なぜキング王国は滅びたのか?3つの決断で分かる組織の勝敗(前編)
王の決断2:丸投げ(外部依存の罠)
「王様、よくお聞きください。デーモン国の連中は魔法を使っております。今のキング王国の軍隊では彼らの魔法には太刀打ちできません。しかし、我々の中には魔法使いが2人もいます。我々勇者一行がデーモンを退治してくれましょうぞ」
「なにを言っておるのじゃ。お前ら4人でなにができると言うのじゃ。我国には優秀な軍隊がおるのじゃ。案ずるには及ばん」
初老の男がそう言うと、王に目を向けた。初老の男に見つめられ、王は慌てて言った。
「いやー、待て待て。魔法はどのようなものかよく分からん。そ奴らがデーモンを退治してくれると言っているじゃ。ここは1つ任せてみようじゃないか」
「え?王様、先ほど・・・」
「いいのじゃ。わしはこの者たちに任せたいと言っているのじゃ。すぐにこの者たちにデーモンの退治に向かわせるのじゃ」
「は。では、そのようにいたします」
初老の男がそのように言うと、勇者一行のもとに歩いて行った。
「さすが、王様。王様のご期待に添えるよう、我々死力を尽くしてまいります。直ぐにでも吉報をお伝えします」
若者の一人がそう言いながら、初老の男と共に玉座の間から出ようとしたとき、再び玉座の間の扉が開いた。そこには一人の男が立っている。
「今度はだれじゃ」
王様はその男に向かっていった。
「王様、私はこの国の大臣の下で参謀をしているものでございます」
「そのような身分の低いものがわしになんの用じゃ」
「王様、今この者たちにキング王国の未来を託してもキング王国は救われません。ここは私めにお任せいただけないでしょうか」
「いやいや、誰かもわからんお前みたいなやつに任せられるわけなかろう」
「王様、落ち着いてお聞きください。幸いなことにデーモン国は今動きを止めています。ここは時間をかけて我々も国力をあげて、デーモン国を倒す準備を地道にするしかありません」
「なんだ。そんなつまらん話か。わが国は十分な国力があるから心配するでない。それにこれからこの勇者一行がデーモンを退治してくれると言っているから、心配するな」
初老の男がそう言い、王様の方に顔を向ける。王様も兵士たちに声をかけ
「兵士たちよ、その者に帰ってもらいなさい」
そういうと、参謀と名乗る男は部屋から追い出された。
「あとは、我々勇者一行にお任せ下され。では、いってまいります」
そう言って、勇者一行も玉座の間を出た。
「デーモン殿下」
「なーーんだ。わしは今から手下どもの訓練施設に向かうところだ」
「ははー。申し訳ありません。只今、キング王国に偵察に行っていた者が帰ってまいりました」
「それを早く言わんか!」
「申し訳ありません。その者によりますと、キング王国はなにやら勇者なるものを召し抱え、その者たちを殿下を討伐に向かわせておるとのこと」
「ほほー。その勇者なるものはどれほどおるのじゃ」
「は。なんでも4人ほどだと」
「なに?4人?たった4人でこのわしを討伐するとな。わーーっはっはっは。笑わせるな。人を馬鹿にするのもいい加減にしてもらいたいものだな」
「おっしゃる通りにございます」
「そんな連中にかまうものか。。わしは1年間も準備に準備を重ねてきたのじゃ。わーーっはっはっは。手下どもは十分か」
「はい。1年前より2倍増えております」
「武器は」
「はい、1年前より3倍増えております」
「食料は」
「はい、1年前より5倍増えております」
「よーし、準備は整った。全員今すぐ集めて、攻撃だ!いよいよ、わしの世界征服の目標が実現するぞ。わーーっはっはっは!」
「殿下の夢が間もなく実現しますな。へーっへっへっへ」
初老の男も薄汚く笑った。
「王様!」
「どうしたのじゃ。わしは今、おやつを食べているところじゃぞ。後にはできんのか」
ぽかんとした初老の男が慌てて玉座の間に入ってきた。
「大変です!デーモン国がキング王国に攻め込んでまいりました」
「なあに!あの勇者たちはどうした」
「は!勇者一行は4人でデーモン国に入り込んだようですが、あっという間に大軍に囲まれ、捕らえられてしまったとのこと」
「なあに!」
王様は部屋の中を歩き始めた。
「して、デーモンの連中は今どこにおるのじゃ」
「は!もうこの城を取り囲んでおります」
「なにお!」
王様が慌ててテラスに飛び出すと、城の周りはデーモン国の連中に取り囲まれていた。
「万事休すじゃ」
王様は地面にへたり込んでしまった。
デーモン国の魔法が城を襲い始めた中、王様にある時の記憶が蘇っていた。
「あの時の参謀に任せておれば、こんなことにならなかったろうに・・・」
王様の決断3:組織で勝つ(戦略実行)
「王様、落ち着いてお聞きください。幸いなことにデーモン国は今動きを止めています。ここは時間をかけて我々も国力をあげて、デーモン国を倒す準備を地道にするしかありません」
「なんだ。そんなつまらん話か。わが国は十分な国力があるから心配するでない。それにこれからこの勇者一行がデーモンを退治してくれると言っているから、心配するな」
初老の男がそう言い、王様の方に顔を向ける。王様は慌てて言った。
