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生まれてから死ぬまで、愛犬と飼い主の幸せをサポート

訓練士として愛犬の個性を大切に育てるプロ

田端麻木乃

田端麻木乃 たばたまきの
田端麻木乃 たばたまきの

#chapter1

訓練は飼い主と愛犬、訓練士の信頼関係が不可欠

 愛犬がその一生を幸せに過ごすために、飼い主と愛犬にベストな方法で訓練を行うプロがいます。飼い主のためのドッグスクール「マスタースクール ビリーヴ」代表の田端麻木乃さんです。

 田端さんの元を訪ねてくるのは初めて犬を飼う人から、しつけをやってみたけれど上手くいかなかった人、何匹も飼ってきたベテランの飼い主までさまざまです。

「犬が吠える、噛むなどの問題行動があります。飼い主さんの中には、吠えたり粗相してもいいと訓練しない人もいますが、問題行動は犬自身が何かに困っているという表れ。小さな困り事も積み重なれば大きな問題になります。問題行動をなくすことは飼い主と犬の安心になるだけでなく、犬の生活の質の向上につながるんですよ」

 また、「アプローチは、飼い主と犬のペア一組一組で全く違う」と言う田端さん。飼い主の家族構成や生活スタイルなどの飼育環境を見て、最適なアドバイスをしていきます。「例えば、基本のお座りはどんな状況でも犬の気持ちを切り替えて安心させるためのもの。どんな時も必ずできて初めて『お座りできる』と言えます。他にもハウスで寝られる、ちゃんと食べるなど生活の基本を整えることが重要です」とのこと。

 さらに訓練で大切なことは「飼い主と犬の信頼関係を築くこと」だと強調。「それには飼い主さんと私との信頼関係がないといけません。今はネットやSNSなどの情報があり、飼い主さんの方針がブレやすい。こちらのやり方を信じて一緒に頑張ってもらいたいと思います」と語ってくれました。

#chapter2

犬と人の子育ては似ているが「犬は一生自立しない」

 父が犬のブリーディングをしていたため、子どもの頃から犬がいる暮らしが当たり前だった田端さん。高校卒業後、警察犬や介助犬の訓練士としての道を自然と歩み始めます。「おやつや道具を極力用いない」などの方針は、見習い訓練士時代の経験がベースです。

 田端さんは基本的に犬を叱りません。叱るのは「人に歯を立てる」「飼い主に吠える」「できるのにやらない」、この3つの時だけ。「人間の親子と一緒で、飼い主が犬を上手に叱るのは難しいことなんです。問題行動を直す時は叱るのではなく、お座りさせたりハウスに入れたりと別のことをさせます」と説明します。

「飼い主さんに何度も伝えるのは『行動をパターン化しないで』ということ。例えば普段から好きな場所で自由に寝ている犬はハウス(室内用の犬小屋)で寝られません。手作りのご飯ばかりだとドッグフードを食べなくなる。『これじゃないとダメ』を作ってしまうと、それが叶わない時に犬のストレスになるんです」

 人の子育てと犬のしつけは共通する部分があると言いますが、「その子の性格や個性をよく見て育てていくのは同じ。でも決定的な違いは、犬が自立しないことです」と指摘。「人の子はいつか親の手を離れるけど、犬は一生排泄や食事など人が世話しないと生きていけません。飼い主に受け身じゃなきゃいけないのに、逆らう犬ではお互いに辛くなります。ここを理解してスタート地点に立てるのです」と話していました。

田端麻木乃 たばたまきの

#chapter3

「この子と暮らせて幸せだった」そう思ってもらえるために

 田端さんの考える犬のしつけは「一生」続きます。実際、クライアントは生まれてから命を全うするまで長期的に訓練を受ける人が多いそう。

「基本のしつけだけを学べばいい、結果がすぐ欲しいという方もいます。でも、犬は生き物。子育てと同じですぐに結果は出ません。年齢別の悩みがあり、何年もかけて教育していくものなんです」

 その訓練の多くが、「予防」の観点からのアプローチ。「散歩で排泄していた犬が年を取り散歩出来なくなる。その時のためにトイレシートで排泄できるようにする。噛む癖のある犬が病院で困らないように口輪をはめる訓練をする。先々を見据えてトレーニングします」
 
 訓練を通して一番大切にしているのは「命を大切にすること」。長く狩猟犬を育ててきた人が新しく狩猟犬種を飼った時のこと。獲物を手にすると凶暴化する問題があり「育てられないかも」と悩んでいました。そこで「ゆっくりその子らしく育ててみては?」と提案。飼い主も時間をかけて狩猟犬にすることを決め、今では「この子の親は自分しかいない」と可愛がっているそうです。

「手がかからない犬が可愛いわけではありません。その子自身の個性を育て、愛犬が亡くなる時にこの飼い主に育ててもらえて良かったと思えること、飼い主さんにもこの子と暮らして幸せだったと心から思えること。そのためのサポートをしていきたい」と語る田端さん。その言葉からは、どんな時も飼い主とともに歩いていく心強いパートナーとしての意思が感じられました。

(取材年月:2020年7月)

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田端麻木乃

訓練士として愛犬の個性を大切に育てるプロ

田端麻木乃プロ

犬の訓練士

マスターズスクール ビリーヴ

家族のような対応で愛犬のしつけや困り事に対応する。飼い主と愛犬の信頼関係を土台にした道具や、おやつを極力用いないしつけなど、訓練士として25年の経験を活かした飼い主と愛犬の個性に合わせた訓練が強み。

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