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「塾ジイのBAR」1

久保克己

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テーマ:学校の三者懇談に臨むにあたって

三者懇談はまるで○○○会?


こんにちは。出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。最近行きつけの飲み屋さん【きさらぎ】の定休日に店を間借りして、ちょっとだけバーテンダーをしています。私の前職を誰から伝え聞いてか、仕事帰りのお客さんから子どもの学習相談を受けることが増えました。今日は【きさらぎ】の常連、某証券会社の部長である仲嶋さんがやって来ました。


「あれ?塾ジイ?ここで何してるの?」
「いや、ちょっと暇じゃから、マスターに頼んで定休日だけ間借りしてるんじゃ」
「へえー!そんな才能あったんだ!」
「大学時代に外国人パブでバーテンダーをやってたんじゃ」
「人は見かけに…」
「なんじゃと?」
「い、いや、何でもない」
「まあ良い。何飲む?」
「あ、じゃあ、ギムレットのハイボールで」
「……はい、どうぞ。ところで、最近の美由紀ちゃんはどうじゃ?」
「いやー、中3ともなると何を考えているのかさっぱりわからんよ」
「娘の気持ちは父親には永遠にわからんよ。ただ、そろそろ進路のことを決める時期じゃから、話をしない訳にもいくまい」
「そうなんだよ。この前嫁から『夏休み前に学校と塾で三者懇談があるから会社休んで!』って言われたんだけど、仕事休んでまで行くべきなのかな…」
「仕事を休んで奥さんの代わりに三者懇談へ行けと?」
「いや、違う。嫁と一緒に行ってほしいそうだ」
「あーなるほど…それは諸刃じゃな」
「というと?」
「どういう役割で参加するかによって結果が真逆になるということじゃ」
「役割?」
「そうじゃ。ここをしっかり決めずに両親が学校や塾の懇談に参加すると、往々にして“炎上”するんじゃ」
「炎上?」
「懇談の席上で親子喧嘩が勃発して収拾がつかなくなるんじゃ。わしも現役時代何度も経験した」
「なるほど」
「親子喧嘩ならまだしも、夫婦喧嘩のケースもあったな。あれには参った。気が付けばわしはボクシングのレフェリーになっておったよ」
「う~ うちもそうなりそうだ… 口では嫁に負けるからな…」
「腕力でも敵わんじゃろうが」
「う、うるさいな!(ず、図星だ…)学校の先生と話すの緊張するな…ちょっと一杯ひっかけてから行こうかな…」
「それは最悪じゃ。大事なことは各自が言いたいことを先生に言うのではなく、事前に役割分担しておくことじゃ」
「どんなふうに?」
「まずは大前提として、両親とも“子どもの味方”のスタンスで臨むこと」
「そんなの当たり前じゃないの?」
「頭でわかっていても、気が付くと“子どもVS先生&親の連合チーム”の構図になってしまうことが多い。そうなると本人は反発せざるを得ず、何のための懇談かわからなくなる。正に本末転倒じゃ」
「なるほど。じゃあ、その役割分担はどうすれば良いの?」
「例えば、先生の話を聴く係は父親、それを受けて本人の意思を確認する係は母親というふうに、情報収集と意思確認を分担するんじゃ」
「わかった!肝に銘じておくよ」
「うん…じゃがな、それだけでは不十分じゃ。懇談の前日あたりにリハーサルするのが効果的じゃ」
「リハーサル?」
「大体で良いので懇談当日の先生とのやり取りをシミュレーションするんじゃ」
「なんのために?」
「“想定内の状況を増やす”逆に言えば“想定外の状況を減らす”ためじゃ。懇談はあくまで表面的なセレモニーじゃ。大事なのはそこに至るまでのプロセスなんじゃ」
「プロセス…」
「懇談の時間はせいぜい30分くらいじゃ。それを最大限活かすためには事前の準備、つまり“想定問答”を備えておくと有効じゃ」
「想定問答…会社の株主総会みたいだな…」
「正にそれじゃ。先生から『A高校は厳しいからB高校にしましょう』と言われたらどう対応するか。その言葉に従うか否か。先生の意に反するならば『とりあえず頑張ります』ではなく、“いつまでに何をやるのか”をしっかり詰めておくんじゃ」
「なるほど…正に株主総会の想定問答だな」
「ここで頼りになるのが塾の先生じゃ。相談すれば親身になってアドバイスしてくれる筈じゃ」
「そうか。事前準備、株主総会のリハならイメージ出来るよ。これで完璧だな!」
「いや、リハーサルの真の目的は他にある」
「他に?」
「そもそも、リハをするためには先ず何をする必要がある?」
「何って…そりゃ、本人の希望を確認する必要が…」
「その通りじゃ。美由紀ちゃんの行きたい高校は何処だか知っているのか?」
「い、いや、それはまだ…」
「父親はなかなか子ども(特に娘)の進路について話をする機会が持てないものじゃ。その状態で懇談に臨めば、さっき話したように“炎上”するんじゃ」
「確かに…」
「じゃから、“懇談の事前準備”という名目で本人の希望(本音)を聞き出しておくんじゃ」
「なるほど…さすが塾ジイ!来て良かったよ!ところで塾の先生にはどうやって相談すれば良いのか教えてよ」
「もちろんじゃ!その前にわしにも泡盛を一杯貰えるかな?この前マスターが沖縄へ行って上物を仕入れたんじゃ。ちょうど飲みたいと思っていたところじゃ」
「え!それって情報料ってこと!?ここってそういうお店なの?」
「わしが居るときはな」
「趣味と実益を兼ねてるな…」
「当たりまえだのクラッカー」
「ふる(古)っ!」

中学校の、特に3年生時に実施される所謂“三者懇談”は子どもの進路を検討するうえで極めて重要です。通常はその名の通り【子ども+親+先生】の3名ですが、ご両親参加の“四者懇談”もよくあります。今回のエピソードのように、シミュレーションのうえ家族内でコンセンサスを得ておくと、懇談の機会を最大限活かせます。準備をするうえで塾の先生も頼りになる存在です。相談すれば様々なアドバイスをしてもらえるでしょう。学校と塾の懇談予定を確認し、本番までのロードマップを策定しておくのが良いでしょう。因みに上記仲嶋さんのお父さんはお酒の勢いを借りようとしていましたが、飲酒での懇談臨席は厳禁です(「当然だ!」と思われるでしょうが、私は何度か経験しました。もちろん私が飲酒したわけではないですよ!念の為)。
【株主総会:企業にとって一大イベント】=【三者懇談:家族にとって一大イベント】のイメージで、周到な準備をもって臨まれるのが良いでしょう。
次回は、「三者懇談に向けて…塾への相談のしかた」について考えます。

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*この記事はフィクションです。人物名等はすべて架空のものです。

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