「いやー、待て待て。4人では心もとない。その者が国力をあげて対処すると言っているじゃ。ここは1つ任せてみようじゃないか」
「え?王様、先ほど・・・」
「いいのじゃ。わしはこの者に任せたいと言っているのじゃ。すぐにこの者を大臣にして国力アップに取り掛からせるのじゃ」
「は。では、そのようにいたします。では、この勇者一行はどういたしましょうか」
初老の男がそのように言ったので、王様は
「もうよい。その勇者一行はお帰り頂け。わしも段々よく分からなくなってきた」
「かしこまりました」
初老の男が言うと、勇者一行の若者が
「王様、後で後悔しても知りませんよ。国力なんかあげたってデーモン国は倒せませんよ」
そう言って勇者一行は玉座の間から出ていった。
「では、参謀とかいうもの、今日からお前は大臣だ。このキング王国を頼んだぞ」
「は!了解いたしました。お任せください」
そういって、新しく大臣になった男は、玉座の間から出ていった。
「デーモン殿下」
「なーーんだ。わしは今から食料工場に視察に向かうところだ」
「ははー。申し訳ありません。只今、キング王国に偵察に行っていた者が帰ってまいりました」
「それを早く言わんか!」
「ははー。申し訳ありません。その者によりますと、キング王国はなにやら新たに大臣が任命され、国力アップを進めているとのこと」
「なに、国力アップだと。今更何をやってるんだ、あのキング王国は。今からやってこのデーモン様に太刀打ちできるわけはなかろう。わーーっはっはっは。この戦い我国の勝利間違いなしだ!」
「おっしゃる通りでございます殿下」
「わしは1年間も準備に準備を重ねてきたのじゃ。わーーっはっはっは。手下どもは十分か」
「はい。1年前より2倍増えております」
「武器は」
「はい、1年前より3倍増えております」
「食料は」
「はい、1年前より5倍増えております」
「よーし、準備は整った。全員今すぐ集めて、攻撃だ!いよいよ、わしの世界征服の目標が実現するぞ。わーーっはっはっは!」
「殿下の夢が間もなく実現しますな。へーっへっへっへ」
初老の男も薄汚く笑った。
「殿下!」
「どうしたのじゃ。わしは今、夕食を食べているところじゃぞ。後にはできんのか」
初老の男が慌てて玉座の間に入ってきた。
「大変です!キング王国がわが国に攻め込んでまいりました」
「なあに!そんなはずはなかろう。わが手下どもは十分に訓練したし、数も増やした、武器も豊富、食料もあるはずだ。魔法だって使えるはずなんだぞ。どういうわけだ」
「それが、私にも皆目見当がつきません。とにかく、キング王国の連中が怒涛の如く我々の国に攻め込んできております」
「そんなはずはなかろう。手下どもの士気も高いはずだ。逃げたわけではあるまいな」
「逃げてなどおりません。戦って負けているようです」
「そんなバカな。あれほど準備したというのに」
デーモンは落ち着きなく部屋の中を歩き回った。
「キング王国の連中は今どこにおるのじゃ」
「は!もうこの城を取り囲んでおります」
「なにお!」
デーモンが慌ててテラスに飛び出すと、城の周りはキング王国の軍隊に取り囲まれていた。
「万事休すじゃ」
デーモンは地面にへたり込んでしまった。
「一体何があったというんだ・・・・」
「王様」
「お、どうだね、大臣」
「は!今しがた、兵隊たちがデーモンを捕まえたとの連絡がありました」
「おー。よくやった。それもこれも、そなたのおかげじゃ。なんと礼を申せばよいか分からぬ」
「私はただ国を守りたかっただけでございます」
「そなたが、ここ半年でやった大改革のおかげでキング王国はよみがえったのじゃ。感謝してもしきれん」
「いえいえ。私は当たり前のことをしたまでです。デーモン国の脅威が迫っていることを国民に伝え、国を守るために国力をあげて戦うというスローガンを掲げました。そうしたところ、ある朝町に出てみると、国民が訓練場に列をなしているではありませんか。武器工場を見たところ、工員は文句も言わずに率先して昼夜稼働で働いておりました。そして畑に向かうと、土地を耕す人が倍増したのでございます。国民が自分たちの意志で次々と協力してくれました。貿易で蓄えた資金があったことも大いに役立ちました」
「しかし、あ奴らの魔法対策も十分であったな」
「は!それに関しては、あの勇者一行の力添えがあったからでございます。彼らの中の魔法使いに頼み込み、我国の兵士たちの一部も魔法を使える者を養成いたしました。それに魔法の防ぎ方も教えて頂けたのがよかったです」
「うむ。でかした!」
「それにあの勇者一行が我国の兵士の訓練にも協力してくれたことがよかったかと」
「うむ。なにもかもよかった。それもこれも、そなたのおかげじゃ。心から礼を言うぞ」
「いえいえ、私は何もしておりません。あちこちにお願いをして回っただけでございます。戦いもしておりません」
「その謙虚さも素晴らしい。褒美をとらせるから、好きなものを申すとよい」
「いえいえ。私はただ国を守るためにやったことです。褒美もいりません」
「褒美もいらないとな。そなたはなぜこんなに働いてくれたのじゃ」
大臣はしばらく黙って、王様をじっと見つめていた。そして一言、
「同じ過ちを繰り返さぬためでございます」


