遺品の声を聴きその想いを遺族に届けるプロ
平木智之
Mybestpro Interview
遺品の声を聴きその想いを遺族に届けるプロ
平木智之
#chapter1
「遺品整理社 明日香サービス」は、京都市中京区を拠点とする遺品整理の専門会社です。「遺品の仕分けから、探索・処分まで一貫して対応します。お亡くなりになられた方が生前お使いになられていた生活雑貨や衣類、家具、家電製品などを、同じ思いを持って大切に整理し、ご遺族の負担が軽くなるようにお手伝いします」と語るのは代表を務める平木智之さん。
平木さんの強みは、打ち合わせ時に遺族から「探してほしい」と依頼された遺品を探索し、遺族のもとに届けることにあります。「家族旅行の写真があるはずだ」「遺言書があるかもしれない」「手紙を探してほしい」など、思い出の品を残したいけれども、どこにあるのかわからないと悩む遺族をサポートしています。
「本のページの間に、重要な書類を挟んでいないか確認するため、1ページ1ページ開いて確認したこともあります。また、1枚の領収書を探してほしいという依頼を受けた時は、室内に残された紙を全て1枚1枚確認して見つけ出しました」。遺品整理の一番の目的は、故人の思いが残っている品を探すことにあると力を込めます。「探したいご遺品をご依頼いただければ、見つけ出してお渡しできる自信があります。もちろん、通帳や現金、貴金属といった貴重品については依頼されなくても選り分けておき、作業が終了した時点で確認していただきます」
また、通常なら廃品として処分されてしまうような遺品にも目を配ります。手紙や写真など、故人の歴史が感じられ、生きた証となるような品物が出てきた場合は、必ず遺族に見てもらうとのこと。「故人さまの娘さんの作文や賞状を貼付したスクラップブックが出てきたので、ご遺族に届けたところ『忘れていた懐かしいものが見つかった』と喜ばれました」
そのため、遺品整理にはじっくりと時間をかけるという平木さん。「1日で整理を終える業者も少なくないようですが、亡くなった方の思いが詰まった品々を一つ一つ確認して整理するには時間が必要です」
#chapter2
整理後の遺品の行方について平木さんに尋ねてみました。「遺品を分別した後、ご遺族に確認してもらい処分が決まった品については、買い取り・リサイクル業者に依頼しています。まだ使える電気製品や食器、家具、衣類などは、生活用品を必要としている福祉施設や一人親世帯などを支援している団体に寄付しています。また買い取った場合は、買い取り金額を整理費用から差し引きますのでご安心ください。汚れ・破損があり再利用できない品は、一般廃棄物処理業者を介して適正に処分します」
開業以前は、廃棄物収集に関する仕事をしていた平木さん。「遺品回収に関わることがあり、そこで忘れられない経験をしたんですよ」と当時を振り返ります。「故人さまが大切にしていたカメラが、遺品ではなくゴミとして扱われ処分されたことに大きな違和感を覚えました」
故人が生きた証である遺品を大切に扱いたいという思いが高まった平木さんは、2012年知人とともに「明日香サービス」を設立。「遺品整理士認定協会 遺品整理士」、「終活カウンセラー上級」、「古物商許可」などの資格を取得し、「故人の私物が大量にあってどうしていいかわからない」「遠方のため遺品を整理できない」など遺品整理に悩む遺族を支援してきました。
#chapter3
修験道の行者としての顔も持つ平木さん。遺品整理の前には、仏壇への合掌礼拝を欠かしません。開業前に修験道の師匠から贈られた「廃品だと思わず、亡くなった方の気持ちをつなぐ仕事をするように」という言葉を心に刻み遺品と向き合ってきました。「長年、廃棄物に関わる仕事を続けてきました。その集大成がこの遺品整理の仕事です。お亡くなりになられた方が生前愛用した遺品には、故人の思いが込められている。その“遺品の声”を聴き、ご遺族につなぐことが私の天職だと感じています」
近年、高齢者が自宅内の階段などに置いた生活用品につまずき転倒する事故が増えていると表情を曇らせる平木さん。「体の動きが悪くなると、自分の手が届くところに生活用品を置いてしまう。一時的に階段に置いた服で足を滑らせて落下する事故も起きているので危険です。このような事故をなくすためにも、自宅内に不要な品を置かないように勧めています」。今後は、室内を整理して安全な空間を維持する活動にも取り組みたいと話してくれました。
(取材年月:2017年9月)
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遺品の声を聴きその想いを遺族に届けるプロ
平木智之プロ
遺品整理士
遺品整理社・明日香サービス
遺品の仕分け、探索、処分まで一貫して対応。現金、貴金属などの貴重品はもちろん、遺族から探索を依頼された品を確実に探し出す。また、故人の思いが詰まった品物や生きた証となるような品物を探し遺族に届ける。
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