地域に足りないものを見つめ、働く場所をつくる経営へ
当社は令和8年、創業32年を迎えました。原点は、牛乳宅配事業にあります。1995年に事業を始めて以来、地域の中で何が足りていないのか、そして地域で暮らす人たちが安心して働ける場所をどう増やしていけるのかを、経営者として考え続けてきました。
24年続けてきた牛乳宅配事業は、2018年に次のステップに進むため事業売却しました。事業を手放したことで、その年の売上は大きく減少しましたが、地域の中で事業を育て、人を雇用し、必要とされる役割を形にしてきた経験を信じ、二次創業として生まれ変わることを目指しました。すると取り組むべき地域課題として見えてきたのが、当時深刻だった茅ヶ崎市の待機児童問題でした。子育て経験のある女性スタッフたちが力を発揮できる場にもなると考え、地域の家庭を支える新しい事業として、保育事業への挑戦が始まりました。
地域に必要な支援を、事業として一つひとつ形にする
現在の「Thank you」の姿は、地域に足りない機能を経営者の視点で見つめ、必要だと判断したものを一つひとつ事業として形にしてきた結果です。保育園の開設を出発点に、子どもや家庭を支える仕組み、そして地域で働く人が力を発揮できる場所を広げてきました。
「企業主導型保育園Thank you」から始まった取り組みは、認可小規模保育所、児童クラブ、児童発達支援・放課後等デイサービス、相談支援窓口、湘南スクールへと広がっていきました。それは単に事業メニューを増やすためではなく、地域に不足している支援を見極め、必要な場所に必要な働き手を配置しながら、子どもと家庭を支える基盤をつくる歩みでした。
さらに2025年には、「ホームスタート・湘南」として家庭訪問型子育て支援を開始しました。施設に通う家庭だけでなく、外に助けを求めにくい保護者にも支援を届けるための取り組みです。地域に必要な支援は、施設の中だけで完結するものではありません。子育て経験のある人や地域の人材が力を発揮できる場をつくりながら、家庭に近いところまで支援を届ける仕組みを育てています。
人が人と向き合う時間を守るために
福祉や子育て支援は、本来、人が人と向き合う営みです。一人ひとりの状況に耳を傾け、時間をかけて関係性を築いていくことは、数字だけでは測れません。効率化しにくい部分の中にこそ、支援の大切な意味があると当社は考えています。
一方で、現場には記録、確認、入退室管理など、どうしても発生する業務があります。職員が本当に向き合うべき時間を確保するために、仕組み化できる部分はテクノロジーで支える。その考えから、当社では職員の働き方改革を目指したICT化にも積極的に取り組んでいます。
児童発達支援通所施設をモデルに進めているロボットの実証導入も、その一つです。体温測定や入退室管理などを担うことで、職員の負担を軽減し、子どもや保護者と丁寧に向き合うための余白を生み出すことを目指しています。また、子どもたちがテクノロジーと自然に出会い、未来への関心や夢を広げる機会にもなります。便利にするためだけではなく、人の温度を失わない現場をつくるための取り組みです。
「何かしらの答えが見つかる場所」であるために
当社が目指す「Thank you」は、「何かしらの答えが見つかる場所」です。子育てに、たった一つの正解はありません。だからこそ、保護者が一人で悩みを抱え込むのではなく、誰かに話せること、一緒に考えられること、必要な支援につながれることが大切です。
牛乳宅配から始まった当社の歩みは、形を変えながらも、地域の暮らしに寄り添うという一点では変わっていません。地域に足りないものを見つめ、必要だと判断したことを柔軟に形にし、人が人と向き合う時間を守り続けること。これからも「Thank you」は、地域の中で子どもと家庭のそばにあり続ける場所を目指していきます。



