特許取得にかかる期間と費用負担は減免制度などを有効活用
スムーズな特許取得には書類準備が重要
特許を出願するには、特許庁に所定の書類を提出する必要があります。その内訳は「願書」「明細書」「特許請求の範囲」「図面」「要約書」の5つの書類となっています。
各書類を、窓口持参、郵送、オンラインによる提出によって出願することができます。書類不備による差し戻し(方式審査による補正命令)などがあると、余分な手間を要することがありますので、時間のロスをできる限り防げるよう、入念に準備しなければなりません。
当コラムでは、5つの各書類の概要、注意点などをそれぞれ紹介したいと思います。詳細な書式については特許庁のウェブサイトにて公開されているので、作成にあたっては十分に目を通すようにしましょう。
願書の概要と注意点
まず「願書」は、発明者名・出願人名・住所・連絡先など出願にあたってのごく基本的な事項を記載する書類です。
ここに記載する出願人が、最終的に特許権を得ることになります。各項目を正確に記入します。郵送や持参により出願する場合には、願書に出願費用分の特許印紙を貼付します。発明者が複数いる場合や、複数の出願人で共同出願する場合は、発明者や出願人の欄を増やして記入します。
明細書/ 図面/特許請求の範囲 の概要と注意点
「明細書」と「図面」は、特許を取得したい発明(技術・アイデア)の内容を具体的に説明する書類です。発明の概要、発明による効果、背景となる技術などを詳しく、また分かりやすく説明しなければなりません。
図面は必ずしも必要というわけではありませんが、内容をより確実に理解してもらうために、できる限り作成すべき書類です。この明細書と図面は、出願の際に記載した事項以外のものを後から追加記載することができないルールになっています。作成にあたっては、漏れなく確実に行う必要があります。
「特許請求の範囲」は、権利範囲を定める請求項を記載するものであり、最も気を付けて作成する必要があります。明細書等で説明した発明について、請求項によって「この範囲における権利取得を請求する」という事を明確にします。
請求項の記載内容によって、その特許が限定的で有効性が低いものになるか、広範な権利を主張できる強い特許になるかが決まってしまいます。
なお、請求項は、出願後でも明細書に記載した範囲内で補正することができます。しかし、後から補正する場合には、適切な権利範囲となるように記載ができない可能性がありますので、出願時に十分に検討を重ねて作成することか必要になります。
要約書の概要と注意点
「要約書」は、出願する発明の概要を400文字以内でまとめて説明するものです。要約書は、審査の対象となりませんが、特許の公開公報に掲載されて、第三者が出願内容を検索する際に利用されますので、出願内容を反映させたものとすることが求められます。