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苫小牧フェリー火災事故、補償問題や保険の適用についてTV取材、放映されました。

牧努

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テーマ:海事・保険

先日の苫小牧フェリー火災から一か月が経過しました。
尊いお一人の人命が失われており、心からお悔やみ申し上げます。

事故後、10日をかけて消火、先日ようやく車両等の搬出が終わり、事故の原因究明や補償等、これからの問題が山積みです。

そんな中、車両や積荷等への補償、どのような保険が適用になるのか、という観点から、保険実務と海事関連の両方の知識を求められ、(マイベストプロ系列でいけばHTBさん、なのですが・・・・・取材依頼をいただいたのは他局さんでしたw。(^_^;)) 昨日午前中に私の事務所にお越しいただき取材を受け、夕方の特集の中で放映されました。



まだ原因究明の真っ最中であり、先入観を与えるような内容になってはいけないので、充分にその辺りには配慮しつつ、このような事故の場合に適用可能な保険についてご説明しました。

ちなみに今回のような事故の場合、積荷に対して適用可能な保険としては、運送業者賠償責任保険の類と、貨物保険の類、場合によっては生産物賠償責任保険、等が考えられます。

しかし賠償責任保険の類は「被保険者に賠償責任がある場合にお支払します」となっているため、原因究明真っ最中のこの段階では賠償義務はどの会社にあるのか(さらには賠償義務があるのか、も含め)判明していないので、保険金を請求しようにもどこに(誰に)請求するものやら、な段階、です。

そこでまずは貨物保険や自動車保険(車両保険付帯している場合)などのいわゆる「物保険」の類が先に機能し、その後賠償責任の所在が明らかになっていく時点で既に保険金を支払った保険会社が賠償責任のある会社に対し求償する、という流れになります。

ではそれはいつ頃?という疑問がわくでしょうが、今回の火災事故では消火まで10日かかり、トラックが火元のようだという報道はありますが、火元が特定できたことと出火の原因(≒責任の所在)が明らかになるのとは次元が違います。

11年前に地中海で起きた船舶火災事故があるのですが、その件では積載してあった某社の製品が出火の原因であるとして船会社から荷主に訴訟が提起され、現在も係争中、という事案もあります。

賠償責任保険の支払まで待つわけにはいかないケース、仮に賠償責任保険が支払われることになっても補償限度額が満たないケース等もあり得ます。
大切なご自分の財産(荷物、車両等)にはこういった場合も想定ししっかりと保険をかけておくことの必要性も再認識していく必要があると思います。

その他、番組中では紹介されませんでしたが、海事独特の制度として、「共同海損」もあり得ること、国際海上運送においては船舶火災は船主さんが免責(=責任を問われないこと)等もお伝えしました。

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