真実に迫るとは?

辻村豊

辻村豊

テーマ:日々雑感

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

ここでもマスコミvs.SNS

旧友二人と話をすることがありました。
最近流行りの『マスコミvs.SNS』の話題にもなりました。
二人とも同じ見解で、
(1) 既存のマスコミは偏向極まりなく全く信用できない。
(2) SNSは玉石混交だが、そこから『正しい情報』を選び出せる能力が必要。
ということでした。
正に今、最先端を行く考え方なのかもしれません。
上記の理由について尋ねると、『間違った情報に惑わされず、真実を知ることによって路頭に迷いたくない』ということのようです。
確かに『真実に迫る』こと自体は正しいと考えます。
しかしながら、私自身、かなりの違和感を覚えております。
まず、既存のマスコミについてですが、『正確さに欠ける場合がある』というのが私の見解で、『全く信用できない』とまでは思っておりません。3つほどエピソードを申し上げます。

テレビは本当のことを流さない

大学生の時、隣の大学の教授様が非常勤でやって来て、『政治学』という授業がありました。その教授様、テレビのワイドショーのコメンテーターもやっていました。今やテレビのコメンテーターも当たり前のように出て来ますが、40年ほど前ですので、草分け的存在でした。その教授様が『テレビから流れていることを本当のことだと思ってはいけません。画像が映っているからと言って、事実とは限りません。もはやテレビでは真実を語ることができないので、テレビに出るのはやめようと思っている。』と言っていたのが非常に印象に残っております。

クイズ番組は出来レース

更に時代は遡ります。中学生の時でした。学生時代にテレビ局でアルバイトをしていた人の話を聞くことがありました。当時人気だったクイズ番組の手伝いをしていたそうです。その番組、タレント数人が回答者だったのですが、必ず正解を出す人と、変な答えを出してボケる人が決まっていました。話は簡単で、最初から台本があって、その通りにやっているだけでした。ところが、あたかも出演者がその場で考えているように見ている視聴者はたくさんいて、巷では『〇〇さんは本当に賢い!』とかいう会話が普通に行われていました。

新聞記事はいきなり発表

前職時代、開発品に関して、新聞社の取材を受け、何度か記事になったことがありました。ところが、新聞社というところは絶対に下書きを見せてくれず、ある日ある時にいきなり発表でした。故に、どれだけ事前に打ち合わせをして記者に詳細を伝えても、なぜか間違った箇所が発生してしまうものでした。どうしても記者の主観が入ってしまうようで、新聞記事というものは『必ずしも正しいことが書いてあるとは限らない』ことを知りました。

てなことで、既存のマスコミ、事実と違うことや、猿芝居を発信することもあるようですが、だからと言って、何もかも嘘八百とは言い切れません。
実際、放送局でディレクターをやっている友人も『マスコミも色々』と言っていましたが、その通りかと思います。

参考例を出すか?自らやるか?

これまで、研究開発に関して何かの判断をする、考察する、主張するためには、その根拠を示す必要がありました。具体的には過去の研究例など十分説明できるものを提示するか?自ら実験して証明するか?の2パターンに尽きるものでした。そんなことをやり続けていると、何の縛りもないSNSの情報に対してどうしても胡散臭いイメージを持ってしまいます。もちろん、全てが怪しいわけではありません。そこで、如何に正しい情報を抽出することが肝要なのでしょう。実際、上記旧友二人以外にも既に数人が『俺は正しい情報を選び抜いているよ!』と自信満々に言って来ます。全く関係のない人たちが全く同じことを言って来るのには非常に驚かされます。

これは本能?

そんな中、下記のような記事を見つけました。
『人間は基本的に情報を信じ、情報源を忘れるように進化したからです。』と書かれていました。何やら狩猟採集時代に培った遺伝情報を現在でも踏襲しているからのようです。確かに情報源を忘れることは、『何らかの根拠を示そうとすること』に反するので、さもありなんです。そして、遺伝子のいたずらとなると、これはこれで大変です。
(「デマを信じ込んでしまった人」が聞く耳を持たなくなる“本能的な理由”)
https://shuchi.php.co.jp/article/7817

更に人間には、いち早く特ダネを掴み、それを言いふらすことで、ひたすら優越感に浸りたい、そんな心理もあるのでは?と思います。

これはできない

かくいう私も毎日のようにSNSを利用しておりますので、SNSを否定するわけではありません。いわゆるエンターテイメントの一環です。ところが、SNSの内容を金科玉条のようにしている方々が多いことに大変驚くばかりです。幸か不幸か私には膨大な数のSNS情報から正確なものだけを抽出できる能力なんぞ全くございません。これは『やらない』のではなく、『できない』のです。たといやろうとしても、時間とエネルギーが無駄になるだけです。
(できない?やらない?)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5147980/

今やその能力の差が顕著となり、『生き残れないぞ!』と脅される始末です。まぁデキる人って本当に凄くで、頭の構造が全く異なるのでしょう。

明らかに真実に近いこと

そんなこんなですが、ここで『真実に迫ることはもっと他でもできる』と言いたいです。このコラム欄と並んで、『雑誌会の部屋』というページを設けております。このような雑誌会は10年以上前から実施しており、ごく最近のものについて、雑誌会の部屋で公開しております。
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/service1/

元ネタは研究論文です。論文なので、背景を説明、何をどのようにやったか?を明記、結果も読者がわかるように説明・考察、そして結論を述べるものです。審査も経て発表されています。その結果、新聞記事や特許、そしてSNSよりずっと真実に近いものであるはずです。とすれば、SNS漁りに心血を注ぐより、最初から真実に近い情報である論文などの中から糧を得る方がずっと意義があると考えますが、いかがでしょうか?

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辻村豊
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辻村豊(技術コンサルタント)

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