企業、団体のコンプライアンス体制構築のプロ
越田雅人
Mybestpro Interview
企業、団体のコンプライアンス体制構築のプロ
越田雅人
#chapter1
2020年6月、改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法が施行され、2022年4月から中小企業においても防止措置が義務付けられました。
「適切にコンプライアンス(≒法令順守)を運用・管理していくため、責任者・担当者や専任部署の配置が進んでいる大企業と、地方の中小企業とでは、意識や認識に大きな温度差があります。『具体的に何をするべきなのか分からない』という経営者も少なくないでしょう」
そう話すのは、中堅製薬会社の「コンプライアンス・オフィサー」として、社内への周知や啓発などに携わってきた越田雅人さん。
2021年、札幌市で「コンプラ・マネジメント」を立ち上げ、地域を問わずクライアント企業の業種や規模に応じたコンプライアンス対策を支援。正しい知識や理念の共有、実践に向けたガイダンスをはじめ、職場環境の改善にも対応しています。
「『離職者が多い』『残業の割に業績が上がらない』といった悩みが慢性化している場合、根底にパワハラなど何らかのルール違反が隠れている可能性があります。当方では、経営者、管理職、一般社員と、各階層が抱えている課題を洗い出し、それぞれに特化したサポートを提供しています。長期的に精査を行い、解決への道筋を示すのが、一般的なハラスメント研修との違いです」
組織改革にまで踏み込み、揺らぐことのない企業風土を醸成するまでブラッシュアップを図るのが特長。各企業や事業所のコンプライアンス担当者が一堂に会する異業種情報交換会も開催し、自社の対策レベルを確認する機会も設けています。
#chapter2
越田さんは30年近く製薬会社に勤め、営業・営業企画やガイドラインづくりなどフロントオフィス、バックオフィスの両方を経験。各部署で責任あるポジションを歴任しました。また、製薬企業で構成する業界団体の公正取引協議会や倫理委員会では、事業活動にかかる行動基準や監査・調査体制の構築にも携わりました。
厚生労働省の指針や世界基準コードを業界団体内で検討し、方向性を策定した後に自社に持ち帰り、社内での説明と実践を主導するなど、まさに風上から風下までを担ってきた越田さん。「置かれている立場に合わせて理解を行き渡らせ、実効性の高いものにすることの難しさは、嫌というほど体感してきた」と明かします。
会社組織の複数の現場や運営側の見地だけでなく、企業の外から大局を見渡すような体験を通じて視野を広げたことは、独立開業への大きな動機付けともなりました。
事業家として不可欠なマネジメント力やリーダーシップに磨きをかけたのは、10歳から続け、50シーズンを迎えるほどのキャリアを持つアイスホッケー。大学の体育会はもとより、会社員時代も社会人チームに属し、現在は地元札幌市に拠点を置く「北海道バーバリアンズIHC」のシニア部門でキャプテンも務めています。
「どんなスポーツでも、ルール厳守は基本中の基本。特にアイスホッケーのようなチーム競技では、ゲーム中に限らずモラルを守らないメンバーの存在は、全体のパフォーマンスに支障をきたします。どんなに上手でも、共にプレーはしたくないですね」
#chapter3
さまざまな規制を受ける製薬業界において、常に厳しい姿勢を求められてきた越田さん。組織を離れてからも「少しの甘えも許さない」との矜持は健在のようです。
「『実績を作るためだけに、とりあえず研修だけでも』のようなオファーはお断りすることもあります。扱うテーマが、経営サイドに本気で取り組む覚悟もなく解消するような、たやすいものではないからです」
実際に、1人の問題行動によって50人ほどの従業員のうち10人が離職したケースにも遭遇。越田さんは「事業の存続を左右するような事態を招かないためにも、私の経験がお役に立つのでは」と言います。
「職場の風通しが良くなり、従業員の意欲が高まれば、おのずと生産性も上がるでしょう。これまで社員教育にまで手が回らなかったという会社ほど、意義は大きいはずです」
旧態依然とした社風に変革を促すために、自ら組織の合理化に切り込み、停滞しているポイントを可視化して、透明性を高めます。就業規則についてもチェックし、「リスクに備えて内容を見直したい」など企業側からの要望を代弁して、社会保険労務士、弁護士へとつなげる役割も担います。
「リクルートハラスメントも見過ごせません。企業の採用担当だけでなく、学校などの教育機関や学生向けの対策も強化したいですね」
企業価値を高めるべく、尽力する越田さん。オフの気分転換は、ロードランニングで、2022年の北海道マラソンでは完走を果たしましたが、既に新たなゴールを目指して走り始めています。
(取材年月:2022年10月)
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Profile
企業、団体のコンプライアンス体制構築のプロ
越田雅人プロ
コンプライアンスマネジメント
株式会社コンプラ・マネジメント
製薬メーカー各部署(営業、マーケ、法務、総務、コンプライアンス)での活動と業界団体委員会活動など、内外から課題を捉えてきた知見をもとに、企業や団体の風通しの改善とコンプライアンス体制構築・運用を支援。
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