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伊藤馨(いとうかおる) / 一級建築士

伊藤建設株式会社

コラム

ドッグランに使うウッドチップは他と違う?ウッドチップをドッグランに使用する際の注意点とは

2017年12月31日

テーマ:ウッドチップ

コラムカテゴリ:住宅・建物

ドッグランに使うウッドチップはなによりも安全性が大切です。この点をみなさんと確認してみたいとおもいます。

ウッドチップの安全性

「ウッドチップ」は、もともとは製紙工場で使われてきました。もちろん紙の原料としてです。
現在は「古紙」も原料になっています。古紙を原料にして作った紙が「再生紙」です。しかし、古紙はリサイクルを重ねると劣化がすすむため、繊維質の強いウッドッチップで補完します。ウッドチップは、再生紙を作るためにも使われているわけです。

どうしてこんなことを申し上げるかと言いますと、同じ「ウッドチップ」という名称でも、製紙工場で使われるものとドッグランに使われるものでは、求められる品質に違いがあるからです。

ドッグランに使われるウッドチップには、犬たちを傷つけない安全性が大切です。ウッドチップは通常3~4cmほどの小片ですが、その中に細長く先が尖ったものが混じっていれば犬たちの足を傷つけます。

また、建材(家の柱や梁に使うもの)も砕けば「ウッドチップ」になります。しかし建材と言っても、その中には合板・集成材のように人工の木材もあります。合板や集成材には接着剤が使われています。そして、接着剤に含まれる揮発性の化合物質は人にも犬たちにも被害を及ぼしかねません。

ドッグランに使用するウッドチップは、そうした心配のない天然の木で作られたものをおすすめします。ドッグランに使うウッドチップは安全性が第一に求められるのです。

ウッドチップは、ドッグランのほかに、競馬のトレーニングセンターにもウッドチップを敷いたコースがあり、そこで調教されています。

ドッグランに向いているウッドチップ

では、お話しした「安全性」が確保されたものとして、ドッグランに適したウッドチップを見てみましょう。ここではよく用いられるヒノキ、スギ、青森ヒバを取り上げたいとおもいます。

【ヒノキ】
これはみなさんもよくご存知ですね。ヒノキの香りはいいものです。ヒノキの香りにはリラックス効果があるとされていますが、それだけではなく、微生物や害虫を寄せつけない効果もあります。

【スギ】
ヒノキと共に日本の木を代表する木です。昔から建材としてはもちろん、家具や桶、樽など私たち日本人の生活のあらゆるところで使われてきました。スギもまた抗菌作用に優れています。

【青森ヒバ】
ヒノキ、スギに比べると知名度は高くないかもしれませんが、「木曽ヒノキ」「秋田スギ」と並び、「青森ヒバ」は日本三大美林の一つです。「総ヒバ作りの家には虫が来ない」と言われるほど防虫・抗菌作用を持っています。

ここに取り上げたヒノキ、スギ、青森ヒバはいずれも針葉樹林です。そして、針葉樹林はサクラやブナなどの広葉樹林に比べクッション性があり、犬たちにとってやさしい素材です。

ドッグランは自分で作れる?

愛犬のためにドッグランを作ってやりたいとお考えの方も多いとおもいます。

もちろん有料施設のドッグランのようにしようとすれば、専門家に依頼しなければなりませんが、自分で作れないこともありません。実際、多くのご家庭で自分の手でドッグランをお作りになっています。

その手順は次のようになります。

(1)まず、ドッグランにしようとする地面の雑草を抜いてください。
(2)雑草を抜いた地面を踏んだりスコップを使ったりして平らにします。
(3)そして、ウッドチップを敷きます。
(4)その後、ホウキなどで平らにします。
(5)ドッグランには5cm(小型犬)から10cm(中型・大型犬)程度の厚みが必要です。
必要な厚みになるまで(3)と(4)の作業を繰り返します。
(6)そして、水を撒き、全体をなじませて完成です。

ご家庭のドッグランには人工芝もよく使われますが、おしっこなど臭いが問題になります。また、コンクリートやレンガのドッグランは犬たちが脚をいためる危険もありますし、とくに夏場は日差しの照り返しで熱くなります。

ウッドチップには臭いを分解する作用もありますし、日差しの照り返しを防いでくれます。

みんな頑張っています

DIYのお上手な方は、ドッグランの木の柵までご自分の手でお作りになっているようです。苦心して作ったドッグランを愛犬が駆け回る姿を見るのは格別のことでしょう。

ところで、実は、私たちの会社の若い職人も苦労しています。「建築大工技能試験」というものがあるのですが、それに挑戦しているのです。

試験会場で課題として出されたものを作るわけですが、その課題が実に奇妙奇天烈です。昔から万年筆の書き味を試すためには「永」という字を書くのが良いと言われています。テン、トメ、ハネなどさまざまな書き味が確かめられるためです。その「永」の字をもっと複雑にしたような立体のものを作らなければならないのです。

採寸からはじめ、鋸・鉋・鑿(ノミ)、あらゆる大工道具の使い方が試されます。若い職人さんは元気一杯。チャレンジすると意気込んでいます。

みなさんも、愛犬のためにぜひドッグラン作りにチャレンジしてみてください。

この記事を書いたプロ

伊藤馨

新築から住宅の相談まで、快適な住まいづくりのプロ

伊藤馨(伊藤建設株式会社)

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