「塾ジイの日記」32 ―諦めという名の鎖を身をよじってほどいてゆく―
前回のコラムで、お子様が目標を持ち、
自分から目標を口にするようになった時の
注意点として、下記の3点を書かせていただきました。
①お子様の話に耳を傾けてあげましょう。
②目標達成に必要なハードルを示してあげてください。
③ただし、ゴールやハードルだけを重視せず、
その目標に向かって努力し続ける事に意義があると
教えてあげてください。
本日は、もう少し詳しくお話したいと思います。
目標を達成するためには、努力を続ける事が大切です。
これは、言うのは簡単ですが、
実際に目標に向かって努力を続けることは、
簡単に出来ることではありません。
それは、努力しても、すぐに結果に結びつくとは
限らないからです。
「頑張ったけれど、思うように点数が取れなかった」
「すごく勉強したのに、前回のテストより点数が低かった」
こういう事があると、ついつい、
「努力しても無駄だ」と思ってしまいます。
たくさんの生徒達を見ていますと、
「頑張った。それですぐに成績が上がった」
という事の方が稀なのです。
むしろ、頑張り始めてから、成績が上向くまでに、
早い人でも1~2ヶ月、遅い人で半年くらいの
期間があります。
その間は、「頑張っているけど、成績が上がらない」のです。
「頑張っているけど、成績が上がらない」期間を
いかに我慢できるかが勝負になります。
私の受け持った中にこんな生徒がいました。
中1の頃は、第1志望の高校にとても届かない成績でした。塾のテストの偏差値も志望校の合格圏からは
遠い数字でした。
中2で少し成績が上がり、塾のテストの偏差値が
何とか50を超えるようになりました。
その生徒が、中3になると、成績がどんどん上昇し、
難関と言われる第1志望校に合格してくれました。
その生徒のすごさは、中1からずっと、
こつこつと努力を続けていた事です。
成績が上がらなくても、くさらず、諦めず、
日々、努力を続けていました。
「続ける事」が志望校合格につながったのです。
では、どうすれば努力を続ける事ができるのでしょうか。
私の知り合いの方からこんな話を聞きました。
「司法試験のカリスマ教師として有名な伊藤真さんが
次のようにおっしゃっています。
努力が続かなくなる大きな要因のひとつは
『退屈で単純なプロセスの存在』である。
これを回避するには、
①やるべき事を徹底的に絞り込む。
②所々ゲーム性を持たせる。
③やや難しい事にチャレンジする。
等があります。
例えば、私も毎日1時間ウォーキングをしよう!
と決めて続けていた時は、
①毎日コースを変える(これはノーマル)
②万歩計をつけて1時間で7000歩以上歩く
(相当な早歩きチャレンジです)
③歩きながら頭の中で3拍子、4拍子と
リズムをとる。
それでも飽きてくると5拍子、7拍子という
変則拍子のリズムを刻む
(これはややマニアックで右足と左足の強弱が
バラバラになります)等、
創意工夫?を凝らしたものです。
しかし、そういう工夫を続けていると、
不思議なもので、何かの都合で
ウォーキングできない事があると、
何か気持が悪かったり、どこか
落ち着かなくなったりしてきます」
これは示唆に富んだ話だと思います。
要は、「努力を楽しむための工夫をする」
という事ではないでしょうか。
子どもにとっては、どうでしょう。
①やるべき事を徹底的に絞り込む。
たとえば、テスト勉強をする時は、
自分が間違えた所や、不安なところだけを
徹底的に覚えなおす事かと思います。
中には、「全部、復習しないと不安だ」と言って、
テスト範囲の全てのページをみっちり見直し、
全ての問題を解きなおそうとしている生徒がいます。
これでは、時間と労力がかかりすぎて、
継続することがしんどくなってしまいます。
②所々ゲーム性を持たせる。
覚えにくい事柄は、五七調で覚える事などは、
一般的ですが、五七調で覚えたことに節(曲)をつけて、
歌いながら覚えている生徒がいました。
ゲームとは違うかも知れませんが、
「楽しんで続ける」事が出来るのではないでしょうか。
③やや難しい事にチャレジする。
テストが返って来た時に有効かと思います。
正解率が低かった問題にチャレンジしてみる事は、
案外、楽しいものです。
友達と、「ああでもない」「こうでもない」と
話をしながら、解法を探すのも実力アップには有効です。
勉強のことでお子様が悩んでおられましたら、
「努力が結果に結びつくには、時間がかかる」事と、
「努力を続けるにも楽しむ工夫が必要だ」
という事をアドバイスしていただければと思います。