【資産運用が“うまくいっている”とは?】

創業融資を検討する多くの経営者が最初に訪れるのが、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)です。
民間金融機関よりも金利が低く、保証人を必要としない制度も多いため、創業初期の資金調達では欠かせない存在となっています。
しかし、面談時にうまく自分の事業計画を伝えられず、審査で落ちてしまうケースも少なくありません。本記事では、元銀行員の視点から「日本政策金融公庫の融資審査を突破するための面談対策」を徹底解説します。
日本政策金融公庫の融資審査とは
まずは、日本政策金融公庫の融資審査がどのように行われるのかを理解しておく必要があります。
審査の全体像を掴むことで、面談時に重点的に伝えるべきポイントが明確になります。
審査の基本構造:3つの柱「数値・人物・ストーリー」
日本公庫の審査は、「数値」「人物」「ストーリー」という3つの観点で総合的に評価されます。これは民間銀行でも同様ですが、創業融資では特に「人物」と「ストーリー」が重視される傾向があります。
数値
: 事業計画書や資金繰り表の精度、売上・利益の見込みの妥当性。
人物
: 経営者の人柄、職歴、業界経験、計画への本気度。
ストーリー
: なぜこの事業を立ち上げたいのか、どんな課題を解決するのか。
この3点が明確に整理されているほど、面談での印象が良くなり、審査通過率も上がります。
日本政策金融公庫が重視する「創業者像」
日本公庫は「創業の意思」と「再現性のある事業モデル」を評価します。特に、創業者が過去にその業界で実務経験を積んでいるか、リスクを理解した上で計画を立てているかが重要視されます。
たとえば、飲食店を開業する場合は「調理経験」だけでなく「店舗運営の知識」「衛生管理」「集客戦略」なども問われます。単なる“夢”ではなく、実現可能性を伴った“計画”として語れることが鍵です。
日本政策金融公庫の面談対策のポイント
次に、実際の面談でどのように準備・対応すべきかを具体的に解説します。面談は単なるヒアリングではなく、「経営者としての資質を見極める場」です。
1. 面談前に準備すべき3つの資料
公庫面談前には、次の3点の資料を整理しておくとよいでしょう。
事業計画書: 売上予測・経費・損益計画を数字で示す。
資金繰り表: 6か月〜1年先までの入出金予定を明示。
自己資金の根拠資料: 通帳コピーや貯蓄履歴で信頼性を補強。
「資金繰り表」は特に軽視されがちですが、審査官はここで「返済可能性」を見ています。数字が曖昧だったり、現実離れしている場合は信用を失います。
2. 面談時の伝え方テンプレート
面談では「伝え方」が結果を左右します。あなたの知識ファイルにもあるように銀行訪問時・面談時の伝え方テンプレートの考え方を活用し、次の順序で話すと効果的です。
① 自己紹介と創業のきっかけ
② 現在の準備状況と課題
③ 事業計画の概要(誰に・何を・どうやって)
④ 資金の使い道と返済見込み
⑤ 今後の見通しとリスク対策
この流れで説明すれば、審査官はあなたの事業の「ストーリー」を理解しやすくなります。
3. NG発言とその回避法
公庫の面談でありがちな失敗は、「根拠のない自信」や「他力本願の発言」です。例えば次のような発言は避けるべきです。
「うまくいくと思います」→「過去の実績を踏まえ、◯%の利益を見込んでいます」
「融資が出たら考えます」→「融資が実行されたら、◯◯に投資し売上増を狙います」
「知人の勧めで始めます」→「市場調査の結果、需要が確認できたため開業します」
審査官は「行動に裏付けのある人」を信頼します。面談では言葉よりも、準備の深さが評価されると心得ましょう。
融資審査に通るための事業計画書の作り方

事業計画書は、単なる数字の羅列ではなく、「あなたのビジョンを数値化したもの」です。ここでは銀行員が評価するポイントを具体的に紹介します。
1. 売上計画は「根拠」を明示する
売上計画を立てる際には、「想定客数 × 単価 × 営業日数」で算出する基本モデルを用い、根拠となるデータを添付します。たとえば近隣店舗の来店客数や市場規模データなどがあれば、信頼性が高まります。
2. 経費計画は「固定費」と「変動費」を分けて明示
経費をまとめて記載するのではなく、「家賃・人件費・仕入れ・広告費」などに分けて記載します。これにより、審査官が「この事業は資金繰りを理解している」と判断しやすくなります。
3. 自己資金の割合は信頼の証
日本公庫は自己資金の比率を重視します。目安として、総事業費の2〜3割は自己資金で賄える状態が理想です。貯蓄の積み上げ方や使途を明示すれば、「計画性のある経営者」と評価されます。
面談後にできるフォローアップ
面談が終わった後も、融資実行まで気を抜いてはいけません。公庫担当者は、面談後のフォロー態度も見ています。
追加資料の提出は迅速に
面談後に「この資料を再提出してください」と言われた場合、即日〜翌日中に対応するのが望ましいです。対応の早さは「経営管理能力」として評価されます。
修正依頼は前向きに受け止める
計画書の一部修正を求められることもありますが、それは「前向きなサイン」です。審査官が改善の余地を感じている証拠です。指摘内容を踏まえて、より現実的な計画に仕上げましょう。
まとめ:創業融資で失敗しないために
日本政策金融公庫の融資審査は、単に「お金を貸すかどうか」を判断するものではありません。あなたの事業に対する姿勢、計画性、そして将来性を見極める「信頼の審査」です。
面談で重要なのは、完璧な数字よりも「誠実さと準備力」です。根拠ある事業計画と明確なビジョンを持ち、審査官に“共感”してもらえるストーリーを伝えましょう。
それが、創業融資で失敗しない最も確実な面談攻略法です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 面談はどんな雰囲気ですか?
A. 一般的には穏やかな雰囲気で行われます。担当者は敵ではなく、あなたの事業を支援する立場です。落ち着いて、誠実に回答することが何より大切です。
Q2. 落ちた場合、再申請はできますか?
A. できます。ただし、同じ内容で再申請しても通りません。前回の指摘を踏まえ、資金計画や自己資金の見せ方を改善しましょう。
Q3. 創業前でも申請できますか?
A. はい。開業届前でも申請可能です。むしろ「開業準備中の段階」で相談に行くと、担当者から有益なアドバイスを受けられます。



