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電力に頼ることなく室内を自然換気する「グッドマン換気口」を提案

人と環境にやさしい、自然換気のプロ

斉藤武夫

人にも環境にもやさしい自然換気装置システムをお使いください
電力は不要。設置するだけで自然換気ができる「グッドマン換気口」

#chapter1

自然の通風で給排気するグッドマンは「呼吸する換気口」がキャッチフレーズ

 「昨今の感染症対策の一つとして、重要視されるのが換気です。30分に1回以上窓を開放して外気を取り入れることなどが推奨されていますが、冬場の平均気温が氷点下を下回る北海道では難しいのが実情です。当方では、『窓を閉じたまま、常に空気を入れ替えたい』というみなさんの声にお応えします」
 
 そう力を込めるのは、札幌市でパッシブと呼ばれる自然換気システムの研究開発を行う「グッドマン」の代表・斎藤武夫さん。2007年に結露対策として考案した「グッドマン換気口」が、コロナ禍で再び注目を集めています。

 キャッチフレーズは「呼吸する換気口」。内部は上下2段に分かれ、上の段から室内の暖気が出ていき、下の段から室外の冷気が入ってくる仕組みで、温度差を利用して排気と給気をかなえます。
 また、部屋側に角度を調整できるフタ(ダンパー)が取り付けられており、斜め上方向に開いたフタの前で冷気が暖められるため、室温に大きな影響を与えることがないのも特長です。

 「空気の流れを体感してもらえるよう、私どもの事務所内にショールームも設けています。例えば、換気扇を回すと、勢いよく空気が動いて外に放出されますよね。一方、当方の製品は自然な通風なので、音や風圧を感じることはありません。電力を使わないのでエネルギーロスも少ないですし、停電時や長期不在時でも作動し続けてくれます」と斎藤さん。
 テレビや新聞などでたびたび紹介されたこともあり、クラスターの発生を懸念する学校や老人保健福祉施設などにも導入されているそうです。

#chapter2

大学教授や公的機関などの協力を得て性能実験を実施。6年の歳月をかけて製品化

 1985年に会社を立ち上げた斎藤さん。経営していた喫茶店でたばこの煙がこもるため、換気対策を考えたことが創業につながったと言います。

 ちょうど北海道内で高断熱高気密の住宅が増え、結露が問題になっていた頃。「これからは、機械で空気の給排気する時代になるだろう」との見解を示す住宅雑誌の記事を見て、自然換気の方法を模索するようになったとか。

 「店では、空気清浄機などを使っていましたが追いつかず、窓を開けた方が効率的でした。ドアの上に欄間を設けたり、屋根裏にいろいろな形状の換気口を作ったり、風通しをよくしようと試みましたが、雨風が吹き込み思うようにいきませんでした」

 その後、省エネ住宅の研究などを行っていた岩手県立大学の佐々木隆教授に出会い、開発が進みます。実験室を作り、そこに換気口を付けて効果のほどを測定。得られたデータを基に、佐々木教授が国内外の学会で発表しました。

 寒冷地における住宅計画などに取り組む北海道立北方建築総合研究所では、通気性や防風雨性に関する性能実験も実施。完成までに6年の歳月を費やしました。大阪のハウスメーカーの実証実験では、二酸化炭素の排出量が理想的な数値とされる1000ppm以内を計測。これらのデータなどは、ホームページで公開しています。

 「コロナ禍以前は、結露やカビなどに悩まされる個人宅や店舗の利用が多かったですね。愛猫家のお宅では、猫の臭いがなくなったと喜ばれました。沖縄では、トレーラーハウスに導入した実績もあるんですよ」

ショール―ムでは、グッドマン換気口による空気の流れを体感できます

#chapter3

「多くの人に喜んでほしい」との思いで、三十余年にわたり研究開発に尽力

 特許を取得し、発明協会会長賞をはじめ、「北国の省エネ・新エネ大賞」や「エコプロダクツ賞」など省エネ関連の受賞も多い斎藤さん。今日に至るまでには、数々の苦労や挫折がありました。
 例えば、初期の頃は「換気口の中に鳥が巣を作った」など、鳥害を訴えるクレームが続出。問題が生じるたびに作り替え、顧問の会計士からは「まだやるんですか」と言われたことも。繰り返したトライアンドエラーは数百回に及びます。

 あきらめることなく、いちずに続けることができたのは、自ら手掛けた製品への自信と、多くの人に喜んでほしいという夢があったから。
 「コロナはいつ終息するか分かりません。長い目で見たら、自然換気が一番いいのではないでしょうか。コストがかからない上、エネルギーも要しませんので、省エネの時代にもマッチしています。グッドマンはまだまだ発展段階。今後は、おしゃれなデザインにしたり、建物の規模に合わせて大きさを変えたり、さまざまなニーズに応えていきたいですね」

 喫茶店を営んでいた頃から、ずっと1人でやってきた斎藤さんですが、周囲のサポートがあったからこそと、これまでの道のりを振り返ります。

 「何かあると、その分野の人たちに助けてもらいました。同志のような存在で、お互いに支え合いながら共存共栄してきた感じです。70代も後半に差し掛かりますが、人々のため、世界のためにお役に立ちたいと思っていますので、換気対策にお困りの方は気軽にご相談ください」

(取材年月:2022年12月)

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専門家プロフィール

斉藤武夫

人と環境にやさしい、自然換気のプロ

斉藤武夫プロ

自然換気装置開発者

有限会社グッドマン

温度差や風圧など、自然のエネルギーを利用した換気装置を提案。電気代などのコストがかからず、環境にもやさしいのが特長。公的機関などでの実証実験も実施済み。

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