相続に伴う「遺産整理」について
1 事実婚、同性婚の増加
最近は、家族関係の多様化が進み、事実婚や同性婚も増えてきたとされています。普段生活をする分には、何ら問題がないのですが、この事実婚ということによって法律上保護されない部分があります。
その代表的な場面は相続の場面です。
2 民法のルール
日本の民法は、法律婚を前提としており、法律上夫婦となった場合に相互に法定相続分を認めていますが(民法890条、900条)、事実婚や同性婚の場合には法定相続分を認めていません。このことは、実際には夫婦同然に暮らしていた場合であっても変わりません。
そのため、例えば、前の夫や妻との間に子供がいる方がその後事実婚をし、真の夫婦のように長年生活をしていたような場合でも、法定相続人になるのは子供だけとなります(事実婚の夫婦間では相続は発生しません)。
また、逆に、上記のような例で、再婚をすると自らの法定相続分が減少する子供の側から、再婚をするのをやめてほしいと言われ、その結果、事実婚のままの夫婦で居続けているようなケースもあります。
3 何もしなければ・・・
何もしなければ、上記のとおりとなってしまうのですが、このような場合に何の対応もできないわけではありません。その対応方法としては、事実婚の夫婦がお互いに遺言を書いておくこと、または家族信託をやっておくことなどで、お互いの将来をサポートする仕組みを作ることが可能です。そのほかにも、生命保険を使う方法も考えられるところです。
(参考リンク)
・家族信託とは→家族信託をお考えの方
・遺言とは→遺言などの生前の相続対策
残された人のために、「こうしてあげたい」という思いがある場合には、それを何かしらの形にしておくことは必要です。そのためには、この分野に通じた専門家に相談をするのが一番の方法です。
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