「塾ジイの日記」32 ―諦めという名の鎖を身をよじってほどいてゆく―
前回、このコラムで、
「効果的に塾に通うためには、目標を持とう」
というお話をさせていただきました。
今回は、目標設定や達成方法について
お話しようと思っていましたが、
先日、中1のお子様をお持ちのお母さまから、
「中学生活の過ごし方」について相談を受けました。
皆様にも、参考になる部分も多いと思い、
今回はその話を紹介させて
いただきます。
お母さまの相談内容は以下の通りです。
「中1になって、子どもが○○高校
(地域No.1の公立高校です)に行きたい、
と言い出しました。
小学校時代の子どもの成績は、
ほとんど『できる』(真ん中の評価)
ばかりで、とても○○高校を目指せるとは
思えないのですが、○○高校に進学できる
可能性はあるでしょうか。
『○○高校に行きたいのなら、勉強しなさい!』
と言っているのですが、
それほど勉強している様子もないし・・・
親としては、どのように子どもに
接すれば良いのでしょうか?」
私からお母様にアドバイスさせて頂いたのは
次の通りです。
まずは、お子様が自分で目標を設定しておられる事を
喜んであげるべきです。
子どもは、目標を持って、それをクリアする事が
実は大好きなのです。
しかし、一般的には、子どもは、
自分から、そのような目標を持ったり
口にする事は多くありませんので、
非常に大きなチャンスと捉えるべき
かと思います。
(多くの保護者の方は、「子どもが自ら目標を持たない
」と嘆き、悩んでおられます)
ですから、このチャンスを無駄にせず、
最大限、活かしてあげる事がとても大事で、
そのための注意点が幾つかあります。
①お子様の話に耳を傾けてあげましょう。
気をつけて頂きたい事は、お子様の話を聞き流さない事。それと頭から「無理でしょ」と決め付けない事です。
お子様の話に共感しながら、目標を聞いてあげましょう。その上で、
「何故、その高校に行きたいと思ったのか?」を
聞いてあげてください。
大人から見れば、たわいない理由でも構いません。
目標を目指す理由が明らかになり、
親子で納得できたとき、お子様は迷う事なく、
目標に向かって努力できるようになると思います。
小学校の頃の成績で、「無理」などと
決め付ける必要はありません。
これからどれだけ努力できるかが
勝負なのですから。
②目標達成に必要なハードルを示してあげてください。
「目標を達成するために、どのレベルが必要か?」
を明確してあげてください。
「○○高校に進学するには、学校の通知票は
これくらい必要」。
塾にお通いの場合は、「塾のテストで
偏差値△△くらいを取っていれば大丈夫」
などなど、数字に裏打ちされたデータを調べ、
それをお子様に教えてあげてください。
進学に必要な成績データについて、
塾は詳しく揃えていますし、
ネットなどで調べる事も出来ます。
たとえば、「○○高校に進学するには、
学校の通知票は、9科目で40以上、
必要だね。まず、それを目指そう」
という事になると、目標がぐっと
具体的になってきます。
③但し、ゴールやハードルだけを重視せず、
あくまで、その目標に向かって努力し続ける事に
意義があると教えてあげてください。
子どもが目標を口に出すことは
非常に重要で喜ばしい話ですが、
その目標が本物か否かは、まだわかりません。
友人同志の間で、偶然、出た話題に影響されたとか、
何となく口に出した程度の目標かもしれません。
しかし、動機が何であれ、子どもが目標を持った
という事実を重視してあげる姿勢が大切です。
②で具体的なハードル、数値を示してあげて欲しい
とアドバイスしましたが、
ハードルばかりを強調しすぎてはいけません。
特に中1や中2のように受験まで、
まだ時間がある時は、目標が達成できるか否かよりも、
目標に向かって一歩を踏み出し、
日々、コツコツ努力する事自体を
尊重してあげる姿勢が大切です。
保護者の方が必要以上に焦ってしまい、
目標や途中成果を強調しすぎて
子どもが重荷に感じてしまう場合があります。
子どもの意志を尊重し、焦らず、
温かく見守ってあげる事が大切です。
いかがでしょうか?
参考になったでしょうか?
くれぐれも、子どもの意欲を大人が焦って壊してしまわない事
長年、多数の生徒指導を通じて、心からそのように感じています。