手に届く高価格
30年前、小さな和菓子店を洋菓子店に業種転換するプロデュースをした。それまで、ケーキは殆ど食べたこともないし、興味もなかった。経緯で手伝うことになったが、そのお店は、転換後西日本でも有数の有名店になった。
味や店構え、規模などを知るために食べ歩きした。分かったことは、リキュールの効いたケーキのお店と可愛い子供用ケーキ屋さんが主流であった。
でも世の中は中流意識で、中間層が大幅に増えた時代である。求めるものが、変わっていると、食べ歩きしながら思った。
私は、もっと、普通の味で良かった。つまり、リキュールの効いたケーキや甘いケーキより、誰もが食べやすく、程よい甘さと、味を好んだ。
手に届く高級なお菓子、カジュアルな専門ケーキのような感じを求めた。
お店は、人物空間で構成されいる。その時代のコンセプトに適した対応、商品、雰囲気が必要だ。
そして、なんの為にお店をするのか、その理念が明確でなければならない。
準じて、その単価もそのコンセプトに合う手に届く価格が必要であり、価格構成に工夫の提案をした。
勿論、建築デザインが専門だから、何度も車で走り、その光景をイメージして作った。
では、今の時代はどうだろうか?
仮に、私が洋菓子店を次につくるなら、その時とは全く異なるお店をつくるだろう。時代に合った、個性を輝かせるお店を。