特許取得にかかる期間と費用負担は減免制度などを有効活用
活用可能なロイヤリティー率の相場情報
特許など知的財産権のライセンス契約において、そのロイヤリティー(契約料)率の設定は非常に重要なものです。ロイヤリティー額は一般的に《対象製品の販売価格 × ロイヤリティー率》にて計算されます。この時、ロイヤリティー率をどのように設定すべきかは難しい問題です。
一般的に個々案件の具体的なロイヤリティー率は公開されておらず、現状では一般社団法人発明協会が発行する「実施料率」に記載の相場情報などをもとに算定されることが一般的です。
また現在では、特許庁による「平成 21 年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書」がより新しいデータを掲載しており活用できます。
当コラムでは当報告書をもとに、ロイヤリティー率の相場について紹介します。
特許権におけるロイヤリティー率の相場・決め方
特許権におけるロイヤリティー率は、平均値3.7%との結果が出ています。これは様々な業種(技術分類に基づく)の平均値をとったものです。
技術分類別にみると「バイオ・製薬」が6.0%と最も高く、次いで「健康・人命救助・娯楽」5.3%、「化学」4.3%、「マイクロ構造技術・ナノ技術」4.1%と続きます。この4つは特に高く、他の多くの業種では3%台前半というものが多くなっています。
ちなみに、特許権のロイヤリティー率決定要因についての調査では「当事者におけるライセンスの必要性」「ライセンス対象(特許権)の評価」が料率決定における大きな要因となっていることが分かります。
また、独占的なライセンスかどうか、相手が関連会社かどうか、同業他社かどうかなどの要因もロイヤリティー率に影響を与える要素として挙げられています。
商標権、技術ノウハウのロイヤリティー料率
商標権については、ロイヤリティー料率の平均値2.6%となっています。商標分類別にみると、「各種機械器具」が2.7%と最も高く、次いで「工業用、科学用又は農業用の化学品」「照明用、加熱用等装置」が2.5%で続いています。
商標のライセンス契約はあまりイメージが沸かないかもしれませんが、有名な例として、Apple社のiPhoneがドアホンのアイホン株式会社とライセンス契約を結んでいる事例があります。
他に、フランチャイズビジネスにおいて、本部がフランチャイジーから商標のライセンス契約料を得るケースなどもあります。
また、知的財産権のひとつとして扱われる「技術ノウハウ」(特許のような登録制度はありません)についても、ロイヤリティー率の平均値3.9%と報告されています。
技術ノウハウでも、特許と遜色のないロイヤリティー率が得られる可能性があることが分かります。