顎の骨が痩せていてもインプラント治療は可能
歯科インプラントは、歯を失った人にとって優れた解決策です。インプラントの成功率は高く、この手術を受けた患者さんのほとんどが結果に満足しています。ただし、インプラントの治療が完了するまでに6〜12か月かかる場合があるため、熱心に通院する必要があります。
当院で受ける最も一般的な質問は誰でもインプラントができるかどうかというものです。一般的に、1 本以上の歯を失った成人は誰でも歯科インプラントを受けることができますが、インプラント治療に対する適合性はいくつかの要因によって決まります。
そのため、質問の答えは「歯科インプラントはすべての人に適しているわけではない」ということです。ご自分が理想的なインプラント治療を受ける状況であるかどうかを知るために、歯科医院ではさまざまな検査を実施します。当院では、まずレントゲン・CT写真を撮ります。その後、口腔内写真撮影を実施し医科既往歴をお聞きします。その上で、実際の口腔内の評価にうつっていきます。今回は、知っておくべきインプラント治療の受けられる条件について説明します。
歯科インプラントを受けられる条件
インプラント治療を検討している患者さんは、歯科医師による口腔内の評価を受けることが絶対です。当院であれば初診時、歯、歯肉、顎の骨をチェックする包括的なレントゲン・CTによる口腔内評価を実施します。これにはインプラントに必要な骨量をチェックすることも含まれています。初回カウンセリングでは、患者さんは治療を進める前に、予約の取り方やインプラント治療への不安、具体的な治療方法などについて質問することができます。歯科医師は、インプラント治療結果に影響を与える可能性があるため、インプラントの適格性を確認し、これを評価します。
それだけではありません…
実際に患者さんのお気持ちやお話を参考に、インプラント治療計画を立案します。歯科インプラントは口腔外科手術を伴います。侵襲の程度も大きいものといえます。歯科インプラントに適していると認めるためには、患者さんは次の要件を満たす必要があります。
1.十分な顎の骨がある
: 歯科インプラントは顎の骨と一体化する必要があるため、十分な骨量が必要です。オッセオインテグレーションのプロセスは、インプラントの成功にとって非常に重要です。顎の骨がインプラントと結合できなければ、必ず失敗します。場合によっては、インプラント埋入手術の前に骨量を改善するために骨組織再生手術を実施することがあります。患者さんは歯を失ったとき、できるだけ早くインプラント治療を受けるかどうかを検討する必要があります。歯を失った直後から顎の骨の劣化が始まり、インプラントの適格性に影響を与える可能性があるためです。
2.健康な歯ぐきの状態にある
: 歯周病は歯に悪影響を及ぼし、歯を失う主な原因です。これは歯科インプラントの融合に影響を与える可能性があり、インプラント失敗の原因の 1 つとなります。とくに、大きなのう胞を伴う根尖性歯周炎や難治性の辺縁性歯周炎に対しては口腔病理診断を行います。炎症の状況を病理学的な診断のもと、評価します。歯を抜かなければいけない原因については、視診やレントゲン写真だけで炎症の具合を正しく評価できない場合があります。
3.優れた全身の健康状態にある
: 手術や、手術によって発生する可能性のあるリスクや合併症に耐えるためには、医学的に健康であることが重要です。白血病や糖尿病などの慢性疾患を患っている場合、または現在、顎や首の部分に放射線治療を受けている場合は、インプラントの対象にはなりません。喫煙は回復に悪影響を与える可能性があるため、喫煙者は手術の数週間前と治癒期間中ずっと禁煙する必要があります。
4.適切な顎・咬合関係が確立されている
:歯ならびは修復治療・補綴治療の結果をより安定的かつ良好にするために大切な要素です。ひどい叢生(ガタガタしている歯ならび)や歯・顎の位置異常は、インプラントの成功率の悪化と密接にかかわっています。インプラント治療の途中やその前にひどい叢生や歯・顎の位置異常を矯正治療などで修正することがあります。
結論は
歯科インプラントは、現状最も安定していて効果的な歯科治療と考えられていますが、すべての人に適しているわけではありません。条件に当てはまらない場合、歯科医はインプラント治療の前に適切な治療選択肢を提示します。インプラント治療のために、病理診断や矯正歯科治療を乗り越えることもあります。もちろん、インプラント治療だけがゴールではありません。患者さんのご希望や制限に応じた治療計画をご提案いたします。