人々の命と生活を守る防災・環境関連用品販売のプロ山本良司

人々の命と生活を守る防災・環境関連用品販売のプロ

山本良司

水難時に役立つ「エアージャケット」や「エアバッグ式担架」、「折りたたみ式防災ボート」を提案

　地震や津波、集中豪雨など自然災害が頻発する日本。近年は、新型コロナウイルス感染症が蔓延するなど日々の心配事は尽きません。

　高知県高知市にある「ケイウッド」代表の山本良司さんは、人々の命や生活を守ることを最優先課題として、防災・環境関連製品の企画・販売に力を入れています。

　「主力アイテムは『エアージャケット』です。フックを引っ張ると約3秒でエアバッグが膨張し、首や背中、胸といった人体を保護する防護服で、水に落ちた時は浮輪になります。県内外の消防団や自治体を中心に需要が広がっています」と山本さん。
　
　同様に、フックを引くだけで膨らみ、搬送される人の衝撃を和らげる「エアバッグ式担架」や、二つ折りで簡単に広げられる「折りたたみ式防災ボート」なども展開。各地の防災フェアなどに自ら赴き、さまざまなリスクを想定して開発された選りすぐりの製品を、デモンストレーションを通じて紹介しています。

　「防災製品は、平常時はコンパクトに収納することができ、非常時にはスピーディーに取り出せて、誰もが簡単に扱えるものでなければ意味がありません。避難所指定を受けたビルや防災倉庫だけでなく、多くの人が集まるような施設でも準備していただきたいですね」
　
　コロナ禍では除菌・消毒への意識が高まりました。数多くの相談を受けた山本さんは、空気清浄機やオゾン発生器の取り扱いも開始しています。
　「中でも携帯できる小型モデルは、自動車教習所の各教習車に設置するなど、広く活用されています」

人との出会いを糧に、防災・環境関連用品の普及を目指し、新規事業へ参入

　会社を設立した当初から手掛けている公害防止施設の運転維持管理業務に加えて、防災分野に取り組むようになった山本さん。きっかけとなったのは、東日本大震災の復興支援でした。

　「高知県は自然が豊かで美しいところですが、毎年のように台風がやって来ますし、南海トラフ地震も気掛かりです。被災地で目の当たりにした惨状は、とても人ごととは思えません」。
　自主防災の重要性を強く心に刻んだことが、現在の活動につながっていると言います。

　新たな事業を推し進めるとき、組織のキーパーソンには、メンバーと思いを共有し、同じ目標に向かって牽引していくリーダーシップが求められます。

　山本さんは、「もし私に人を動かす力があるとすれば、サッカー少年だった頃、小学生から高校生まで副キャプテンを務めた経験が影響しているのかも。仲間との関係性が大事なので、人間力は養われたかもしれませんね」と回想。社会に出てからも、息子二人が所属していたクラブチームの監督に招かれたり、法人会の青年部会長を任されたり、公私にわたり周囲と信頼を築いてきました。

　「大きな糧となっているのは『人との出会い』に恵まれたことです。以前、出向先で知り合った〝人生の師〟とも言える人物もその一人です。被災地での体験を事業に生かし、形にできたのも、『義理を欠くな、筋を通せ』という指針をいただいたからにほかなりません。道を切り開くことができたのは、『多くの人の支えがあってこそ』と感謝しています」

重油流出防止装置を備えたタンクへの交換で被害拡大を防ぎたい

　山本さんは、防災・環境保全の視点から、災害時に被害拡大を防ぐ設備機器についても探究を続けています。
　「ビニールハウスや工場などに設置されているボイラー用重油タンクは、地震の際に油が漏れて土壌や河川を汚染するほか、火災が発生する危険があり注意が必要です」

　地震の規模によっては、県内のおよそ半分の地域が津波に見舞われる可能性についても言及。

　「水が浸入する恐れがある地域では、日頃から被害を最小限にとどめる手だてを講じておくことが大切」と、重油流出防止装置を備えたタンクの普及に努めています。
　
　一方で「県内にあるタンクのうち、新機能付きへ交換を終えたものは、2021年時点でわずか1割程度に過ぎません」と、認知が進んでいない実情を指摘。
　ハウス農家を中心に、タンクの所有者に向けて、防災に取り組むことの意義や公的補助の利用について丁寧に説明しています。また、JA、園芸用ハウス施工会社などの協力を得て、一刻も早く取り換えることを呼びかけています。

　「使う人への配慮が行き届いた防災製品を提案することで、社会に貢献したい」というのが、山本さんの願い。
　「機能性・安全性を重視した製品にこだわって検討を重ねてきたため、当方で取り扱うアイテム数は、決して多いとは言えません。命を守るという重い責務を果たすには、いざという時に頼りになるものでなければ、お勧めすることはできませんから。これからも、自分が信用できるものだけを提供していきたい」と真摯に語ります。

（取材年月：2022年2月）

自主防災の課題に向き合い、災害時に頼りになる製品を厳選

水難時に役立つ「エアージャケット」や「エアバッグ式担架」、「折りたたみ式防災ボート」を提案

人との出会いを糧に、防災・環境関連用品の普及を目指し、新規事業へ参入

重油流出防止装置を備えたタンクへの交換で被害拡大を防ぎたい

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