「塾ジイの日記」2 ー受験勉強の一丁目一番地ー
出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。今では自宅のアトリエで趣味の油絵を楽しむ傍ら、近所の小中学生に勉強を教えています。最近親御さんや子ども達から学習や受験に関する相談を受けることが増えました。この度、子どもやその親御さんに伝えてきた学習や受験のノウハウが本当に妥当かどうかを自らで立証すべく行政書士試験を受験することにしました。これまで自身が発信してきた他人に向けたアドバイスや指導に則った行動を取ることにより、当事者としての感じ方や課題をこの日記に綴っていこうと思います。
学習計画の鉄則は…「自分に甘アマ」じゃ!
1月24日(水)
うーん、昨日飲んだミルク焼酎美味かったな!最近の焼酎のバリエーションは凄い。昔は「しそ焼酎」だけでもびっくりしたもんじゃ。
さてと、昨日立てた全体の学習計画(森)を踏まえて日々の学習スケジュール(木)を策定しなくては!…まず「毎日〇時間以上勉強するぞ!」というのはやめた方が良い。というよりゼッタイに長続きしない。わしは今までそのような生徒を何人も見てきた。4月の初めに意気込んでゲームをする時間も睡眠時間も圧縮し、「死ぬ気でがんばる!」と意気込んでいてもゴールデンウイークが明けたあたりからそのモードが一気にクールダウンしてしまう。
☞GWの悲劇 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5112365/
これは「やる気」の問題ではなく、「長時間勉強することそのものを目標・目的にしてしまう」からじゃ。受験勉強をスタートさせて一か月くらいはその目標は〈そこそこ〉達成されるので
(自己)満足してしまう。そんな中いつもと違う生活リズムになる長期休暇などが入ると一気にそのリズムが崩れてしまい「挫折」という泥沼へとはまっていく…このパターンの生徒はハッキリ言って合格の確率は高くない。
学習時間は「これだけやる」という意気込みではなく【この時間でやり切る】という“枠組み”として捉えた方がうまくいく。何より「睡眠時間を圧縮する」なんてもってのほかじゃ。【睡眠時間は7時間確保】をベースに計画を立てよう。そうだな…当面の間マックス一日3時間ってところじゃな。細分化した方が効率が良いので朝晩1.5時間ずつに分割しよう。朝の勉強の後はNHKの朝の連ドラを見るんじゃ。夜の勉強の後はビールタイムじゃな!あとは毎日はやらない。無理だから。そうだな…土曜日は【何もしない日】にしよう。これは予備日として取っておいて計画がすべて予定通りに実行出来たら【自分へのご褒美】にしよう。これで「きさらぎ」へ行く時間も確保できた!
次は…いよいよ学習方略の検討じゃ。ここからがこれまでわしが生徒に伝えてきた本丸じゃ。ちょっと脳がプルプルしてきたのでビールを飲んでクールダウンしよう。
「好子サンドの原理」
塾ジイはこれまで生徒へ指導してきた学習方略をそのまま自分に当てはめていますね。【受験勉強はやる気になってやるのではなく“作業”として捉える】ことは【夢→目標→作業→達成】のプロセスを踏むうえで非常に重要かつ合理的です。学習を“作業”と捉えることによって
①場所と時間を確保する
②作業効率を意識する
③無理なことはしない
がポイントになるんですね。特にある一定期間継続して目標達成のための施策を実行するには上記③が重要になります。“行動分析学”では「人間の行動は好子(好きなこと=ご褒美)を直後に与えると強化される」という考え方があります。例えは悪いですが、芸をした動物が直後にエサを与えられているのと同じですね。ポイントは【行動直後の好子】です。「来年の受験に合格したらUSJへ行こう」より「来週のテストで80点取れたらあのゲームソフト買ってあげる」の方が行動を強化するということです。その観点で考えると、塾ジイの勉強直後の朝ドラ&ビールは理にかなっているのかもしれません。あと、土曜日を予備日にしているのにも合理性があります。「すべての予定をこなせたら一日フリーになる」というのも大きな好子ですし、計画通りにこなせない日があれば、その日を使ってキャッチアップできるというメリットがありますね。
私はこの行動分析学の考え方に“脳科学”の理論をコラボすると学習効果が倍増するという仮説を持っています。それは学習を始める直前に【興味のあることに関わる】というものです。例えば勉強前に好きな音楽を聴いたり本を読んだりする行動です。その行動による“ワクワク感”言い換えると、自動車のエンジンのように「脳があたたまる」感覚が起こりその後の学習効率を上げられると考えられています。このように【学習時間を二つの好子で挟み込めば学習効率は相乗的にアップする】私はこの仮説を【好子サンドの原理】と名付けることに成功しました。私の造語ですが以後のコラムでもこの言葉を使って皆さんと目標達成について考えていきます。
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