特許取得にかかる期間と費用負担は減免制度などを有効活用
特許は社員の誇りと自信につながる
特許は、他のどの企業にもまだなし得なかった先進的な技術・アイデアを公に認められるということです。
特許というお墨付きを得た独自技術・アイデアを保有した企業で働くということは、社員にとっても大きな誇りと自信になります。特に、研究職、開発職や企画職の社員にとっては、特許取得はひとつの勲章のようなものです。
また特許によって守られた製品があれば、より安定的な事業経営が可能となります。
安定経営によって、社員の仕事・生活への不安が少なくなると、社員の欲求はより次元の高いものとなります。
インセンティブ制度で特許取得の奨励も
保有する特許があるというだけではなく、特許取得に向けて働くという意味でも特許は社員に大きなモチベーションを与えます。特許取得につながるような革新的な技術・アイデアを生み出そうと、目の色が変わる社員が出てきます。
なかには、特許を取得すれば、特別ボーナスなどのインセンティブを与えるというような仕組みを制度化している企業も多くあります。
特許法においては、企業において社員などが新たな発明・技術開発(職務発明)を行った場合には、職務発明に係る「相当の対価」を社員が受け取る権利を規定しています。この「相当の対価」は、企業と社員の間での「自主的な取決め」に委ねています(平成16年改正の現行法)。
日亜化学工業と中村修二氏(現・カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)による青色発光ダイオード訴訟の問題が大きな注目を浴びたこともあり、職務発明に関するインセンティブ(報酬)のルールを整備する企業も増えています。
職務発明制度の現在について
現在、職務発明制度は改正に向けて動いています(スムーズに進めば2016年施行予定)。
もっとも大きな改正のポイントは、職務発明は「誰のものか」という点です。現状の制度では、社員が職務発明によって得た特許は「社員のもの」とされています。そのうえで、職務規定に則って企業が優先的に譲り受けることができる(予約承継)」できるという形でした(この場合、規程に従い会社が社員に対価を支払うことが必要になります)。
この制度を改め、「一定水準の報奨を支払う仕組みを企業側に整備させる」などの条件付きではありますが、社員が創造した職務発明は、当初から「企業のもの」とする方向で改正案がつくられています。
もちろん社員のモチベーションを下げることのないよう制度設計が進められているようですが、今後の動きに注目したいところです。