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矯正治療中のあなたへ!食事でできるむし歯予防の最強ガイド

北條智之

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テーマ:矯正歯科

矯正治療、お疲れ様です!歯並びが整っていくのは嬉しいけれど、「ワイヤーの周りのむし歯」は絶対に避けたいですよね。実は、矯正中のむし歯予防の鍵は、歯磨きと同じくらい「毎日の食事」にあります。

今回は、専門的な研究結果に基づいた「食べ物によるむし歯予防策」を、矯正治療中の皆さんに特化してお届けします!

Diet and Nutrition to Prevent Dental Problems
Sujata Tungare; Arati G. Paranjpe.July 10, 2023.


第1章:なぜ矯正中は特にむし歯に注意が必要なの?


むし歯は、エナメル質が溶ける(脱灰)プロセスです。このプロセスには、主に3つの要素が関わっています。

  1. むし歯菌(ミュータンス菌など)
  2. 発酵性の炭水化物(主に砂糖)
  3. 感受性の高い歯の表面


矯正装置(ブラケットやワイヤー)があると、食べ物が残りやすく、磨き残しも増えます。この「食べ物が残りやすい環境」こそが、上記3つの要素が結びつき、むし歯を加速度的に進行させる原因になるのです。

第2章:むし歯の最大の敵!「砂糖」の正体と役割


論文でも強調されているように、むし歯予防を考える上で、砂糖(糖分)の役割を理解することは不可欠です。

1. 砂糖がむし歯を引き起こすメカニズム


歯垢(プラーク)の中の細菌は、私たちが食べた「発酵性炭水化物(砂糖)」をエサにして代謝します。この代謝の過程で「有機酸」が生成され、お口の中のpHが下がり、エナメル質が溶け始めます。

  • 臨界pH: pHが5.5を下回ると脱灰(歯が溶ける現象)が起こると言われています。
  • ショ糖が最凶: 平均的な食事で最も多いショ糖(スクロース)は、最もむし歯になりやすい(う蝕原性が高い)糖だと考えられています。


2. 注意すべき「砂糖」と「そうでないもの」



分類種類むし歯リスク備考
添加糖(自由糖)清涼飲料水、お菓子、ジャム、シロップ、フルーツジュース、はちみつむし歯だけでなく、肥満や糖尿病とも関連が深いとされています。矯正中は特に注意!
天然糖新鮮な果物、野菜、牛乳、乳製品に本来含まれる糖保護成分(カルシウム、ポリフェノール、食物繊維)や唾液分泌促進作用があるため、リスクは低い。
でんぷん質食品パン、パスタ、米、イモ類、シリアル低~中単体ではう蝕原性は低いが、砂糖と組み合わせるとリスクが上がります。(例:砂糖とデンプンを多く含む粘着性の高いお菓子)


第3章:量より回数!「摂取頻度」を減らすことが最重要


むし歯予防において、砂糖の「量」はもちろん重要ですが、それ以上に影響が大きいのが「摂取する頻度」です。

  • 脱灰発作の頻度: 砂糖を摂取するたびに脱灰が起こり、これを「脱灰発作」と呼びます。摂取頻度が増えれば、その分だけ脱灰の回数も増え、歯が溶ける時間が長くなります。
  • 食事と間食の間の砂糖: ある研究では、食事と食事の間に砂糖を摂取する量が多いほど、むし歯の活動性が高いことが関連付けられました。


矯正治療中の実践ガイド


  1. 1日4回以下に制限: むし歯リスクを抑えるには、砂糖の摂取頻度を1日4回以下に抑えることが推奨されています。
  2. だらだら食べをストップ: 粘着性の高いキャラメルやグミ、キャンディ類はもちろん、少しずつ長時間かけて飲む清涼飲料水も厳禁です。常に歯に砂糖が付着し、脱灰発作が持続してしまいます。
  3. 「食事の時間」に集中させる: むし歯の原因となる食品を摂取するのは、「食事の時間」に限定しましょう。食後は唾液の力で酸が中和されやすくなります。


第4章:矯正中のむし歯予防に役立つ「救世主」たち


むし歯のリスクを下げるだけでなく、エナメル質の再石灰化を助ける食品や甘味料があります。

救世主効果・特徴
ハードチーズカルシウムやカゼインが多く、非う蝕性に分類されます。唾液の分泌も促すため、間食におすすめ!
ピーナッツ、全粒穀物唾液の分泌を促し、むし歯予防効果があるとされます。
キシリトール非う蝕性かつ抗菌作用がある糖アルコール。プラーク形成や酸の産生を抑え、再石灰化を助ける可能性があります。ガムやタブレットで摂取しましょう。
その他の糖アルコールエリスリトールなど。キシリトールと同様に非う蝕性で、再石灰化を促進する可能性があります。


矯正治療中の食事のヒント


  • 間食にはチーズや果物を: 粘着性の低い果物や、唾液分泌を促すハードチーズ、無糖ヨーグルトを選びましょう。
  • 飲み物はお茶か水で: 砂糖入りの飲み物は避け、水やお茶で過ごしましょう。
  • 食後にキシリトール: 食後や間食後にキシリトール入りのガムを噛むことは、むし歯予防に効果的です。


第5章:矯正治療中の食事は「チーム医療」で考える


論文の結論にもあるように、むし歯予防は歯科医師や歯科衛生士だけでなく、あなたとご家族、そして管理栄養士など、チームで取り組むべき課題です。

矯正治療が成功し、装置を外したときに健康で美しい歯を手に入れるため、ぜひ今回の食事ガイドラインを参考にしてください。矯正装置があっても、食事の工夫でむし歯リスクは大きく下げられます!

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北條智之
専門家

北條智之(歯科医師)

北上インプラントデンタルオフィス

インプラント歯科学の権威、ウルリッヒ・ヨース博士の治療法を専門的に学んだ知識と3DCTなど先進設備で、グローバル・スタンダードな治療を心掛けています。

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