【資金繰りとキャッシュフローを強化するシステム化の進め方】

望月良友

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テーマ:資金繰り キャッシュフロー 黒字倒産 

最近は「黒字倒産」が増えてきているようです

その要因は、単に利益を出せば事業は倒れない、潰れない
ということに対して間違いだということを示しています

利益は企業の、事業の次への投資になる源泉ですが
なぜそれだけでは企業、事業を”持続可能”に出来ないのでしょうか?

それを考えるのが
資金繰りとキャッシュフローです

ここについてちょっと書いてみました

ではどうぞ⇩

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資金繰りは、企業経営の生命線といえる要素です。どれほど売上が順調でも、現金の流れを正確に把握できなければ、支払い遅延や黒字倒産のリスクを抱えることになります。特に昨今は、コロナ融資の返済開始や原価高騰など、資金繰りを圧迫する外部要因も増えています。

その中で注目されているのが、キャッシュフローを「システム化」して管理・分析する手法です。本記事では、資金繰りとキャッシュフローの基本構造を整理しつつ、システム化による効果や導入の具体的ステップを詳しく解説します。

【資金繰りとは何か:キャッシュフローとの違いを整理する】

まず押さえておきたいのは、「資金繰り」と「キャッシュフロー」は似て非なる概念であるという点です。資金繰りは日々の資金の出入り、つまり「いつ・いくらの現金が入ってくるか、出ていくか」を管理する短期的な視点。一方キャッシュフローは、一定期間の資金の流れを分析する中長期的な視点で、経営判断や投資戦略に活用されます。

この両者を連動させて見える化することが、企業の財務安定には欠かせません。つまり、「資金繰り=日常の現金管理」「キャッシュフロー=経営の羅針盤」という位置づけで捉えることが重要です。

[資金繰り表の役割]

資金繰り表は、将来の入出金予定を一覧化することで、資金ショートを未然に防ぐためのツールです。

銀行融資の審査においても、資金繰り表の精度は「経営者の管理能力」を示す重要な指標となります。エクセルなどで手作業で作成している企業も多いですが、更新漏れや想定外の出金に対応できないケースが少なくありません。

この課題を解決するのが、資金繰りの「システム化」です。

【資金繰りとキャッシュフローをシステム化する目的と効果】

システム化とは、単に自動計算ツールを導入することではなく、「資金情報をリアルタイムに把握し、意思決定の精度を高める」ための仕組みを整えることを指します。

これにより、経営者は感覚ではなくデータに基づいた資金判断を行うことができ、銀行や取引先からの信頼も高まります。

資金繰りの見える化によるリスク低減

資金繰りシステムを導入すると、売掛金・買掛金・経費などの支払予定を自動で集計し、将来のキャッシュ残高をリアルタイムで確認できます。これにより「来月の支払資金は足りるか」「融資の必要時期はいつか」が一目で分かります。

