「塾ジイのBAR」7 ―実力を底上げする過去問演習の方略―
こんにちは。出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。最近行きつけの飲み屋さん【きさらぎ】の定休日に店を間借りして、ちょっとだけバーテンダーをしています。私の前職を誰から伝え聞いてか、仕事帰りのお客さんから子どもの学習相談を受けることが増えました。今日は私が以前勤めた「宇加瑠出進学教室」法務課長の井矢多さんが来てくれました。先日のWEB社内報でのコメンテーターを務めた私の元部下です。
☞「塾ジイの日記」【外伝その1】https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5154907/
「何飲む?」
「いつも通りミズナラのソーダ割をお願いします」
「ミズナラ好きじゃな」
「ええ、飲みやすいから好きなんです」
「ところで、この前のWEB社内報の評判はどうじゃった?」
「すごい評判が良いんですよ。特に入社3年目までの社員は『参考になった!』という声が上がっています」
「それは良かったな」
「近いうちに第二弾が発信されるようです」
「小曽利部長より近日中の取材の依頼があったな」
「【好子混同】はやめてくださいよ」
「わしは結構気に入っているんじゃが…ところで井矢多さんは何回目で行政書士試験にパスしたんじゃ?」
「2回目です。初めて受験したのは大学2年生の時ですからもう7年前ですかね」
「2回連続で受験したのか?」
「いいえ、2回目は社会人になってからです」
「1回目と2回目の受験対策に違いがあったのか?」
「学習時間はほぼ同じだったんですが、勉強のやり方が全然ちがいました」
「ほう、どんなふうに?」
「1回目のときはひたすら参考書を読みまくりました。私は法学部に在籍していたのである程度の法律の知識はあったのですが、判例の知識はほぼゼロでした。その暗記に全力を注ぎました」
「なるほど」
「しかしそれでは試験で得点できないんです。行政書士試験は事案を見て論点をイメージできなければ正解できないんです。つまり問題演習を通して覚えた内容と紐づけるトレーニングが不可欠なんです」
「やはりそうか」
「そのことに気づいた私は勉強のやり方を180度変えました」
「つまりアウトプットに徹したということか?」
「その通りです。一度頭に入れた事項を何度も問題を通して見直す作業を行いました」
「わしもその方略で学習しようとしているんじゃが、ひとつわからないことがあるんじゃ」
「なんですか?」
「初見で間違った問題だけを抽出し、あとで振り返れるようにしているんじゃが」
「それが効率的だと思います」
「そうすると『振り返る問題(学習するネタ)が少ない』ことに気づいたんじゃ」
「なるほど。仰っている意味はわかります」
「そこをどう解決すればよいかアドバイスしてほしいんじゃ」
「他の国家試験の過去問を流用するんですよ」
「他の国家試験?」
「そうです。例えば司法試験や国家公務員試験、あ、それから司法書士の問題も使えるかな?」
「そうなのか?同じ国家資格とはいえ他資格の問題が使えるとは思わなかった」
「そこの考え方は入学試験の過去問と同じです。そもそもどの資格の試験も憲法や民法といういわば“教科書”を基に作成されているんですから。生徒が受験校以外の過去問をやるのと同じです」
「そうか!いや、相談して良かった。一気に課題が解決した感がある」
「それは良かったです。ただすべての国家試験が使えるわけではないので、そのあたりは予備校の先生に相談されるのが良いと思います」
「わかった!ありがとう。ところでもう一つ相談があるじゃが…」
「いいですよ。ミズナラボトルキープで手を打ちましょう」
「やはりそう来たか…」
(つづく)
*人物名等はすべてフィクションです
*drawn by 蒼りんごさん
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