国語表現!?

辻村豊

辻村豊

テーマ:研究開発のヒント

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

Wordが使えない

数日前に元高校教員の方と話をすることがありました。
年々文章が書けなくなっている人が増えているということでした。
その方、長年パソコン教室の講師もしているそうです。その中で、特に最近はパソコンの文章作成用ソフトであるWordが使えない人が激増しているようです。確かに地元ではPTAの副会長になる条件として『パソコンで文章が作れる人』とありますが、なり手が極端に少ないと聞いております。
その反面、不完全な文章で済ませる傾向はますます強くなっているそうです。その関係で最近はパソコン関係でもExcelで済ませる人が多いそうです。確かに技術顧問先でも『Excelの操作には長けているがWordは全くわからない』という若手社員がいました。Excelは数値などを打ち込んで表計算をしたり、グラフを作成するためのソフトであり、文章を書くためのものではありません。

ラジオを聞いていても…

あるいは、地元ラジオ局を聞いていると、リスナーからのメッセージ、説明不足で何が言いたいのか?よくわからないものが多過ぎです。
例えば『抽選で凄いものが当たって嬉しく嬉しくてたまりません!』→何が当たったの?
『一生懸命練習したのに、一回戦敗退でした。』→何の競技会?
『きれいな作品を見て大感動した!』→何を見たの?絵?
いわゆる舌足らずということでしょうか?
そこを放送局のスタッフやパーソナリティの人たちが想像力を最大限働かせて何とかフォローしているようです。
もちろん、いわゆる格調高い文章とかとなると、もはや一般人が書くのは至難の業であり、私なんぞ到底できません。しかしながら、何を伝えたいのか?が最低限わかる文章は書けるようにしておかねばなりません。

文章を書くことは難しい

大学院時代、非常に優秀な同級生がいました。頭の回転が異常に速く、何をやってもそつがありませんでした。また、将棋が大の得意だからか、10手先ぐらいの物事も予測できる能力の持ち主でした。その彼、修士課程を修了後、大手化学メーカーに就職しました。そして、驚くべきことを聞きました。その会社で報告書を書くと、上司が添削し、最初から最後まで訂正の嵐で、原稿は真っ赤になっていたそうです。あれほど優秀と思っていたのに…です。しかしながら、さすがにそのような日々が2年間も続けば、ほとんど直されることもなくなったそうです。文章を書くということは、それだけ大変なことなのです。

ここでも絶滅危惧種?

そして、これが最も深刻な問題になります。上記友人のように、2年間訂正の嵐に耐えることは大変です。それを今の若手社員ができるかどうか?疑問です。しかしながら、それ以上に、部下の書いた文章を丁寧に見て、修正ができる、しっかりと指導できる上司、今はどれだけいるでしょうか?絶滅危惧種ではないでしょうか?
このような上司、部下がいたからこそ、研究開発、技術開発は確固たるものとなり、日本という国を支えて来たのではないでしょうか?

国語表現!?

それはそうと、そもそも学校で『何かを伝える術』を重点的に教わったこと、あるでしょうか?
小学校から『こくご』の授業はあったものの、特に思い当たりません。
唯一思い出したのが高校の時にあった『国語表現』という授業です。
現在でも選択科目として継続しているようです。
(高等学校国語科の科目構成について)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/068/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/04/01/1369033-6.pdf

その一例をNHKの高校講座で見ることができます。
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/search/?q=%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E8%A1%A8%E7%8F%BE&lib=on

さすがこんな番組、公共放送でないと作ることはできません。しかも高校講座、70年以上の実績もあるとなれば伝統となり、中身も濃いです。
今の私が見ても十分勉強になります。

40年ぶりに

そんな国語表現ですが、ふとしたことから、高校時代に国語表現を担当していた恩師と40年ぶりに連絡が取れました。国語表現について、以下のようなコメントが来ました。
『国語表現? あれは最悪の授業でした。文部省の指導要綱変更により新設された教科でしたが、誰も引き受け手がない。たまたま国語科主任だったので、責任上仕方なく引き受けたのですが、何をしてよいかもわからなかった。』
当時はこんなことだったようです。

その一方で、高校時代に同じ授業を受け、今は上記の公共放送でディレクターをやっている同級生は『ナレーション台本をいじるのが好きなのは、あの国語表現の授業があったからのような気がします。』と語っております。
てなことで、国語表現、今こそ、そしてこれからも重要な教科でと考えます。これを高校の選択科目にしておいて良いものでしょうか?むしろ義務教育の間にも積極的に取り入れる必要があるのではないでしょうか?

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辻村豊
専門家

辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

材料や素材の研究開発、製造工程、特許に関する企業の困りごとを丁寧にサポート。専用の実験室で実証実験や試作も行っており、少量からでも対応が可能です。技術系社員の育成、技術承継も相談に応じます。

辻村豊プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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