敬老の日【老後資金についてFPが思うこと】

今村浩二

今村浩二

テーマ:マネー知識

9月15日は敬老の日。
敬老の日を機にご自身の老後について思いを巡らせる人もいるのではないでしょうか。
40代後半くらいに差し掛かってくると、ご両親をみてご自身の老後資金についても
考え出す人は多いのではないでしょうか。
弊社では45歳~65歳の女性に特化したご相談を多くお受けしています。
「老後資金が足りないと思うので、なにか対策を」というご相談が一番多いのですが、
弊社にご相談に来られる方で、意外と多いパターンとして挙げられるのは
●充分な資金を確保しているのに、老後が不安で、使えない人
実際に、亡くなるときに一番資金を保有している、というのはデータでも出ています。

資金はあるのに、不安が消えない理由

弊社はシングルの女性のお客様からのご相談を多く受けますが、
先日も、ご相談にこられた50代後半のお客様が
「老後に安心したくて、頑張って貯金した。
でも、人から見たら十分に資産を持っていると思われていたとしても、
結局使ったら減っていくので、それを思うと使えない。」

とお話されていました。

それだけの貯蓄が出来ているということは、本来、堅実な性格の方が多く、
それゆえ、老後を楽しむために貯めたはずなのに、いざとなったら使えない、
というジレンマです。
そして、堅実であるということは心配性な方も多いため、昨今の物価高を非常に気にしており
「このままじゃ足りなくなるかも」「100歳くらいまで生きたら、足りない」
と考える方は多いです。
他にも「大きな病気をしたら」「大きな災害に見舞われたら」・・心配は募ります。

30年近くこの仕事をして感じることは
老後資金は、「いくら貯めた」では、本質的な不安は解消できないもの
だということです。
①お金を持って亡くなることはできません。お金は使わなければ価値はありません。
長く続く老後において、得難い経験や、充実した毎日を送るためにお金をどう使うのか
考えること
それに沿って「何歳~何歳まで、これだけ使える」というプラン立てた資金計画をすること
②「使えば使った分だけ減っていく、という不安」は、ボーナスや昇給などでリセットできる
現役時代では到底わからない感覚であることを理解すること
それを踏まえ、資産の減りをゆるやかにし、資産寿命を延ばす方法やプランを考えること

これが大きな要となります。
併せて、日本の平均寿命は男性81.09歳、女性で87.13歳で日本の平均寿命は基本的に年々伸びています。
(厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」)
いま40代後半、50代、60代前半の女性が、本当にシニアになるころには、
もっともっと長生きする可能性も高まっている、ということも忘れてはいけません。
先ほど「十分な資産」と表現しましたが、いくらくらいが「十分」と感じるのかは
本当に人それぞれだと感じます。
先ほどの方は、6,000万円を超える資産をお持ちでしたが、それでも不安だとおっしゃいます。
金額はあまり関係ないように思っています。
やはり大切なことは、しっかりとしたお金のシナリオが持てているか、
先ほど申し上げた①②のような対策が出来ているか、に尽きます。

60歳代「貯蓄3000万円ある」人はどれくらいいる?

余談ですが、一昔前、老後は2,000万円足りないと金融庁が提言しましたが、
私たちが現場でご相談を受ける中で必要な生活費をヒアリングした上で、
ご準備済資金との差額を計算し「2,000万円」を下回った方はあまりいません。
ここ数年の物価高も含めたら、その2,000万という基準も、何割増かになっているでしょう。
それを踏まえ、例えば仮に3,000万円が一般的な安心ラインと仮定したとして、
では、リタイア前の60歳代で、その3,000万円という資産を持っている方は
どれくらいの割合でいるかといえば
●3,000万円以上・・20.0%
というデータが出ています。
 (「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」・
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」参考)

老後資金が不足している人は、50%を超える

また、65〜69歳の方で今後の生活資金が不足している
(「全く不足している」と「やや不足している」の合計)割合は55.7%。
老後の生活資金を貯める難しさがわかります。
昨今は、定年を過ぎても働く選択肢は増えています。
弊社のお客様でも「世間とのつながりや健康も考えて、できるだけ長く働きたい」
とおっしゃる方は、多くいらっしゃいます。
しかし、「資金の不足を補うために働かなくてはならない」のと
「生活の充実などを考え、働きたいから働く」と自分で選択できるのとでは
全く心持が変わってきます。

これを機に、ご自身の老後に向けて今できることを考えてみてくださいね。
そして、そのきっかけにぜひ、私たちの個別相談やマネーセミナーを
ご利用くださいね。
詳しくはマネレピへ

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Mybestpro Members

今村浩二
専門家

今村浩二(ファイナンシャルプランナー)

株式会社ユニバーサル財務総研

女性のためのマネーセミナー「シアワセのマネーレシピ」を開催し、将来にわたり安心できる貯蓄法、運用法を身に付けたい女性を支援。悩みや不安をお金のプロに気軽に相談できる無料相談も随時受け付けている。

今村浩二プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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