高い技術力で難現場にも対応する杭打ち・杭抜き工事のプロ佐藤幹夫

高い技術力で難現場にも対応する杭打ち・杭抜き工事のプロ

佐藤幹夫

自社で約50機の専用機械を保有し、豊富な経験知で数々の現場に対応

　建物などを建てる際、地盤を補強する杭打ち工事を北海道全域で展開するのは、札幌市に本拠を構える「ミキフジ」の代表・佐藤幹夫さん。オフィスや商業・温浴施設、アパート、マンションなどを手掛け、実績累計は700件以上に及びます。

　「お問い合わせをいただくと現地調査を行い、面積や杭の本数、使用する機械に基づいてお見積もりを作成し、工法や工期をご案内します。地面を掘削し、重量のある鋼杭を正確に打ち込むには、綿密な計画と的確な施工力を要しますので、技量を備えた当方にお任せください」

　杭打機をはじめ、自社で約50の専用機を保有。現場に応じた機械をそろえ、迅速かつ円滑に工程を遂行できるのが強み。これまで数々の難題に応えてきました。

　「最近では、2022年の案件が印象に残っています。大規模なビルの建築で、隣接する敷地との境界がたった50㎝。しかも大型のビルがそびえ立っていました。隣の基礎躯体に影響を与えると大惨事になりかねませんから、細心の注意を払って作業を進め、無事終えたときにはほっとしました。クライアントさまは、『非常に助かりました。またお願いします』と感謝の言葉をくださいました」
　
　佐藤さんのもとでは、建物などを解体する際の杭抜き工事も担当。大手ゼネコンや下請けのサブコン、設計事務所と、各方面から引き合いがあります。

　「冬場には除雪・排雪も請け負っています。もともと当社は、大雪に悩む方の力になりたいという思いで創業しました。道路などに積もる雪をどかして路面をならし、地域の皆さまの安全性にも配慮しています」

クレーンオペレーターとして働きながら除雪・排雪に乗り出し、その後独立

　1965年に札幌市で生まれた佐藤さん。友人の紹介で10代の頃から杭打ち工事業者で働き、6年間の修業で実務を習得した後、大型クレーンの運転士を募集していた建設会社に入ります。

　「積雪量が多い札幌では、冬が到来すると杭打ち関連の発注はありません。閑散期に入ると、従業員は自腹で大型バスやフォークリフトの資格などを取得していました。私もクレーンの免許を取ったので、操縦のスキルを生かしたいと思い、転職しました」

　クレーンオペレーターとして勤めるようになって4年目の冬、佐藤さんはサラリーマンをしながら個人事業主として除雪・排雪業に乗り出しました。「背丈を越えるほどの雪と苦戦し、日常生活もままならない地元の方のために何かできないかと考えたのです。金融機関の融資を受けて重機を購入し、早朝や休日に副業として始めました」

　とはいえ、会社員である以上はあくまで本業が優先。例えば急に雪が降った際、即時対応ができません。暮らしに支障をきたすため、いち早く対処する必要があるにもかかわらず、スピーディーに動けないことにジレンマを感じた佐藤さんは独立を決意。1995年に会社を立ち上げました。

　「事業をスタートして3回目の冬で、引き合いも多く収入も勤務先のお給料を超えようとしていました。一人でやっていけるのか不安はありましたが、妻が背中を押してくれました。社名を、私の『ミキ』と妻・富士子の『フジ』から取って『ミキフジ』とし、出発することにしたのです」

杭打ち工事の技術を伝え、業界で活躍することを願い若手の育成と独立も応援

　除雪・排雪のオファーは冬季にしかありませんが、収益体制は十分でした。ただ会社を拡大していくため、夏季にクレーンオペレーターをしたり、解体工事の依頼を受けたりしてきました。

　佐藤さんが再度、杭打ち工事を始めたのは2014年。50歳を間近に控え、持てる技術を後進に伝えておきたいという気持ちが強くなったのがきっかけです。

　「私は若い頃、グランドピアノをクレーンで釣り上げ、高級ホテルの2階に搬入した経験があります。私にとっては毎日やっている業務の一つのつもりでしたが、作業の様子を見学する方が大勢いて、終了後に大きな拍手をいただいたのです。普段意識しないだけで、誰かの役に立っているんだと実感した瞬間でした。喜びややりがいを感じる体験を、ぜひ若い人たちにも味わってほしいのです」

　現在、自身は現場の一線からは退き、マネジメントに徹しています。やる気のある若手にどんどん仕事を任せ、成長の機会を与えるためです。

　「ノウハウを身に付け、いずれは独り立ちしてほしいと考えています。誰であれ、習熟すれば自分なりのやり方を試したいと思うはず。一人前として多くの人材を送り出し、それぞれが活躍して業界を盛り上げてくれることを願います」

　独立した従業員には、自社で獲得した案件を回すなどして応援している佐藤さん。「将来に向け、今のうちに努力して、いろんなことを吸収してくださいと常々言っています。真面目にやっていれば必ず上達します」と呼び掛けます。

（取材年月：2024年1月）

札幌市を中心に北海道全域で杭打ち・杭抜き工事を手掛け、除雪・排雪業も展開

自社で約50機の専用機械を保有し、豊富な経験知で数々の現場に対応

クレーンオペレーターとして働きながら除雪・排雪に乗り出し、その後独立

杭打ち工事の技術を伝え、業界で活躍することを願い若手の育成と独立も応援

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