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熊本地震でわかった、増築した家の弱点とは?未登記物件に潜む5つのリスク

假屋英樹

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テーマ:暮らしのお役立ち情報

中古住宅を見ていると「この部屋はあとから増築されています、未登記です」と説明を受けることがあります。リビングが広くなっていたり、便利なサンルームが付いていたりすると、一見するとプラスに感じるかもしれません。もちろん、増築されているからといって、すぐに「買ってはいけない家」というわけではありません。ただし、その増築がきちんと登記されているか、法律で決められた建物の大きさを超えていないか、元の建物と構造的につながっているかは、購入前に確認しておきたいところです。

今回は、熊本で中古住宅の調査とリノベーションに携わってきた立場から、増築・未登記住宅に潜む5つのリスクと、購入前の確認ポイントを分かりやすくお伝えします。

増築・未登記住宅とは

なぜ「未登記の増築」が残っているのか
昔の増築では、工事後の登記手続きまで行われていないケースが少なくありません。建物を広げ、登記されている床面積や形状に変更が生じた場合は、原則として「建物表題部変更登記」が必要です。簡単に言えば、法務局に登録されている建物の情報を、工事後の実際の姿に合わせる手続きです。
売主自身が未登記だと知らず、相続や売却の際に初めて分かることもあります。ただし、サンルームやロフトなどは造り方によって床面積に含まれるかが変わります。名称や見た目だけで判断せず、土地家屋調査士や建築士による確認が必要です。


増築・未登記住宅に潜む5つのリスク

リスク1 建蔽率・容積率を超えている

建蔽率とは、土地を真上から見たとき、建物が土地を覆ってよい割合です。容積率は、土地の広さに対して建てられる各階の床面積の合計割合です。
新築時には基準内でも、あとから部屋を広げたことで上限を超える場合があります。増築によって法令に適合しない状態になると、住宅ローンが通らない、将来の売却が難しくなる、希望するリフォームを進められない、といった問題につながります。金融機関から、上限を超えた部分の解体を求められるケースもあります。
なお、建てた当時は適法で、その後の法改正などで現在の基準に合わなくなった建物は「既存不適格」と呼ばれます。後から基準を超える増築を行った建物とは扱いが異なります。同じ建蔽率オーバーでも、いつ、なぜ超えたのかが重要です。

リスク2 床下に入れず、点検や工事ができない

増築部分では、床下の高さが十分に取られていないことがあります。実際に調査すると、床下が15センチほどしかなく、人が入れないケースもあります。
床下に入れないと、シロアリ被害や木材の腐れを確認しにくく、薬剤処理を断られることもあります。床下断熱材の交換や配管工事も難しくなり、床を上から開ける追加工事が必要になるかもしれません。
内覧時には床下点検口の有無だけでなく、「増築部分まで移動して確認できるか」を見ておくことが大切です。

リスク3 複雑な屋根が雨漏りの弱点になる

増築すると、元の屋根に新しい屋根を継ぎ足すことになります。屋根同士や外壁とのつなぎ目が増えるほど、「雨仕舞」が難しくなります。雨仕舞とは、雨水を建物の中へ入れず、外へ流すための工夫です。
特に、屋根面が谷のように折れ込む「谷部」には、複数の面から雨水が集まります。板金や防水シートの施工状態、経年劣化によっては、雨漏りの入り口になりやすい場所です。
屋根の一部だけ色や素材が違う、屋根が途中で不自然につながっている場合は、増築のサインかもしれません。増築部分との境目にある天井や壁のシミ、カビ、クロスの浮きも確認しましょう。

リスク4 地震の力が増築部分との境目に集まる

家の地震への強さは、壁の量だけで決まりません。壁の配置、建物の形、屋根などの重さのバランスも重要です。
熊本地震の被害調査では、元の建物と増築部分の耐震性に差があり、その境目が損傷した事例が指摘されています。新旧の構造が十分につながっていなければ別々に揺れ、境目へ力が集中します。反対に、一体化させる設計や施工が不十分なまま無理につないでも、弱点になる可能性があります。
見た目がきれいでも、内部の接合方法までは分かりません。増築歴のある住宅では、増築部分を含めた耐震診断を検討したいところです。

リスク5 住宅ローンやリフォーム時に問題が表面化する

未登記部分があると、登記簿と実際の建物が一致しません。金融機関によっては、融資の条件として引き渡し前の変更登記や、法令への適合確認を求めることがあります。
また、2025年4月の建築基準法改正により、一般的な木造2階建て住宅などでは、大規模なリフォームを行う際に建築確認が必要になる範囲が広がりました。
対象になるのは、壁、柱、床、梁、屋根、階段といった建物を支える主要な部分のうち、いずれか一種類以上を半分を超えて改修する場合などです。設備交換や壁紙の張り替えまで、すべて建築確認が必要になったわけではありません。
過去の増築や図面との不一致が見つかると、現況調査、図面の復元、行政との協議、必要に応じた是正工事が先に必要になる場合があります。その分、工事の費用や期間が膨らむ可能性があります。

購入前に確認したいこと

4つの確認ポイント

・書類と現況を照らし合わせる
登記事項証明書、固定資産税の課税資料、建築確認の図面と、現在の建物を比較します。
・床下と小屋裏を確認する
増築部分まで点検できるか、シロアリ、腐れ、雨染みがないかを確認します。
・法令調査を行う
建蔽率・容積率、確認申請の履歴などを調べます。登記できることと、建築基準法に適合していることは別問題です。
・耐震診断を検討する
一般的なインスペクションは劣化状況を調べるもので、法令への適合や耐震性まで判定できるとは限りません。

よくある質問

未登記でも住宅ローンは組めますか?

金融機関によって判断は異なります。引き渡しまでの変更登記を条件に融資されることもありますが、建蔽率・容積率を超えている場合は、登記を整えるだけでは解決せず、融資が難しくなることがあります。

未登記部分は購入後に登記できますか?

所有者から変更登記を申請することは可能です。ただし、工事時期や所有権を確認する資料が必要になることもあります。また、登記は現況を記録する制度なので、登記できることと建物が建築基準法に適合していることは別の話です。

増築した家は避けたほうがよいですか?

増築されているだけで避ける必要はありません。法令、登記、構造、雨漏りなどの状態を確認し、必要な補修費用まで把握できれば、購入を検討できます。問題なのは増築そのものより、経緯や施工状態が分からないことです。

まとめ 

増築住宅は、調べてから判断する
増築・未登記の物件は、必ずしも「買ってはいけない物件」ではありません。ただし、登記を整えるだけで、耐震性や法令上の問題まで自動的に解決するわけでもありません。
大切なのは、「どこを、いつ、どのように増築したのか」「法律・登記・建物の状態にどんな影響があるのか」を分けて確認することです。問題の内容と必要な費用を把握したうえなら、増築された家も十分に選択肢になります。
中古住宅では、完成した広さだけでなく、「その広さがどのようにつくられたのか」まで確かめる。それが購入後の想定外を減らす、いちばん確実な方法です。

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假屋英樹
専門家

假屋英樹(不動産売買・リフォーム業)

株式会社クラブハウスエステート

不動産・リノベーションに携わって30年。中古住宅再生・性能向上リノベーションに注力してきました。「こんな家が欲しかった」人も環境も家計も喜ぶ家づくりをリノベーションで叶えます。

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