鉄道模型は子供のオモチャです!

辻村豊

辻村豊

テーマ:日々雑感

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

模型店の店主が…

数ヶ月前に大阪市内の鉄道模型店を訪れた時のことです。店主が嘆いていました。『今度出るHOの蒸気機関車、一台60万円もする。これでは誰も買わないよ~』
(61600円の機関車)
https://models-store.tenshodo.co.jp/products/90019120

HO(ゲージ)というのは模型の縮尺のことで、1/80あるいは1/87スケールのことを言います。一方、この国では一般的?となっているNゲージは1/150あるいは1/160です。
60万円が高いか?安いか?は人それぞれでしょうが、当地では中古の軽自動車が軽く2台は買えてしまうので、個人的には極度に高いと考えます。

人間工学に沿ったサイズ感

このHOスケールはちょうどプラレールと同じくらいのサイズと言えば非常にわかりやすいと思います。
(プラレール)
https://www.takaratomy.co.jp/products/plarail/

このサイズは正に人間工学的に最も遊びやすいサイズなのでしょう。プラレールがこれだけ長く、大きさが変わらず、遊びの天才の子供たちに支持され続けていることで証明されます。
あと、プラレールと並んで、ミッキィ、ブリオ、モクトレインというものもあり、いずれのHOサイズに近いです。

(ミッキィ社(micki)について)
https://www.woodwarlock.jp/fs/wood/c/micki

(BRIO World)
https://www.briojapan.com/ja-JP/discover/brio-world

(moku TRAIN (モクトレイン))
https://mokutrain.popondetta.com/?srsltid=AfmBOorYT2CoSdKSPV36En_IADkdIOV7YTSCTnMobs9F0erIoAavFHwQ

一方、Nゲージは小さ過ぎて遊びにくいサイズとなります。
実際、かつてプラレールアドバンスと呼ばれるNゲージに近いスケール感の派生型も出ましたが、結局遊びにくかったようで、直ぐに廃れました。
https://www.pet-care-center.com/staff-blog/diary/20111014-1318641868/

このように、子供たちですら遊びにくいサイズなのに、手が大きくなった大人となると、更に遊びにくくなるのは容易に想像できます。

部屋が狭いから?

なぜこの国ではわざわざ遊びにくいNゲージを親しむ文化が根付いたのでしょうか?諸説あります。住宅事情から狭い部屋では小さいスケールでないと線路が敷けない説が有力です。しかしながら、HOスケール、特に舶来品では1畳に広さでも十分遊べることから、必ずしも部屋の広さだけが原因とは考えられません。

ジジイたちが子供たちを締め出した!

おそらく、大人たちが夢とともに、鉄道模型の世界から子供を締め出したからだろうと思われます。大人といっても様々ですが、ここでは代表として、親しみも込めて『ジジイ』としておきます。時々、レンタルレイアウトなどでHOゲージを走らせているジジイがいます。そこへ子供たちが近付くと『触るな!離れろ!』と怒鳴り散らして追い返します。本当に嫌な光景です。触って汚れれば、拭いて掃除すれば良いし、投げて壊れれば、頑張って修理すれば良いだけの話です。一時期、ゴジラの映画の影響で鉄道模型を投げるゴジラごっこが流行りましたが、子供たちがやることですから、それも致し方無しでしょう。
下記はそんな修理の一例です。リサイクルショップにあった、汚れたり、『不動!』と書かれて壊れていた古い鉄道模型ですが、しっかり面倒をみてやれば、再び元気良く走ります。
(111系スカ色)
https://drive.google.com/drive/folders/1vMWfMsBeuwMBs40k2w_0Qrt4lcEDHlqE?usp=sharing
しかしながら、Nゲージではサイズが小さ過ぎて触りにくく、部品交換とかも敬遠され、往々にして都合が悪いと全体をすっかり交換する使い捨て文化が発達してしまいます。
その一方で、この国には過酷な条件でも故障なく動く工業製品の開発実績があります。鉄道模型メーカーも、そんな技術を適用して、最初から手荒に扱われることを想定しておけば良いはずです。世の中あるある、縦割り大好き、横展開できない悪しき習わしの成れの果てと言えます。
ジジイにしてみれば、もしやるなら『安いNゲージで遊んでおけ!』ということなのでしょうか?その結果、この国の鉄道模型愛好家、特に若手はHOゲージの楽しさも知らずに、『Nゲージが全て』の人たちばかりになったということです。

何もかもが大人ファースト

そんなこんなで、この国の鉄道模型、HOゲージを作っているメーカーは少数派で、しかも、ジジイしか喜ばない、更に一部のジジイしか買えないような高価な商品ばかりをリリースして続けて来ました。いわゆる昭和の旧型車両が中心です。しかも複数のメーカーが同じ車種ばかりを競って出していて、選択肢もどんどん狭まるだけです。更に、ジジイ族の多くは見た目重視で、上記のような耐久性など二の次です。また、車両以外として、駅など建物も、ほとんどない上に、たといあったとしても、割高でジジイが懐かしがる古臭いものばかりです。そして、子供たちが喜びそうなトンネル、踏切、鉄橋、信号などの類はほとんどありません。目先のことばかりを考えて、ひたすらジジイ族の顔色をうかがい、戦略も立てずに将来を担う子供たちを無視し続けたことは、鉄道模型分野にとどまらず、この国の縮図として見えて来ます。

こんなオモチャもあったが…

私が子供の頃、父親が『パチンコというのは、子供が遊ぶためのものだ。だからあんなものは子供の時に卒業しておくもんや。なのに子供には遊ばせずに大人ばかりがやり続けている。』と言っていました。確かに当時、アタックNo.1の図柄が施してあるパチンコ台のオモチャや赤いスロットマシーンのオモチャが家にありました。実際、それでよく遊んでいて、いずれも子供時代に卒業しております。ところが、今やパチンコは『子供が入れない専用の施設で大人が遊ぶもの』が完全に定着したようです。いつしか子供向けのオモチャも見なくなりました。更には現在開催されている万博も、そんな施設を作るための序曲で、この国の大人ファーストは今後も加速度的に続いて行くようです。こうなると、私のような天邪鬼は『大人なんかになりたくない!』とついつい思ってしまいます。
(大人なんかに、ならない方が良い?)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5174028/

鉄道模型は子供のオモチャです!

このように、ジジイ族により、最も遊びやすいサイズの鉄道模型から子供たちを締め出ししたことは、世界標準からも逸脱、この国の科学技術の発展にも悪影響を及ぼしていると考えます。このことについては、また改めて申し上げて行こうと思います。
鉄道模型は子供のオモチャです!

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辻村豊
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辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

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