PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

排出ガスの軽減や、自動車を資源として活用するための事業を展開

リサイクルから修理、パーツ販売まで幅広く手掛ける自動車のプロ

岡﨑豊

岡﨑豊 おかざきゆたか
岡﨑豊 おかざきゆたか

#chapter1

ドイツ自動車工業会からライセンスを取得。ディーゼル車の排気を浄化するアドブルーのメーカーに

 北海道北見市を拠点に、自動車に関するさまざまな事業を営む「ボールド」。車の解体・廃棄、国産車や輸入車、重機などの買い取りと販売、パーツ品のリサイクル、車検・修理などを手掛けています。

 「近年は特に、“AdBlue®(アドブルー)”の提案に力を入れています」と話すのは、同社の代表・岡﨑豊さん。アドブルーとは、ドイツの業界団体で組織されるドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標で、尿素32.5%、純水67.5%からなる高品位尿素水です。

 「軽油を燃料とするディーゼル車の一部に採用されている“尿素SCRシステム”に使用するもので、排ガスに直接噴霧することで、大気汚染の原因となる窒素酸化物を水と窒素に還元する働きがあります。ディーゼルエンジンはバスやトラック、農業トラクターなどに搭載されていますが、排出ガス規制が厳しくなるなか、排気をクリーンに保つことが求められています」

 岡﨑さんのもとでは、2015年からアドブルーを展開してきましたが、2022年8月にVDAの審査基準をクリアし、ライセンスを取得。自社でアドブルーを製造できるようになりました。メーカーになることで原料の調達がしやすくなるほか、自社で運搬まで担うことでコストを抑えられるようになったと言います。

 「運輸業に携わる皆さんは、人や物を運ぶなど社会インフラを支えてくれています。しかし、燃料代や車検代の高騰など、多くの課題を抱えているのも確か。われわれは安定的に、少しでもお安く高品位なアドブルーや修理部品を提供することで、環境の負荷や経費削減のお役に立ちたいと考えています」

#chapter2

好きだった車関連の仕事で起業。厳しい状況下にあっても、この業界で生きるおもしろさが勝る

 1967年に北見市で生まれた岡﨑さん。卒業後は建築業の会社に入ります。勤め先の社長はかなり厳格な人だったそうですが、温かく育ててくれました。

 「入社から10年がたち、職人が板に付いてきたなと実感し始めたある日、社長から呼び出され『自分で好きな商売をやってみたらどうだ』と。なぜそう言われたか理由は分かりませんが、独立するのもおもしろそうだと思いました」

 かねてより好きだった車関連の仕事をすることにした岡﨑さんは、1998年にボールドを設立。当初は、中古車の販売から始めました。「特にアメリカ車がお気に入りだったので、仕入れのためにアメリカにもしばしば足を運びましたね」

 折しも時代はアメ車ブーム。同社で扱う商品も飛ぶように売れ、順調に業績を伸ばし、ビジネスが軌道に乗っていきました。「最初は右も左も分かりませんでしたが、いろんな方が助けてくださったおかげと感謝しています」と当時を振り返ります。

 「昨今は、若者の車離れなどを背景に、国内需要は減少傾向にあるのも事実です。厳しい状況下に身を置くことはもちろん大変ではありますが、それよりも、この業界で生きることのおもしろさの方が勝りますね」

 時流を追い、精力的に活動する岡﨑さんの癒やしは、趣味のバイクいじりと愛犬と遊ぶこと。ただ地元には、動物病院やペットホテルが近くになく、不便だと感じることが少なくないそうで、「いつかはペットと飼い主のためのサービスも始めたい」と展望を語ります。

#chapter3

自動車部品を海外に展開するほか、車のパーツを用いた雑貨や家具の製作にも注力

 太陽光といった再生可能エネルギーを利用した電気自動車や、ハンドル操作などをサポートする自動運転車の登場など、自動車産業における技術革新は目まぐるしく進んでいます。

 「自動車業界はいま、大きな変革期を迎えています。私たちのビジネスモデルも変化していく必要があり、時代にあった道を模索していかなければなりません」

 岡﨑さんは、今後もアドブルー事業に力点を置きつつ、新しい取り組みも視野に入れています。その一つが、買い取った自動車用部品の販路を国外へと広げることです。「これまでは、主に日本の市場しか見ていませんでしたが、国内でニーズがなくとも海外で必要とされる部品は少なくありません。海外のバイヤーとも接点を持ち、より大きなマーケットに目を向けていきたいですね」

 また、車のパーツを用いた雑貨や家具の製作にも意欲的です。シートベルトを材料にしたトートバッグや、車のシートを生かした椅子、エンジンカバーを使った置き時計など、この世に二つとないオリジナル品を創造していきたいとか。「捨てるはずだったパーツが夢のあるアイテムに生まれ変わるのですから、非常に意味のあることだと思っています」

 車という資源をフルに活用し、環境に優しい循環型社会を目指す岡﨑さん。社を率いる上でのモットーは、「動機善なりや私心なかりしか」

 「自動車業界にどのような変化が起ころうとも、志を同じくするメンバーとともに柔軟に対応し、挑戦を続けていきます」と力を込めます。

(取材年月:2022年12月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

岡﨑豊

リサイクルから修理、パーツ販売まで幅広く手掛ける自動車のプロ

岡﨑豊プロ

自動車解体業

株式会社ボールド

車のリサイクルや修理、パーツ販売など幅広く手掛けています。近年はディーゼル車の排気ガスを浄化するアドブルーの販売に力を入れ始めました。ドイツ自動車工業会からライセンスを得て、メーカーになっています。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ北海道に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または北海道テレビ放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO