『未経験に臨んだ』といふ『経験』

辻村豊

辻村豊

テーマ:研究開発のヒント

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

経験があるか?

播羊化学研究所という自営業ですが、技術顧問、アドバイザー、コンサルタント、呼び方はいろいろありますが、要は『技術系よろず相談所』です。
どこぞからお呼びがかかり、技術顧問等として就任することが一つの目標です。その際、必ず問われるのが『過去の経験』です。その経験内容についても非常に細かいです。人材紹介会社に登録する際にもフォーマットにそのような欄が必ずあります。まずは過去の経歴などについては、どうしても明かさねばならず、下記はその一例です。言い換えれば、『これが無ければ、誰も依頼なんぞしてくれないよ。』と散々言われております。
(ごあいさつ)
https://banyohkagaku.co.jp/greeting

幸か不幸か、これまで任期制など職を転々させられることもあり、未経験分野に遭遇する確率は比較的高いものでした。少なくとも会社内では誰もやったことがない実験を行い、『やってみて何んぼのもん」といった具合でした。そんなことを繰り返すと、『未知との遭遇』への対処法も身に付いて行くものでした。

世の中、そんなに都合良く行かない。

もっとも、人間、どれだけ頑張っても、経験できることはそれほど多くはありません。
それどころか、世の中には経験を自ら狭めよう狭めようとする方々も多くおられます。わかりやすいところでは、物理のことはわかるが、化学はわからない(本当に物理に関して精通しているかどうか?もわかりませんが…)、有機化学はわかるが、無機化学はわからない、専門は〇〇だ、などなど分野を限定すれば楽だからです。
あるいは、『〇〇がないとできない』もその派生型です。
(何もかもが揃わないとダメなのか?)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5187510/

こうなると、昔とった杵柄を拠り所とする『大企業リタイヤ組』はほぼ絶望的です。ところが、お役所も中小企業関係者も、大企業といふところにさえ在籍していれば、物凄く多くの経験値があって頼りになる!と考えるようですが、実際には真逆です。
(大企業リタイヤ組にご用心!)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5186642/

しかも、口先で誤魔化したり、適当に取り繕う浅知恵にはやたら長けていて、『やった感』を演出することだけは得意と来るので非常に厄介です。最近も『4種類ものAIを使って作成した!』と誇らしげにしていた人がいました。プレゼン資料も10ページ以上に文字がぎっしり詰まった見たところ立派なものでした。ところが、良く見ると肝心の中身は90%以上全く意味がないもので、有用な部分を探すだけで一苦労、作成した(AIに作成させた)本人も中身について全く理解していない有様でした。
このように、最近では『作成する文章の8割以上をAIに任せている』というこれまた大企業崩れの方もおられますが、本当に大丈夫なのか?と思わざるを得ません
(AI=阿保いい加減にせい!なのか?)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5189467/

『未経験に臨む』といふ『経験』

てなことで、なかなか経験というものは簡単に得られるものではなく、当然のことながら、未経験の分野方が遥かに多いです。
そこで、私は経験のない分野に対して、少しでもその穴を埋めようと『雑誌会』をやっております。お金もかからず、特別な設備も要らず、やること自体は非常にシンプルです。これまで何度もこのコラムでも言及して来ました。
(雑誌会の部屋)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/service1/

そんな中、『扱っているネタの質が悪い』、『世間のニーズがわかっていない』など、様々な批判は数多く来ておりました。そこで、一年ほど前に、しからば『お手本を見せて欲しい』、『一緒にやりましょう!』と呼び掛けたところ、ものの見事にピタッとお声は止みました。イチャモンはつけることができるが、いざ自らやるとなると、全員尻込みしたようです。これが今の世の中というものです。近隣諸国に遅れを取っている!これからの世代は大変だ!などと他人様の不安を煽ることは大好きでも、自らのこととなると、ひたすら逃げ出す始末です。

井の中の蛙でいたい

結局、未経験分野からは逃げて言い訳して、ひたすら井の中の蛙でいることが、何よりも楽ということです。『〇〇について経験はあるか?』というようなピンポイントな要求だけを出してアドバイザーを探すこと自体、幻想に過ぎませんし、たとい見つかっても『やった感』が残るだけで、何ら進歩がないはずです。
しからば何が重要か?となりますと、分野にかかわらず『未経験に臨んだ』といふ『経験』がどれほど多かったのか?あるいはそれに対して抵抗がなく意欲があり、曲がりなりにもその対処法を考えて来たのか?そのあたりではないでしょうか?

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辻村豊
専門家

辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

原料や素材の研究開発、製造工程、PRなどに関する企業様のお困りごとを丁寧にサポート致します。専用の実験室で実証実験や試作も可能、少量からOKです。更に技術系社員の育成、技術承継のご相談なども承ります。

辻村豊プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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