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ポイントその2:いったん法務局に預けた遺言書は、後日取り戻すことができます。ただし、法務局から取り戻すだけでは、その遺言をやめることにはなりません。
part 1 の補足
遺言者が法務局(遺言書保管所)に出頭できない場合は、自筆証書遺言保管制度(以下、「本制度」といいます)を利用することができませんが、この場合でも自筆証書によって遺言をすること自体は可能です。また、公証人に出張を依頼するなどして、公正証書による遺言をすることも可能です。
今回は、保管の申請をしてから、遺言者がお亡くなりになるまでの間の手続についてご紹介します。
遺言書保管申請の撤回とは
遺言書保管法では、遺言者は、法務局に保管されている遺言書について、保管の申請を撤回することにより、遺言書の返還を受けることができると規定されています。保管申請の撤回は、遺言者の生存中に遺言者本人のみが行うことができます。
保管申請の撤回も、遺言者自身が遺言書を預けた法務局に出頭して行う必要があります。保管申請後に、遺言者が病気などで法務局に出頭することができなくなった場合は、撤回の手続ができないことになります。
保管申請の撤回の効果
遺言書の保管の申請の撤回は、法務局に遺言書を預けることをやめることにすぎず、その遺言の効力とは関係がありません。つまり、保管の申出を撤回することによって、その遺言書の内容自体を否定する(遺言を撤回する)効果を生じさせるものではありません。
法務局に預けた遺言書の内容を変更したいとき
この場合はいったん保管の申請を撤回して遺言書の返還を受けて、遺言書の内容を変更した後に再度保管の申請をするのが望ましいとされています。ただし、撤回をせずに新たな遺言書の保管申請をすることも可能です。
もちろん、新たな公正証書遺言を作成することや、本制度を利用しない形で新たに自筆証書遺言を作成することもできます。
変更事項の届出
遺言者が保管の申請時以降に住所や氏名に変更が生じたときは、法務局にその旨を届け出る必要があります。この届出は郵送でも行うことができます(出頭する必要はありません)。また、遺言者本人だけでなく、成年後見人などの法定代理人からも届出をすることができます。
次回は、遺言者がお亡くなりになった後の手続についてご紹介する予定です。
遺言のみならず、相続手続全般に関するご相談も承りますので、お気軽にご連絡をお願いいたします。
<参考文献等>
『一問一答 新しい相続法-平成30年民法等(相続法)改正、遺言書保管法の解説』 商事法務発行
本制度に関する法務省のパンフレット
http://www.moj.go.jp/content/001322593.pdf
<参考リンク>
法務省ホームページ内 法務局における自筆証書遺言書保管制度について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html