治療費の不安を無くす
「インプラントって高いって聞くけど、結局いくらくらいかかるの?」
「歯科医院によって値段が全然違うのはなんで?」
インプラント治療を検討しているけれど、費用の根拠が不透明で不安…という方は多いのではないでしょうか?「1本20万円」という話もあれば、「最終的に50万円以上かかった」なんて声も耳にして、ますます混乱してしまいますよね。
インプラント治療は、ブリッジや入れ歯など保険診療による代替治療が存在する上に、その保険診療との価格差が大きいために
「目的はほとんど変わらないのにどうしてこんなに高いのか」
と考えてしまいます。インプラント治療のメリットは十分に流布されているので、尚のこと気になります。
インターネットで調べても、なかなか相場がつかみにくいインプラント治療費。そこで今回は、インプラント治療費の内訳や日本の相場、さらには知っておくべき注意点まで、わかりやすく解説していきます。
インプラント治療費は「インプラント本体」だけじゃない!
インプラント治療と聞くと、「顎の骨に金属のネジを入れること」だけをイメージしがちですが、実はそれだけではありません。インプラント治療費には、大きく分けて以下の5つの要素がかかわってきます。
【インプラント治療特有の3つのステップ】
- インプラント埋入前の準備: お口の中の環境を整える大切な準備期間です。
- インプラント埋入手術等: 実際にインプラントを顎の骨に埋め込む手術やインプラントのために骨を盛り足す手術です。
- 被せものの製作: インプラントの上に装着する人工の歯を作ります。
【歯科治療全般に共通する2つの項目】
- 検査・説明: 治療前の精密検査や、治療計画の説明にかかる費用です。
- 定期的なメインテナンス: 治療後のインプラントを長持ちさせるための定期検診です。
多くの方が「インプラント埋入手術等」と「被せものの製作」の費用だけをインプラント治療費だと思いがちですが、実際にはこれら全てのステップに費用がかかります。特に準備やメインテナンスは、手術と同じくらいの費用がかかることもあるので注意が必要です。
結局、インプラントの相場はいくらくらい?
日本口腔インプラント学会の2015年の調査によると、インプラント1本あたりのボリュームゾーンは20万円~40万円とされています。ただし、この調査は「インプラント1本の価格」という質問への回答であり、上記の全てのステップを含んだ金額ではないため、あくまで目安として捉えてください。
アメリカでは、インプラント2~4本で全ての歯(14本)を作る「インプラントオーバーデンチャー(ロケーターリムーバブルブリッジ)」という治療法が115万円~175万円※1ほどとされています。
このように、治療計画によって同じインプラント治療でも費用には大きな差があることがわかりますね。
※1:ZEST DENTAL SOLUTION Academy 研修プログラム資料より
ここがポイント!
インプラント治療費で知っておくべきこと
特に費用面で注意しておきたいのが、以下の2つの項目です。
1. インプラント埋入前の準備
インプラント手術を受ける前に、お口の中をインプラントに適した状態にするための準備が必要です。例えば、以下のような治療が含まれることがあります。
- 状態の悪い歯の抜歯
- むし歯や歯周病の治療
- 古い被せものの治療
- 不正咬合(歯並びの悪さ)の評価、場合によっては矯正治療
これらの治療は、内容や期間によってはインプラント埋入手術と同じくらいの費用がかかることもあるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
2. 定期的なメインテナンス
無事にインプラント治療が終わっても、それで終わりではありません。インプラントを長期間にわたって快適に使い続けるためには、定期的なメインテナンスが不可欠です。
そして、ここが重要なのですが、インプラントのメインテナンスも保険適用外となります。インプラントは10~15年と長く機能する可能性が高いため、その期間のメインテナンス費用や保証の有無も考慮に入れておく必要があります。治療前に、メインテナンス費用についても歯科医師に確認するようにしましょう。
歯科医院からのアドバイス
費用に関する疑問はココを質問しよう!
インプラント治療専門医院として15年以上の経験がある歯科医院から、インプラントの費用について質問する際の3つのポイントをご紹介します。これらの質問をすることで、より本質的な情報を得て、ご自身の判断材料を明確にすることができます。
- 選択される治療計画によって、費用や治療の成功率(予知性)が大きく変わること
oご自身のケースではどのような治療計画が考えられ、それぞれの費用はどのくらいになるのか、成功率・デメリット(リンク下部の告知事項)はどう違うのか、具体的に質問してみましょう。
- メーカーによって使用するインプラントや材料は費用に開きがあること
oどのようなインプラントシステムを使用しているのか、そのメーカーの特性や費用への影響についても聞いてみましょう。
- 術後のケア(定期的なメインテナンス)もインプラント治療と同じように保険の対象外であること
oメインテナンスの頻度や1回あたりの費用、保証の有無など、治療後の具体的な費用についても確認しておきましょう。
まとめ
大切なのは、ご自身にとって最適な治療選択
歯を失ったまま放置すると、歯並びが悪くなったり、将来的な治療が難しくなったりする可能性があります。とはいえ、インプラント治療は治療手段の1つでしかなく、一般保険診療による治療選択肢を否定するものではありません。
保険診療を希望されている患者さんは、当然、一般歯科保険医療機関に熱心に通われているのであって、保険医療機関側から専らインプラント治療をあたかも優れた治療方法であるかのように推奨したり、保険診療では上手にできないなどと伝えることは、インプラント治療の利点と限界、そしてデメリットを歪曲しかねません。
一方で、インプラント治療の起源は、古代ローマ時代にも先例があるといわれる「失った歯を取り戻したい」という人間の根源的な思いに応える治療方法です。インプラント治療を行う医療機関はITIなど各学術団体のホームページも参考にできます。
インプラント治療をご検討されている方は、ぜひ多くの情報に触れていただき、ご自身の状況に合った最適な選択をしてくださいね。



