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中学受験生、小6になって成績が下がって来た時

久保克己

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テーマ:中学入試

小5まで高い成績を維持してきたが、小6になって小5の頃と変わらない努力をしているのに成績が下がってくる場合があります。真面目でストイック、努力を惜しまない生徒にしばしば発生します。お子様は自信を失い、自分の能力にまで疑問を持ち始め、保護者様はそのようなお子様を目にして、どのようにすれば良いのか分からなくなります。普段からお子様の努力を認め、自信を持たせるように接しておられるご家庭で、このような事態が発生する時があります。

結論から申しますと、お子様への接し方は間違っていません。また、お子様の能力が不足しているのでもありません。多くの場合原因は、模擬テストの受け方や、勉強時間の配分など、技術的な事にあります。

1.模擬テストの受け方
満点でなくてはいけないという考えを捨てる事。取れる問題を確実に得点する事を目標にする事。
真面目でストイック、努力を惜しまない生徒は往々にして自分に対して完璧を求めます。その結果、テストは満点でなければいけないと心のどこかで思っています。満点を目指すのと、満点でなければいけないと思うのでは大きな違いがあります。「満点でなければいけない」と思っている生徒は、テスト中に分からない問題があるとパニックになり、その結果、取れる問題も取れなくなってしまいます。6年になると5年の頃と違い、模擬テストの問題レベルが上がります。実際の入試に照準を合わせた問題になるからです。では、実際の入試問題はどうか?難関と言われる中学の入試問題をご覧いただければお分かりいただけると思いますが、とても満点などとれる出題ではありません。算数を例にとれば、難関と言われる中学入試で、制限時間を小問数で割ってみると、1問にかける事が出来る時間が3分前後という場合もあります。しかも1問1問が難問でボリュームあります。つまり、入試の場面で解き方を試行錯誤している時間的余裕はない上に、余程とびぬけた得点力がない限り満点など取れません。そうなると、問題を見た瞬間に解き方が分かる問題をどれだけ確実に取る事が出来るか?が勝負になります。小6の模擬テストも同じです。模試で満点を目指して勉強するのは良いが、テストに向かった時は、満点にこだわらない事、少し考えて解き方が思いつかない問題は後回しにして、すぐに解ける問題を確実に得点する事が得点力アップになります。分からない問題で悩んで、時間を使って、結局間違えるのは得点力アップにとっては無駄な作業です。答えを書いて×でも、解かずにとばしても、得点が無い事は同じです。分からない問題は思い切ってとばして、次の問題に進みましょう。満点は取れません。それで良いのです。取れる問題をミスなく確実に取っていく事で得点力を上げましょう。分からなかった問題はテストが返ってきてから解説を読んで、解けるようになれば良いのです。
2.勉強時間の配分
分厚い参考書をやり上げる事を目標にせず、効率的な得点力アップを目標にする事。
社会や理科などで、完璧を目指す生徒は、市販の分厚い参考書を購入して「完璧に覚えて入試で満点を目指す」ことを目標にする場合があります。それが功を奏している場合は良いのですが、単に負担になっている場合もあります。まず、分厚い参考書を完璧に覚えるには膨大な時間がかかります。また、たとえ参考書1冊まるまる完璧に覚えたとしても、入試で満点は取れません。それよりも、塾で習ったことをしっかり復習して、塾で出された問題や塾で渡された問題集を解いて知識を定着させる事を優先しましょう。時間も短縮でき、残りの時間を、時間のかかる算数や国語の読解、理科の計算分野の問題に振り向ける事ができます。なかでも「分厚い参考書を完璧に覚えるために睡眠時間を削って勉強する」などというのは、非効率な勉強方法と言えます。睡眠不足になる事で記憶力も減退し、勉強の能率も下がります。その結果、覚えられなくなり、さらに睡眠時間を削る、という負のスパイラルになっていきます。分厚い参考書を負担に感じる場合は、辞書代わりに使いましょう。出来るだけ短時間で、得点力向上に結び付く勉強をして、睡眠時間はしっかり確保しましょう。

お子様の努力を認めてあげるのはなにより素晴らしい事です。「認められた人ほどストイックになる」という言葉があるように、お子様は親に認められると、よりストイックに努力をします。その結果、全てに完璧を求め、受験勉強の方向性を間違ってしまう場合があります。目指すものは、短時間で効率的に得点を上げる勉強です。一言で言うと、塾の復習、塾から貰った問題集の演習、とくに間違えた問題を重点的に、それと塾で行ったテストで間違えた部分のやり直し、それも一度復習しただけでは知識は定着しないので、繰り返しの復習です。毎日、短時間で行っていただきたい家庭学習としては計算と語句や漢字の練習でしょう。

お子様が得点に結びつかない努力をしている場合は、親が軌道修正してあげて下さい。

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久保克己(塾講師)

株式会社京進

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