80%の力で合格するんじゃ」
「80%の力…」
「よく入試直前に『100%の力を出せば君は受かる!』のような激励メッセージを見かけるが、裏を返せば『100%の力を出せなければ受からない』ということじゃ。
「たしかに…」
「そもそも入試本番で100%の力を出せる受験生はあまりいない。ということは【80%の力でも合格できるように準備する】ことが重要なんじゃ」
「つまり志望校のレベルより高い目標を設定するってこと?」
「そうじゃ。わしは現役時代入試当日の朝、受験生へ【半分の力で合格するように仕上がっているから緊張しても全然大丈夫!】と声をかけていた。それは嘘ではなく、わしは本気で【50%の力でも合格する】ように指導していた」
「……」
「人は『自分は〇〇〇だから夢を叶えるのは無理かな』という気持ちが湧き上がるときがある。そんなマイナスの気持ちに支配されても【楽観的に夢を描き目標を設定する】んじゃ。そして【夢や目標を達成するためのプランは悲観的に立てる】ことが重要じゃ。『緊張して失敗する』等あらゆるリスクを想定して対策を立てるんじゃ」
「塾ジイの話を聞いてなんかちょっと安心した」
「それは良かった。ところで志望校は決まったのか?」
「わたしS高校がいいなって思っているだけど、今の私の成績では無理かな」
「【楽観的に夢を描き目標を設定する】んじゃ。まずそこからじゃ」
「わかった。お母さんと相談してみる。ところで塾ジイはお酒を飲むときはいつも楽観的?」
「わしか?わしは常に悲観的じゃ。〈飲んではいけないときに飲むお酒がおいしい〉んじゃ。だからわしは常に次の朝が最悪の状況になることを想定して飲んでいる」
「意味わからん」
*参考書籍:「生きる」稲盛和夫 著
*人物名等はフィクションです
*drawn by 蒼りんごさん

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株式会社京進

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