サイディング外壁に採用される通気工法とは?直張り工法との違い
タイルやモルタルの浮きは、実際にパールハンマーという打診棒でタイルを叩いた時に出る音色で判断します。
例えば、キンキンといった金属音に近い高い音は直張りされたタイルの浮き、ゴロゴロといった低い音はモルタルの裏に浮きが発生していいます。
直張りされたタイルの浮きに対しては、張り替え工法、モルタルの裏の浮きに対しては、ピンニング工法を行うことが多いです。
張り替え工法では、浮きタイルの目地を電動工具で切断し、浮きタイルを除去した後に、バイブレーターと接着剤を使い新しいタイルを張りつけ、モルタルを目地に詰めます。
ピンニング工法では、タイルの目地の交点に電動ドリルで躯体コンクリートに貫通する穴を開け、エポキシ樹脂を充填させステンレスピンを挿入して補修完了です。
補修が必要な浮きタイルの発見方法
補修が必要な浮いたタイルは、亀裂などと異なり目視ではわかりませんので、パールハンマーという打診棒で実際にタイルを叩いた時にでる音色で判断します。
パールハンマーは、棒の先にパチンコ玉みたいな球が付いたものです。
最初にこの検査を行う段階では、足場を組みませんので手が届く範囲でしか検査できません。
マンションなどの大きな建物であれば、管理組合の許可が得られれば、バルコニーの検査を行う場合もあります。
この検査で、手が届く範囲内にタイルやモルタルの浮きが判明したら、本格的に壁全面を検査するために足場を組みます。
実際に足場を組んで、検査をすすめると予想以上にタイルの浮きが判明することはよくあります。
タイルやモルタルの浮きは、タイルの落下につながる大問題なので定期的に検査しましょう。
補修が必要な浮きタイル、音による判別方法とは
パールハンマーという打診棒を使った検査で、打診棒でタイルを叩いた時にでる音色は大別して2種類あります。
キンキンといった金属音に近い、比較的高い音色がタイルを叩いた時に出る場合があります。この音がでると、躯体コンクリート、張り付けモルタル、タイルといった順で直張りされたタイルの部分に浮きが発生していることがあります。
ゴロゴロといった低い音色が、タイルを叩いた時に出る場合があります。
この音がでると躯体コンクリート、下地モルタル、張り付けモルタル、タイルといった順に下地調整して貼られたタイルの、モルタルの裏の部分に浮きが発生していることがあります。
浮きタイルを補修する張り替え工法
エポキシ樹脂を注入できない、幅が狭いタイル単体の浮きに対して、張り替え工法を行うことが多いです。
この工法では、浮いたタイルを剥がしてから新しいタイルを張ります。
タイル単体の浮きは、モルタルの充填が不十分だったり、ドライアウトが発生したりして起こります。
ドライアウトは、猛暑などでモルタルの水分が蒸発して、硬化しなくなる現象です。
ドライアウトでタイルの浮きが発生する範囲は10枚程度ほどで、さほど広くはありません。
浮きタイルを補修する張り替え工法の具体例
打診棒で実際にタイルを叩いた時にでる音色で、タイル単体の浮きと判断し、浮いた部分にマーキングし、浮きタイルの目地を電動工具で切断し除去します。
次に、バイブレーターと接着剤を使い新しいタイルを張りつけ、モルタルを目地に詰めます。そしてモルタルをふき取って修復が完了です。
ただ、壁に張りついているタイルは、タイルの裏のモルタルによって張りついている以外に、タイルの目地によっても張りついています。
張り替え工法で浮いたタイルを剥がす際に、正常なタイルの目地を痛めてしまうことも予想されます。
また、機械工具を使って浮いたタイルを剥がす時に、共浮きが発生して、正常なタイルも浮いてしまう可能性もあります。
よって、1~2枚程度のタイル単体の浮きに対しては、張り替え工法を使わず放置する場合もあります。
タイルの裏にあるモルタルの浮きを補修するピンニング工法
エポキシ樹脂とステンレスピンを使って、モルタルの裏の浮きを補修するピンニング工法。
打診棒で実際にタイルを叩いた時に出る音色で、モルタルの裏に浮きが発生していると判断し、浮きが発生しているタイルをマーキングします。
マーキングしたタイルの目地の交点に電動ドリルで穴を開けます。この際、穴は躯体コンクリートに貫通させます。
穴にエポキシ樹脂を充填させ、ステンレスピンを挿入して補修完了です。
通常、浮きが発生している下地モルタルの上のタイル8枚に対して1つの穴を開けます。
ただ、地震等の影響を考え、実際は浮きが発生している下地モルタルの上のタイル4枚に対して1つの穴を開けることが多いです。
タイルの裏のモルタルの浮きを補修するピンニング工法の具体例
打診棒で実際にタイルを叩いた時に出る音色で、モルタルの裏の浮きと判断し、補修する範囲を決定し、アンカーピンの本数と位置を決めタイルにマーキングします。
マーキングしたタイルの目地に、アンカーピンの直径より約1~2mm大きい穴を電動ドリルで開けます。
穴の深さは躯体コンクリート30mm 程度にし、穴の中を清掃します。
説明書に従い、均一になるまで混ぜて練ったアンカーピン固定用エポキシ樹脂を、注入用ポンプを使って1つの穴に25cc程度充填します。
アンカーピン固定用エポキシ樹脂を塗布したアンカーピンを、目地より5mm程度深く挿入し、パテ状エポキシ樹脂などで仕上げて補修完了です。
ただこの工法は、モルタルの裏に発生した浮き全面にエポキシ樹脂が広がるわけではなく、点で留めるといった状態になります。実際には、エポキシ樹脂が半径5cm程度の同心円状に広がります。
タイルやモルタルの浮きを補修するさまざまな工法
ご紹介した張り替え工法やピンニング工法以外にも、タイルやモルタルの浮きを補修する方法はあります。
例えば、カーボピンネット工法やFST工法が有名です。
カーボピンネット工法では、ピンをタイルの仕上げ面に打ち、モルタル(繊維ネットやカーボンファイバー入り)を塗ります。この工法で、タイル全面の剥落を防げます。
FST工法では、タイルの表面から躯体コンクリートまで貫通する穴を開けます。次に、エポキシ樹脂を充填してステンレスアンカーピンを挿入します。この工法では、浮いたタイルとモルタルを同時に修復できます。
このような新しい工法は、現場から声をフィードバックする場合もあり、タイルやモルタルの補修が進化しています。