結果として、資金ショートのリスクを早期に察知し、余裕を持った融資交渉や資金手当てが可能になります。

経営判断のスピードアップ

システム化によって、最新のキャッシュフロー情報を常に参照できるため、投資判断・採用・賞与など、経営上の意思決定をスピーディーに行えます。

また、銀行面談の際にも「資金繰りデータに基づいた説明」ができるため、融資担当者の評価が格段に上がります。

管理コストの削減と属人化の解消

従来は経理担当者がエクセルを駆使して資金繰り表を作成していましたが、属人化が進むと、担当者不在時に対応できないリスクが生じます。

クラウド型の資金繰りシステムを導入すれば、自動連携によって作業時間を削減し、誰でも同じ情報を共有できる体制を構築できます。

【システム化を成功させる3つのステップ】

資金繰りのシステム化には段階的なアプローチが必要です。ここでは、導入前の準備から定着化までの3ステップを紹介します。

ステップ1:現状把握と課題の洗い出し

まずは現状の資金繰り管理がどのように行われているかを明確にします。

手作業による遅れ、データの不整合、担当者依存などの課題をリスト化し、「何を自動化すべきか」を整理します。

特に、売掛金回収や支払条件のバラつきが大きい企業では、入出金管理の標準化から始めると効果的です。

ステップ2:システムの選定と導入設計

資金繰りシステムには、会計ソフト連携型・クラウド会計型・ERP統合型などさまざまなタイプがあります。

中小企業の場合は、まず既存の会計データと自動連携できるクラウド型ツールが現実的です。

導入時は「自社の資金繰り表の構造」をそのまま再現できるか、銀行提出用資料として活用できるかをチェックポイントにすると良いでしょう。

ステップ3:運用ルールの定着と経営会議への活用

システム導入後は、運用ルールを明文化し、経営会議で定期的にキャッシュフロー状況を確認する仕組みを構築します。

「資金繰り会議」を月次で開催し、資金計画・融資計画・利益計画を一体化して議論することで、システムを“活かす”体制が整います。

この継続的なモニタリングが、資金繰り改善を長期的に定着させる鍵となります。

【資金繰りシステム化の導入事例と成果】

実際にシステム化を行った中小企業では、経営の透明性と意思決定のスピードが大きく向上しています。

たとえば、ある製造業では資金繰り表を自動化したことで、毎月の手作業時間が15時間以上削減され、銀行融資の追加枠が認められた事例もあります。

別の企業では、リアルタイムのキャッシュ残高が可視化された結果、支払いタイミングを最適化し、年間で数百万円規模の利息コストを削減しました。

【システム化に失敗しないための注意点】

資金繰りやキャッシュフローのシステム化は万能ではありません。

導入目的が「管理担当者の負担軽減」だけになると、経営判断につながらない形骸化リスクがあります。

成功する企業は、システムを「経営の判断ツール」として位置づけ、経営層が積極的に活用している点が共通しています。

データの正確性を担保する仕組みを作る

どんなに優れたシステムでも、入力データが誤っていれば正確な資金繰りはできません。

売掛・買掛・経費のデータを自動連携し、担当者によるダブルチェック体制を設けることが不可欠です。

経営層がキャッシュフローを理解する姿勢を持つ

資金繰りを「経理任せ」にせず、経営者自身がキャッシュフロー構造を理解する姿勢が重要です。

銀行員として30年の経験から言えば、数字の説明を経営者本人ができる企業ほど、融資交渉はスムーズに進みます。

資金繰りの信頼性は、最終的に経営者の姿勢によって決まるといっても過言ではありません。

【まとめ:資金繰りとキャッシュフローを強化するシステム化の進め方】

資金繰りのシステム化は、単なる業務効率化ではなく、経営の信頼性を高めるための戦略的な投資です。

キャッシュフローをリアルタイムで可視化し、データに基づいた意思決定を行うことで、資金ショートの不安から解放され、銀行からの信用力も向上します。

今こそ、手作業中心の資金管理から脱却し、企業の未来を支える「数字の見える経営」へとシフトする時です。

【よくある質問(Q&A)】

Q1:資金繰りシステムはどのくらいの費用がかかりますか?

クラウド型であれば月額1万円前後から導入可能です。ERP統合型や自社開発型の場合は初期費用が高くなりますが、長期的なROIを考えると十分に費用対効果があります。

Q2:銀行融資の審査に資金繰りシステムは有利になりますか?

はい。システム導入によって資金管理が可視化されている企業は、銀行から「管理能力が高い」と評価され、融資判断で有利に働くケースが増えています。

Q3:システム導入後もエクセル管理を併用すべきですか?

初期段階ではエクセルと並行して運用し、精度を確認しながら完全移行するのが理想です。完全移行後は、データ整合性をシステム上で一元化することが推奨されます。

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望月良友(ファイナンシャルプランナー・アドバイザー)

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