循環型社会形成に向けた最新の取り組み

辻村豊

辻村豊

テーマ:研究開発のヒント


皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。
地元大学が中心となる地元企業の集まりに参加しております。
今週、『循環型社会形成に向けた最新の取り組み』と称した勉強会がありましたので、その内容をご紹介致します。
講演が3件あり、大学から1件、企業から2件でした。
特に企業からの2件は興味深いものでした。

太陽光パネルリユースリサイクルの現状と今後


まずは株式会社浜田さんによる講演でした。
全国には太陽光パネルが多く設置されていますが、いずれそれも寿命を迎え、廃棄となるようです。
そこで、太陽光パネルを分解し、ガラスや金属などを分別して、再利用する技術を開発しているそうです。
https://www.kkhamada.com/business/industrial/enjoy.html

リサイクルを意識したものづくりの重要性

講演の後、手を挙げて質問したところ、『太陽光パネルにはガラス板が使われているが、分解の際にガラス板を分離させることは大変難しいそうです。なので、ガラスの存在はかなり厄介』ということがわかりました。
これまでは、発電効率や製造コストばかりが重視された太陽光パネルしか作られて来なかったようです。
既に文房具など、リサイクルを意識した商品も出回っている中、今後はたとい発電効率や耐久性などを多少犠牲にしても、ガラスの代替えなど、再生を意識した太陽光パネルに置き換えて行く必要性を感じました。

太陽光と言えば


太陽光と言えば、実家は築60年以上になりますが、建てられた時は何と屋根に太陽光温水器が乗っていたそうです。何やら60数年前に、太陽光温水器の一大ブームがあったそうです。夏は熱いお湯が、冬でも、たとい沸き上がらなくてもガスの使用量は明らかに少なかったそうです。ところが、直ぐに壊れてしまったらしく、私のかすかな記憶では、湯を流すパイプの残骸があっただけでした。また通っていた高校も温水プールでしたが、太陽光を利用して水を加熱していました。
太陽光、発電以外に何ができるのか?温水器も含めて今一度考え直す時期だろうと思います。

都市鉱山からの金属リサイクル

もう1件はアサヒプリテック株式会社さんによる講演でした。
『都市鉱山』という言葉がキーワードでした。
都市鉱山とは?講演の中でも、下記が引用されていました。
『環境やエネルギーが地球規模の問題となるのに伴い、資源循環は非常に重要なテーマになりました。資源循環を実現する考え方のひとつに「都市鉱山」があります。都市鉱山とは、使用済みの家電、携帯電話、パソコンその他の製品から金属材料を回収し、再利用することです。都市の廃製品から資源を得るため、これを鉱山での採掘に例えてこのように呼んでいます。都市鉱山の発想は以前からありましたが、現在は、資源循環の機運が高まる中で、これまでより総合的な視点から新たな取り組みが進んでいます。
産総研マガジン 都市鉱山とは?
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20230301.html

理論的にも十分説明できる処理方法


そして、取り組みについては、電気・電子部品などから水と酸、アルカリを用いて金属を回収する方法が説明されていました。いわゆる電気化学と呼ばれる学問を土台とする方法で、理論的にも十分説明できる内容で、金や白金など高価な金属が効率よく回収できるとのことでした。特に金地金は光沢に優れたものを作っているそうです。
https://www.asahipretec.com/precious_metal/
ただ、課題も多く、原料(廃棄物)を広範囲から集めなければならない、分解・分別しても処理不可能などうしようもない部分も多い、そもそも処理コストが高い、社会がまだリサイクルするよりも廃棄した方が経済的に有利となったまま、などの問題があるそうです。
これらの問題は電気化学のような技術面だけでなく、法律や行政なども含めた総合的な取り組みが必要であることを改めて感じました。

これが事実です!


少し前にとある巨大企業の事業所に出入りしていたことがありました。
そこでは、かなり細かく、厳格に分別廃棄が行われていました。
ところがです。
そこの廃棄物の処理は、協力会社が担当していたのですが、せっかく細かく分別していたのに、その協力会社はまとめて持ち帰り、単に燃えるゴミと燃えないゴミの二つだけにして処理していました。
これが真実です。
分別なんて、そこの大企業の社員がやった感に浸る、いや、上層部がやらせた感に陶酔しているだけで、事実は全く違っていたのです。
弊社のような、実にしがない、超零細企業をやっていると、時々大企業の方々が到底知り得ない事実に遭遇することがあります。
ちなみに『事実とは現場に居た人しか判りません。そのため、いくらでも改ざんし得る可能性、危険性を持っています。だから不正が成立するのです。』とあります。
(マイベストプロ、事実と真実の違い、「現実」「解釈」「真理」実例でわかりやすく解説)
https://mbp-japan.com/saitama/lafaero1/column/5117439/

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辻村豊
専門家

辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

材料や素材の研究開発、製造工程、特許に関する企業の困りごとを丁寧にサポート。専用の実験室で実証実験や試作も行っており、少量からでも対応が可能です。技術系社員の育成、技術承継も相談に応じます。

辻村豊プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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