無農薬で育てた綿花を使った商品を提供するプロ
日和和枝
Mybestpro Interview
無農薬で育てた綿花を使った商品を提供するプロ
日和和枝
#chapter1
北海道の小樽市に住む「こっとん・ふぁ~む 花畑鮮花」の日和和枝さんは、綿花を栽培する農家です。種植えから摘み取りまでを一人で行い、綿を収穫したあとは、日和さんの仲間が糸を紡ぎ、織って綿製品を作っています。現在は、日和さんの他に数人しか仲間がいないため、生産量、製品の数ともに多くはありませんが、これからは、綿づくりに興味を持ってくれる人と一緒に事業を広げていこうと計画を立てています。
「かれこれ17年ほど綿花の栽培に携わっています。鉢植えからスタートし、自宅のビニールハウスや小学校の温室、農業センターなどを経て、2014年からは余市郡の綿畑を拠点に活動しています。綿は温かい地域に適した植物なので、北海道で育てるのは難しいと考えられていましたが、私もなかなかうまくいかず、あきらめそうになった時もあります。それでも試行錯誤を繰り返した結果、条件が合えば寒い土地でも、栽培が可能だということがわかりました」
2019年には、同じ志を持つ人たちと「きたわたプロジェクト」を立ち上げた日和さん。綿花を育てて綿摘みし、綿についている種やゴミなどを取り除く綿くりと呼ばれる作業や、糸紡ぎ、染め、機織りを経て一枚の布に仕上げていきます。
「今は、タオルやミニハンカチなど、主に肌に触れる商品を手掛けています。実際に手に取ってもらうとわかるのですが、ものすごく弾力があって気持ちがいいんです。年々いいものが作れていると、自分の肌でも実感しています」と笑顔を見せます。
#chapter2
初めて枝についた綿花を見たとき「綿はこんなふうに育つのか」と、驚いたという日和さん。テレビドラマがきっかけで、綿に興味を持ったそうです。
「綿は、おおよそ海外から輸入されているのですが、害虫に弱いため、農薬が用いられている場合があります。私はもともと体が弱いので、できれば農薬を使っていない綿が欲しいと思いました。それなら自分でやってみようと、種を購入し鉢に植えたのです」
綿は水はけや通気性など土壌環境にも左右されるため、日和さんはいくつもの土を試しました。
「種を植えると花は咲くのですが、実にはなりませんでした。そこで、アルカリ性を好む綿のために土に苦土石灰を加えアルカリ性にしました。最も苦労したのは、温度と湿度の管理で、毎日これらを測って調整し、数値を割り出しました。その他にも条件はあるのですが、なんとか栽培方法を見いだすことができました」
日和さんが綿花にこだわり、がんばり続けることができたのは、たくさんの喜びがあったからだそうです。
「一番うれしかったのは、初めて綿の花が咲いたときです。最初は淡いクリーム色だったのが、次の日にはピンク色に変わりました。鉢植えを家の中に置いていたのですが、部屋の中で少しずつ、つぼみがふくらみ、開いていく様子にワクワクしました。花の後は実が成長し、フワフワとしたコットンボールになってはじけます。できれば、その姿をみなさんにも見ていただきたいですね」
#chapter3
「私は無農薬で綿花栽培をしています。私が育てた綿で作った商品を、お肌が弱い方や肌ざわりが気になる方にもっと知っていただきたいですね。現時点では、肌に触れるタオルやシーツといったアイテムが中心ですが、他にもやってみたいことがあります」と日和さん。「きたわたプロジェクト」の仲間とともに、様々な商品の開発に励んでいるそうです。
「綿の種から油を搾り、ボディーオイルやせっけんを展開していきたいと考えています。また、綿の木の枝を活用したペレット(木などを円筒状に圧縮した固形材)も検討していますし、環境のためにも、使い終わったあと土に返るような商品を目指しています。もちろん、簡単なことではありませんので、多くの方々のご協力、そして資金も必要です」
自然環境や健康に心を配る日和さん。自身も肌が弱いため、同じ悩みを持つ人に寄り添っていきたいと胸の内を語ります。
「『きたわたプロジェクト』を発足したおかげで、数多くのお声がけをいただきました。私が手掛けた綿製品を購入したいなどうれしい言葉もいただいています。ただ、私が育てた綿だけでは足りませんので、綿を育ててみたいという方も大歓迎です。今後は、栽培のノウハウをお伝えし、北海道でも綿がとれること、そして北海道産の綿製品の魅力を発信していきたいので、思いを共有してくれる方を増やしていきたいですね」
(取材年月:2021年3月)
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Profile
無農薬で育てた綿花を使った商品を提供するプロ
日和和枝プロ
綿花の栽培
こっとん・ふぁ~む 花畑鮮花
自然環境や健康を意識しながら綿を育てる農家。現在は、他の方と一緒に綿を育て、商品化することを目的としている。北海道の寒い地域でも湿度や温度の管理など環境整備を行えば綿を育てられるという情報を発信する。
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