21世紀に暮らすアリとキリギリス

木戸伸英

木戸伸英

老年期に入った時の備えのために人生を堅実に生きるのか
若いうちこそ楽しまなくてはと、その時を刹那的に生きるのか


そんなことを考える時によく頭に浮かぶのは「アリとキリギリス」です。
しかし、この話、子供の頃は全く疑問に思わなかったのですが、今はある疑問が浮かびます。

アリのように生きて幸せなのか
キリギリスのように生きることが幸せなのか

そんな疑問を解きほぐすべく、21世紀に暮らす「アリとキリギリス」はどのように生きるのか考えてみました。


「21世紀に暮らすアリとキリギリス」

ある夏の日、アリとキリギリスがいました。

アリは、将来くる冬のために、堅実にコツコツと働きました。夏の間も、謳って暮らしているキリギリスを横目に見ながら、ひたすら地下の倉庫に食料を運び続けました。
キリギリスは、「今が楽しければそれでいいじゃないか。だって、冬の時間なんてそれまでに比べて圧倒的に短いんだ」と、冬の準備など露ほども考えず、毎日歌って踊って過ごしました。

そんなアリとキリギリスの横には、実はそれぞれ二匹目アリとキリギリスがいました。

二匹目のキリギリスは、「冬に凍えるのは嫌だが、夏を楽しまないのも損だ」と考え、午前中は働き、午後は仲間と木陰で昼寝をしたり、歌を歌って楽しみました。
二匹目のアリは、少し変わっていました。彼は食料を運びながら、その道中の美しい景色を絵に描いたり、キリギリスに歌の作り方を教わったりして過ごしました。

やがて、厳しい冬がやってきました。

一匹目のキリギリスは飢えと寒さに震え、「あんなに時間があったのに、なぜ少しも備えなかったのか」と、痛烈な後悔念を抱き続けました。

一匹目のアリは、食料に囲まれて暖かく過ごしました。しかし、彼は老いた体で暗い倉庫を眺め、こう思いました。「私の人生には、この茶色い穀物の山以外の記憶がない。若くて動けたあの夏、私は一度も太陽の眩しさを楽しんでいない」。この考えは彼を深く蝕みました。



一方で・・・
二匹目のキリギリスは食料は多くありませんでしたが、多少の蓄えはありました。彼は巣の中で、「あの夏の昼寝は最高だったな」と思い出し、満足して微睡みました。

二匹目のアリは、蓄えた食料を食べながら、夏に描いた絵を眺め、覚えた歌を口ずさみました。彼は「今も楽しいし、あの時も楽しかった。これでいいのだ」と思いました。

そして、厳しい冬の寒さの中、暗い巣の中でみんな最期を迎えました。

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木戸伸英
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木戸伸英(獣医師・中小企業診断士)

獣医師と中小企業診断士の専門知識を生かし、動物の専門用語と経営・行政の用語を両立し、現場の声を意思決定に変換。組織内外の摩擦を減らし、職員が本来の専門業務に集中できる環境をつくるお手伝いをします。

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