放っておくと危ない!サイディングボードの危険信号!
主な外壁材の特徴とメンテナンスについてお話ししましょう。
住宅に使われる外壁材
塗り替えリフォーム専門店アイビーリフォーム代表親方の小口哲司です。
住宅の外壁材はいくつかの種類がありますが、現在、圧倒的に多く用いられているのが窯業系サイディングです。ある調査では、住宅に使用される外壁材の約8割が窯業系サイディングで、残り2割をモルタル、金属サイディング、タイルなどで分け合う形になっているといわれています。
窯業系サイディングに人気が集まる理由は、まず、デザインや色、質感にさまざまなバリエーションがあること、工場で製造されるため品質にばらつきがないこと、また、耐久性に優れていることがあげられます。
しかしその一方、古くからあるモルタルの壁やタイル壁も根強い人気がありますし、金属系サイディングも軽量であることや防水性の点で人気があります。
いずれも家を守るという役割を担っているわけですが、やはり、経年劣化に対するメンテナンスが必要になります。
窯業系サイディングについて
窯業系サイディングの「窯(よう)」は陶器を作る窯(かま)を表します。つまり、窯業系サイディングは陶器を作るのと似た作り方で製造されているのです。セメントと繊維質原料を主原料とし、工場で高温・高圧で固めて製造します。
窯業系サイディングにとって問題になるのは、塗装によって防水性能を保っていることです。ですから塗装の塗膜が劣化すると、防水性能が落ち、放置しておくとボードそのものの劣化を招いてしまいます。外壁を手で触り、手のひらにチョークの粉のようなものがつくのをチョーキング現象と言いますが、これは塗膜の劣化を示すサインです。
窯業系サイディングの塗膜は10~15年ほどで塗膜が劣化しますので、塗料の劣化状態に合わせ、塗り替えメンテナンスを施す必要があります。
また、窯業系サイディングは、ボードとボードの間をシーリング材で充填しますが、このシーリングにひび割れ剥離などが見られるようであれば早めのメンテナンスが大切です。
金属系サイディングについて
金属系サイディングはアルミニウムやスチールなどの金属を成形・加工し、断熱材で裏打ちしたものです。窯業系にはないシャープな質感が人気があります。外壁材としては軽く、建物に負担をかけない点も大きな特徴です。
金属系サイディングは、水が浸み込んだり、ひび割れが起きる心配がなく、メンテナンス周期は窯業系にくらべ少し長くなりますが、ただ、金属系ですからサビの発生には注意を要します。
メンテナンスに際しては、研磨紙や金ブラシなどでサビをきれいに取り除き、その後、防錆塗料を塗布し、そのうえで塗装を行ないます。
サビについては一般的な住宅地の場合、10~15年は大丈夫と思いますが、傷などが原因で一箇所にサビが生じると、そこから全体に広がることがあります。その場合、早急なメンテナンスが必要になります。海沿いの場合、潮風の影響で5年ほどで劣化してしまうこともあり、こまめな点検が必要になります。
モルタル壁について
モルタル壁の素材はセメントと砂を水で練り合わせたものです。これを鏝(こて)板に受け、鏝(こて)に取って壁に塗りつけていきます。一人前になるには何年もかかる職人技です。
モルタル壁の魅力の一つは、職人さんが操る鏝(こて)が描くデザイン性、意匠性の高さにあります。もちろん、フラットに仕上げるのもお客様のご希望次第ですし、モルタルならではの質感は味わいがあります。
また、モルタル壁はサイディングのように継ぎ目がなく、家を一枚岩で取り囲むようなものですから、耐震性・耐火性・耐久性も優れた外壁材です。
ただ、モルタル自体の防水機能は低いため、塗装によって防水性を高める必要があります。
また、モルタル壁のデメリットとしてよく指摘されるのが、クラック(ひび割れ)が生じやすいということです。
これはモルタルに含まれる水分が乾燥過程で蒸発し、壁面が収縮することで生じます。ひび割れが大きくなるとそこから雨水が浸入する可能性がありますから、そうなった場合、ひび割れの補修と壁の収縮に追随する弾性のある塗料で再塗装を行うことをおすすめします。
タイル壁について
タイル外壁には独特の風格があり、その高級感や重厚な雰囲気は他の外壁材にはないものです。
また、その耐久性の高さは群を抜いています。簡単には傷つくことはありませんし、色あせや変色もほとんどありません。タイルそのもののメンテナンスはほとんど必要がないのです。
しかし、いくら丈夫なタイル壁でもメンテナンスフリーとはいきません。タイルとタイルの間にシーリング材を充填している場合、シーリング部分の汚れや劣化は避けられないからです。
そのため、シーリング部分のメンテナンスが必要です。その際、シーリング部のメンテナンスに併せ、壁面に高圧洗浄を施し、排気ガス等と汚れを洗い流すとタイル壁ならではの鮮やかさが甦ります。